建物管理

施設巡回点検のやり方|管理物件の巡回で見る10箇所と記録の残し方

公開 2026-06-02更新 2026-08-02 執筆 点検板 編集部

巡回点検は法定点検ではありません。法令で頻度も項目も決められていない、管理会社が自主的に行う点検です。だからこそ、やり方に差が出ます。

「見て回った」で終わるか、「オーナーに報告できる資料」になるかは、記録の作り方次第です。この記事では巡回で見る10箇所と、指摘を是正まで追う仕組みをまとめます。

施設巡回点検表(Excel・無料)共用部・外周・機械室などを順路に沿って見て回るための、巡回チェック様式。
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この記事の内容(6項目)

法定点検との違い|巡回が担う役割

法定点検

年1〜2回、有資格者が実施。設備が基準を満たしているかを確認する。行政への報告あり。

巡回点検

月1〜数回、管理担当者が実施。日常の劣化・不具合・清掃状態を確認する。オーナーへの報告が目的。

法定点検は年に数回しかありません。その間に起きる球切れ、汚れ、破損、不法投棄、放置自転車——こうしたものは巡回でしか拾えません。入居者からのクレームになる前に気づくのが巡回の価値です。

月1〜4回一般的な巡回頻度
10箇所標準的な確認ポイント
写真報告の説得力を
決めるもの
是正追跡巡回の価値を
決めるもの

巡回で見る10箇所

外から内へ、上から下へ、と順路を決めて回ります。

#箇所見るもの
1外周・敷地不法投棄、放置自転車、雑草、外構の破損、掲示物の劣化
2エントランス自動ドアの動作、床の汚れ、郵便受けの破損、掲示板の更新
3共用廊下・階段照明の球切れ、手すりのぐらつき、私物の放置、床の損傷
4ゴミ置場分別状況、においと衛生、扉の施錠、清掃状態
5駐車場・駐輪場区画線の消え、無断駐車、ライン内の障害物、照明
6機械室・電気室施錠、周囲の物品、異音・異臭、漏水の跡
7屋上・バルコニー排水口の詰まり、防水層の膨れ、避難ハッチの障害物
8消防設備まわり消火器の位置と圧力、消火栓前の物品、避難経路の確保
9給排水受水槽の外観と施錠、量水器まわり、漏水の跡、排水の詰まり
10トイレ・給湯室(共用)清掃状態、消耗品、水漏れ、換気扇の作動

7番の屋上の排水口は、被害が大きくなりやすいのに見落とされがちです。落ち葉や土が詰まると、大雨のときに階下への漏水につながります。台風シーズン前は重点的に見てください。

写真の撮り方で報告の質が変わる

巡回報告は写真がすべてと言っても大げさではありません。文章だけの報告書はオーナーに伝わりません。

  • 引きと寄りの2枚|引きで場所が分かるように、寄りで状態が分かるように。1枚だとどちらかが欠けます
  • 是正後も同じ構図で撮る|ビフォー/アフターが並ぶと、やったことが一目で伝わります
  • 日付を残す|撮影日時が入る設定にしておくと、いつの状態かが明確になります
  • 問題がない箇所も定点で撮る|経年変化を追えます。「去年と比べて」の議論ができるようになります
巡回から報告までの流れ
① 巡回順路を固定
写真+チェック
② 指摘の仕分け緊急/要修繕/経過観察
の3段階
③ 手配緊急はその場で
要修繕は見積り依頼
④ 報告オーナーへ
写真つきで提出
②の仕分けが要。全部を「要修繕」にすると、オーナーは判断できない

施設巡回点検表(Excel・無料)

物件名・巡回日時・巡回者と、10箇所のチェック項目、是正が必要な事項を1枚で記録できます。危険度と写真の有無の欄つき。

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施設巡回点検表(Excel・無料)共用部・外周・機械室などを順路に沿って見て回るための、巡回チェック様式。
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指摘を是正まで追う

巡回で最も価値が出るのは、指摘した項目が直ったかを次回確認することです。ここが抜けると、毎回同じ指摘を書き続けることになります。

  1. 指摘に番号を振る|「2026-10-01」のように日付+連番
  2. 状態を3つに分ける|未着手/手配済み/完了
  3. 次回巡回の冒頭で前回の未完了を確認する|これをルーティンにする
  4. 3ヶ月動いていない案件はオーナーに再提起する|予算待ちなのか、判断待ちなのかを明確にする

是正の追跡は、法定点検の指摘(12条報告の要是正など)とも同じ構造です。巡回・法定点検・修繕の指摘をまとめて1枚で追えると、物件の状態が把握しやすくなります。

巡回頻度をどう決めるか

法令の定めがないため、管理委託契約で決めます。目安は次のとおりです。

物件タイプ巡回頻度の目安理由
賃貸マンション(常駐なし)月1〜2回ゴミ置場・共用部の状態が入居率に直結
テナントビル月2〜4回テナントからの申し出が多く、対応の起点になる
戸建て・小規模月1回設備が少なく、確認箇所が限られる
空室・空き家月1回通水・換気・郵便物の確認が主目的

頻度より継続性が重要です。月4回を3ヶ月で止めるより、月1回を3年続けるほうが物件の状態は良くなります。無理のない頻度を契約時に決めてください。

清掃業務も委託している場合は、清掃の記録(日常清掃チェックリストトイレ清掃点検表)と巡回記録を分けておくと、責任範囲が明確になります。

よくある質問

Q. 巡回点検に資格は必要ですか?
不要です。法定点検ではないため、管理担当者が実施できます。ただし機械室・電気室への立入りは、感電等の危険があるため無理に近づかず、外観確認にとどめてください。
Q. 巡回記録の保存期間は?
法定の義務はありませんが、管理受託契約の期間中と、終了後1〜2年は保管することをおすすめします。トラブル時の説明資料になります。
Q. オーナーへの報告はどのくらいの頻度で?
月次報告が一般的です。指摘がない月も「異常なし」を報告することで、管理していることが伝わります。緊急案件はその場で連絡します。
Q. 巡回で法定点検の代わりになりますか?
なりません。法定点検は有資格者による検査と行政への報告が必要です。巡回はあくまで日常の状態確認で、両方が必要です。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-02時点の情報です。