空気環境測定とは|特定建築物の2ヶ月ごとの義務と、基準値の見方
「ビル管法」と呼ばれる建築物衛生法は、一定規模以上の建物に環境衛生の管理を義務付けています。その中核が空気環境測定です。
2ヶ月以内ごとに1回=年6回という高い頻度で、しかも記録は5年保存。点検の中でも周期が短く、保存期間が長い部類です。この記事で対象・項目・基準値を整理します。
特定建築物に該当するか
対象は特定建築物です。次の2つを両方満たす建物が該当します。
- 特定用途に使われる部分の延べ面積が3,000㎡以上(学校は8,000㎡以上)
- 特定用途=事務所、店舗、百貨店、興行場、旅館、図書館、博物館、美術館、遊技場、学校 など
面積要件
(=年6回)
該当すると、空気環境測定のほかに給水・排水の管理、清掃、ねずみ等の防除も義務になり、建築物環境衛生管理技術者(ビル管理技術者)の選任が必要です。届出も要ります。
工場・倉庫・共同住宅は特定用途に含まれないため、面積が大きくても該当しません。複合ビルでは特定用途部分の面積で判断するため、テナント構成が変わると該当・非該当が変わることがあります。
7つの測定項目と基準値
| 項目 | 基準 | 超えたときに疑うこと |
|---|---|---|
| 浮遊粉じん量 | 0.15mg/㎥以下 | フィルタの汚れ、外気の流入 |
| 一酸化炭素 | 6ppm以下 | 燃焼機器、駐車場からの流入 |
| 二酸化炭素 | 1,000ppm以下 | 換気量の不足/在室人数の増加 |
| 温度 | 18℃以上28℃以下 | 空調の能力・設定 |
| 相対湿度 | 40%以上70%以下 | 加湿器の不具合(冬季に下限割れが多い) |
| 気流 | 0.5m/s以下 | 吹出口の風量・向き |
| ホルムアルデヒド | 0.1mg/㎥以下 | 新築・改築後の建材(測定は特定の時期に1回) |
実務で最も超えやすいのが二酸化炭素と相対湿度(冬季の下限割れ)です。
二酸化炭素が超える理由
CO2濃度は換気量の指標です。1,000ppmを超えるのは、在室人数に対して外気の取り入れが足りていないことを意味します。省エネのために外気導入を絞っていると起きやすく、コロナ禍以降は換気の指標としても注目されました。
ホルムアルデヒドは別扱い
ホルムアルデヒドだけは毎回の測定ではありません。新築・改築・大規模修繕などの後、使用開始から最初の6月1日〜9月30日の間に1回測定します。内装工事をしたら忘れずに実施してください。
測定の実際
床上75〜120cm
(空室では意味がない)
基準内外の判定
措置内容も記録
測定は登録業者(建築物環境衛生総合管理業など)に委託するのが一般的です。ビル管理技術者の指導のもとで実施します。
空気環境測定 記録表(Excel・無料)
7項目の基準値を列見出しに入れてあり、測定値を入れるだけで基準内外が判断できます。二酸化炭素が1,000ppmを超えると赤く表示される設定つき。記録5年保存に対応。
空気環境測定 記録表を見る基準を超えたときの対応
基準不適合が判明したら、原因を調べて措置を講じ、その内容も記録します。「測って終わり」ではありません。
| 項目 | よくある措置 |
|---|---|
| 二酸化炭素の超過 | 外気導入量を増やす、換気設備の運転時間を延長、在室人数の見直し |
| 浮遊粉じんの超過 | 空調フィルタの清掃・交換、清掃頻度の見直し |
| 湿度の下限割れ | 加湿器の能力確認・給水経路の点検(冬季に多い) |
| 温度の逸脱 | 空調の能力確認、設定温度の見直し、日射対策 |
保健所の立入検査では、測定記録と不適合時の措置記録が確認されます。超過した事実より、超過に対して何もしていないことが問題になります。
空調設備の点検とセットで考える
測定値の悪化は、空調・換気設備の劣化として現れることが多いものです。フィルタの目詰まり、ドレンの詰まり、ファンの能力低下——これらは空調設備点検表で日常的に確認できます。測定は結果、点検は原因という関係です。
特定建築物では、空気環境測定のほかに建築基準法12条の定期報告(12条報告の記事)、消防設備点検、貯水槽の管理(貯水槽の記事)が並走します。周期が2ヶ月・1年・3年とバラバラなので、年間表での管理が不可欠です。
よくある質問
- Q. 測定は自社でできますか?
- 測定器の要件(登録・校正されたもの)があり、建築物環境衛生管理技術者の指導のもとで実施する必要があります。実務では登録業者への委託が一般的です。
- Q. 2ヶ月以内ごととは、具体的にどう数えますか?
- 前回の測定日から2ヶ月を超えないうちに次の測定を行います。「奇数月に実施」のように固定すると管理しやすくなります。
- Q. 記録の保存期間5年は長くないですか?
- 建築物衛生法で定められた期間です。他の点検記録(3年が多い)より長いため、廃棄年を記録しておかないと誤って捨ててしまいます。
- Q. 特定建築物に該当しない建物でも測定すべきですか?
- 義務ではありませんが、労働安全衛生法の事務所衛生基準規則により、事務所では別途の基準(CO2は5,000ppm以下等)と点検義務があります。規模にかかわらず換気の確認は必要です。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-26時点の情報です。