安全衛生

ディスクグラインダーの点検|法令で決まっている3つと、使う前に見る点検項目

公開 2026-11-01 執筆 点検板 編集部
点検板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年11月1日

ディスクグラインダーの点検は、多くの現場で「スイッチを入れて回ればよし」になりがちです。一方で、元請の安全書類や新規入場の教育では「使用前点検をしたか」「試運転は何分か」と聞かれます。何をどこまで見ればよいのか、はっきりしないまま使っている方も多いと思います。

ディスクグラインダーの点検は、法令で決まっている部分と、法令には無いが事故を防ぐために見る部分に分けると整理しやすくなります。この記事では、条文で決まっている3つを先に示し、そのうえで使う前に見る点検項目を表にまとめました。最後に、1台1行で記録できる点検表(Excel)も紹介します。

持込機械 使用前点検票(電動工具・溶接機・脚立)(Excel・無料)現場に持ち込む電動工具・溶接機・電工ドラム・脚立を、その日使う前に1行1台で確認する票。機種ごとに見るところつき。
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この記事の内容(8項目)

ディスクグラインダーの点検で法令が決めているのは3つ

ディスクグラインダーの点検について、労働安全衛生規則が決めているのは次の3つです。ポイントは、本体(モーター・ギヤ・カーボンブラシなど)の点検を定めた条文は無いという点です。法令が見ているのは、といし(砥石)と電気の部分です。

法令で決まっていること中身条文
① といしの試運転その日の作業を始める前に1分間以上、といしを取り替えたときは3分間以上試運転する安衛則118条
② 電源コードと漏電しゃ断装置移動電線と接続器具の被覆・外装の損傷、漏電しゃ断装置の作動状態、接地線の異常を、その日の使用を始める前に点検する。異常があれば直ちに補修するか取り換える安衛則352条
③ といしの覆いと使い方覆いを設ける(直径50mm未満を除く)。最高使用周速度を超えて使わない。側面を使う目的のといし以外は側面を使わない安衛則117条・119条・120条

あわせて、といしの取替え、または取替え時の試運転の業務には特別の教育が必要です(安衛則36条1号)。点検そのものの資格ではありませんが、といしを替えて試運転するところまでが点検の流れに入るので、誰が替えるかは決めておく必要があります。

記録の保存義務は条文にありません

118条の試運転にも、352条の使用前点検にも、記録を残して何年保存するという条文はありません。ただし事故が起きたとき、その日どう確かめたかを説明できるのは記録だけです。元請の現場では、点検表に日付と名前を残す運用が一般的です。

ディスクグラインダーの点検項目|使う前に見る10か所

ディスクグラインダーの点検項目は、電源側から先端のといしへ向かって見ると漏れが出にくくなります。法令で決まっている項目と、メーカーの取扱説明書や現場の慣行で見る項目を分けて並べました。

見るところ異常の例根拠
電源コード・プラグ被覆の破れ、根元の折れ、芯線の露出、プラグの割れ・焦げ352条(法令)
漏電しゃ断器(電工ドラム・分電盤側)テストボタンを押しても切れない/漏電しゃ断器の無い延長コードにつないでいる352条・333条(法令)
本体ケース割れ、ねじの緩み、ハンドルのぐらつき取扱説明書
スイッチ入り切りしない、手を離しても止まらない、ロックが入ったままになっている取扱説明書
通風口・カーボンブラシ通風口の目詰まり、ブラシが限界摩耗線まで減っている取扱説明書
といしの覆い外されている、向きが手前側に回っていない、変形117条(法令)
といし(砥石)ひび・欠け、落としたもの、湿気を吸ったもの、使用期限切れメーカーの表示
といしの表示最高使用周速度・回転数が、本体の回転数に合っていない/外径が本体の指定と違う119条(法令)
取付け(フランジ・ロックナット)手締めのまま、フランジの裏表が逆、ナットの緩み取扱説明書
試運転振れ・異音・異常な振動がある118条(法令)

表のうち太字の行が、法令に関わるところです。現場ではここを「良・否」で残し、ほかの行は「異常があれば書く」にすると、毎日続けやすい点検になります。

ディスクグラインダーの試運転の時間は1分と3分

ディスクグラインダーの試運転は、安衛則118条でその日の作業を始める前に1分間以上、といしを取り替えたときは3分間以上と決まっています。入力候補にも「研削砥石 試運転 何分」が並ぶほど聞かれるところですが、答えはこの2つだけです。

ディスクグラインダーの使用前点検の流れ
① 電源を抜いて見るコード・プラグ・本体・覆い・といし
→
② 漏電しゃ断器を確かめるテストボタンで切れるか
→
③ 試運転その日最初は1分以上/といし交換後は3分以上
→
④ 記録して使う点検表に良否と名前
図:使う前の点検は「電源を抜いて目で見る → 電気の安全装置 → 回して確かめる → 残す」の順。試運転は最後に行う

試運転は、人のいない方向に向けて行います

試運転の目的は、といしが割れて飛ぶなら人のいないところで割らせることにあります。覆いの開いている側に人が立たない向きで構え、振れや異音、異常な振動がないかを見ます。異常があれば、そのといしは使わずに交換し、交換したら改めて3分以上回します。

「その日の作業を始める前」は1回とは限りません

午前と午後で別の人が使う、別の現場へ持って移動した、といった場合は、使う人が改めて試運転してから使う形にすると確実です。条文が求めているのは「その日の作業の前」ですが、落としたかもしれない機械は、時間に関係なく回して確かめるのが安全です。

ディスクグラインダーの点検で見落とされやすいところ

ディスクグラインダーの点検で、事故やヒヤリハットにつながりやすいのは次の4つです。どれも「回ったからよし」では見つかりません。

覆いを外したまま使っている

狭いところに当てたいときに覆いを外す使い方は、現場でよく見られます。覆いは、といしが割れたときに破片を受け止めるためのもので、外すと破片がそのまま人に向かいます。覆いは外さず、向きを変えて当てるのが基本です。届かない場所は、径の小さい機種や別の工具を選んでください。

本体と合わないといしを付けている

といしには最高使用周速度(または最高使用回転数)が書かれています。本体の回転数がそれを超えると、といしは遠心力で割れます(119条で使用が禁止されています)。外径の大きいといしを小型機に付ける、切断用と研削用を取り違える、といった付け方は避けてください。

落としたといし・湿ったといし

見た目に割れが無くても、落としたといしは内部にひびが入っていることがあります。研磨材メーカーも、落とした製品は使わないよう案内しています。保管中に湿気を吸ったといしも強度が落ちるので、乾いた場所に保管してください。

漏電しゃ断器の無い延長コード

本体とコードに異常が無くても、つないだ先に漏電しゃ断器が無ければ、漏電したときに止まりません。電工ドラムや延長コードまでが点検の範囲です。漏電しゃ断器付きのものを使い、テストボタンで作動を確かめてから使ってください。

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卓上グラインダーの点検と法令

卓上グラインダー(両頭グラインダー)の点検にも、ディスクグラインダーと同じ条文がかかります。覆い(117条)、試運転の1分と3分(118条)、最高使用周速度(119条)、側面使用の禁止(120条)は、手で持つか据え置くかに関係なく研削といし全般の決まりです。

卓上グラインダーで特に見るのは、ワークレスト(受け台)と研削といしのすき間と、調整片(上側のガード)と研削といしのすき間です。といしは使うほど減るので、すき間は日ごとに広がります。広がったすき間に材料が巻き込まれる事故が多いので、取扱説明書に書かれた値に毎回合わせてから使ってください。

据え置きの機械は電源コードを動かさないため、コードの点検が省かれがちです。電源コードと漏電しゃ断装置は352条の点検事項なので、卓上グラインダーでも使う日に確かめてください。

ディスクグラインダーの点検表(エクセル)の作り方

ディスクグラインダーの点検表は、1台に1枚より1台に1行のほうが現場で続きます。グラインダーだけでなく、丸のこや電工ドラム、脚立など、同じ日に使う道具をまとめて1枚に並べられるからです。一般には、元請の現場ごとに「持込機械の点検表」を1枚用意し、毎朝使う道具を書いていく形が多く見られます。

1行1台の点検表で残すこと
どの機械を点検日・機械の種類・型式と管理番号・使用者
どこを見たか①コード・プラグ ②本体 ③スイッチ ④漏電しゃ断器 ⑤機種ごとの確認(グラインダーは覆い・といし・試運転)
どうしたか判定(使用可・補修後使用・使用不可)と、不備の内容・処置・点検者
図:上段で機械を特定し、中段で見たところを良・否で残し、下段で使ってよいかを決める。下段が空欄のまま使わない

点検板の持込機械 使用前点検票は、この形で作ってあります。⑤の「機種ごとの確認」には、ディスクグラインダーなら覆いの取付け・といしのひび割れ・試運転を入れます。電動工具や溶接機の条文どおりの点検事項を1か月分の表で残したい場合は、電動工具・アーク溶接機 使用前点検表が向いています。

元請に出す持込機械等使用届の点検欄に何を書くかは、電気工具・電気溶接機使用届の点検欄に何を書くかで、条文の表から整理しています。

ディスクグラインダーの点検をしたあとに異常が見つかったら

ディスクグラインダーの点検で異常が見つかったら、その場で使うのをやめるのが原則です。352条も、コードや漏電しゃ断装置に異常を認めたときは「直ちに、補修し、又は取り換えなければならない」としています。

  • コードの被覆の破れ:テープで巻いて使い続けない。コードを交換するか、修理に出す
  • 覆いの変形・欠品:純正の覆いを付けるまで使わない
  • 試運転で振れ・異音:といしを外して確かめ、ひび・欠けがあれば交換。交換したら3分以上の試運転からやり直す
  • スイッチの戻りが悪い:手を離しても止まらないものは使わない。修理に出す

止めた機械には「使用禁止」の札を付け、点検表の不備の欄に何を見つけて誰に伝えたかを書きます。直したあとは、もう一度点検してから「補修後使用」として使い始めます。止める判断は、点検した人がしてよいことにしておくと、迷ったまま使われることが減ります。

点検板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. ディスクグラインダーの点検は法律で義務ですか
一部が義務です。といしの試運転(その日の作業前に1分以上、取替え時は3分以上。安衛則118条)と、電源コード・漏電しゃ断装置の使用前点検(安衛則352条)は法令で決まっています。本体の点検そのものを定めた条文はありませんが、取扱説明書の点検項目もあわせて見るのが一般的です。
Q. 試運転は何分すればいいですか
その日の作業を始める前は1分間以上、といしを取り替えたときは3分間以上です(安衛則118条)。人のいない方向に向けて回し、振れや異音がないかを見ます。
Q. といしの交換に資格は要りますか
研削といしの取替え、または取替え時の試運転の業務には特別の教育が必要です(安衛則36条1号)。交換する人は、この特別教育を受けた人に決めておいてください。
Q. 点検の記録は何年保存しますか
試運転にも使用前点検にも、保存年限を定めた条文はありません。事故が起きたときの説明資料になるので、少なくともその工事が終わるまでは残しておくことをおすすめします。
Q. 充電式のディスクグラインダーも同じ点検ですか
といしの試運転・覆い・最高使用周速度の決まりは同じです。電源コードが無いので352条のコードの点検はかかりませんが、バッテリーと充電器の割れ・端子の汚れは取扱説明書に沿って見てください。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-11-01時点の情報です。