設備点検

機械の始業前点検表の作り方|現場に貼る様式の設計

公開 2026-05-12更新 2026-09-07 執筆 点検板 編集部

始業前点検表は、現場に貼って手書きで運用するのが基本です。パソコンを開いて入力する運用にすると、まず続きません。

この記事では、法定義務がある機械の確認、項目の絞り込み方、そして印刷して使うための様式設計をまとめます。

機械始業前点検表(Excel・無料)作業開始前に必ず確認する項目だけに絞った、現場掲示・印刷前提のチェックリスト。
テンプレートを見る
この記事の内容(5項目)

まず「法定義務がある機械」を確認する

作業開始前点検が労働安全衛生規則で義務付けられている機械があります。自社にあるか確認してください。

機械点検項目根拠
フォークリフト制動装置・操縦装置、荷役装置・油圧装置、車輪、灯火・警報装置安衛則151条の25
車両系建設機械ブレーキ及びクラッチの機能安衛則170条
高所作業車制動装置、操作装置、作業装置の機能安衛則194条の27
クレーン巻過防止装置・ブレーキ・クラッチ・コントローラー、レール、ロープクレーン則36条
玉掛用具ワイヤロープ等の異常の有無クレーン則220条
不整地運搬車制動装置・クラッチ・操作装置安衛則151条の55
プレス機械クラッチ・ブレーキ、安全装置ほか安衛則136条

これらは条文の表現をそのまま項目にするのが安全です。監督署に「法定項目はどれですか」と聞かれたときに示せます。社内で追加する項目とは分けて書いてください。

法定+社内項目は2種類に分ける
5〜8項目続く項目数の上限
1〜2分目標の所要時間
A4横現場に貼る前提の
印刷設計

法定義務がない機械の項目の決め方

旋盤・マシニング・コンプレッサーなど、法定の作業開始前点検が定められていない機械も多くあります。この場合の項目は「異常があったら止める判断につながるか」で選びます。

項目を絞る判断
止める判断に直結非常停止、インターロック、
異音、油漏れ
毎日見る
劣化がゆっくりベルトの張り、
締結部の緩み
→ 月次に回す
専門知識が必要絶縁抵抗、精度測定
→ 年次・専門業者へ
毎日見る項目を増やしすぎない。5〜8項目が続くラインの上限

汎用的に使える始業前点検の項目例:

  • 非常停止ボタンが作動するか
  • 安全カバー・安全柵が正しく取り付けられているか
  • インターロックが正常に働くか
  • 油圧・空圧の漏れがないか
  • 潤滑油・切削油の量が規定範囲か
  • 異音・異臭がないか
  • 工具・治具・チャックが確実に固定されているか
  • 周囲に不要物がなく通路が確保されているか
機械始業前点検表(Excel・無料)作業開始前に必ず確認する項目だけに絞った、現場掲示・印刷前提のチェックリスト。
テンプレートを見る

現場に貼る様式の設計

手書き運用を前提にすると、設計の条件が決まります。

  • A4横・1ヶ月1枚|縦に項目、横に1〜31日のマトリクス。月末に差し替えて綴じる
  • 行の高さを確保|18pt以上。狭いと書けません
  • 判定は記号1文字|○×/。文字を書かせると時間がかかります
  • 異常時の記入欄を下部に大きく|ここだけは文章を書くので広く取る
  • 点検者と確認者の欄を分ける|毎日サイン、確認者は週1回でよい

異常時の報告動線を様式に書く

点検表の最大の目的は、異常を見つけたときに正しく動くことです。様式の欄外に次を印刷しておきます。

異常を見つけたら
① 機械を止める ② 「使用禁止」の札を掛ける ③ ○○(責任者)へ連絡
連絡先:内線△△/携帯□□

「誰に言えばいいか分からない」が、報告されない最大の理由です。名前と連絡先を紙に印刷しておくだけで報告率が変わります。

機械 始業前点検表(Excel・無料)

縦に項目・横に31日のマトリクス様式です。判定はドロップダウン、異常時の内容と処置を書く欄つき。A4に収まる印刷設定済みで、そのまま現場に貼れます。

機械 始業前点検表を見る

記録をどう扱うか

始業前点検の記録には、多くの場合、法定の保存義務がありません(定期自主検査は3年保存)。それでも残す理由は3つあります。

  • 異常の発見日が特定できる|いつから兆候があったかが分かる
  • 実施の証明|労災調査で「点検していた」と示せる
  • 点検の質が上がる|記録が残ると分かっていると、見方が変わります

運用は月末に回収してファイルに綴じるだけで十分です。1年程度保管し、それ以降は廃棄して構いません(保存期間の考え方は記録の保存期間の記事)。

全部○が続いたら疑う

1ヶ月すべて○の点検表が並んでいたら、形骸化している可能性があります。実際には切削油が減る日も、異音がする日もあるはずです。確認者は「×が一度もない」ことを異常と捉えて、現場に声をかけてください。

日常点検・月次点検との役割分担は設備点検の種類と頻度にまとめています。

よくある質問

Q. 始業前点検は誰が行いますか?
その機械を使う作業者本人が行います。使う人が確認することに意味があるため、点検専任者を置くのは本来の趣旨と異なります。
Q. 記録の保存義務がないなら、記録しなくてもよいですか?
法令上は問題ありませんが、実施の証明ができなくなります。労災調査や監督署の臨検で「点検していた」と主張する根拠がなくなるため、記録は残すことを強くおすすめします。
Q. 機械が多すぎて点検表が管理しきれません
1機械1様式が原則ですが、同型機が複数ある場合は1枚に機械番号の列を作ってまとめられます。ただし異常があったときにどの機械か分かるようにしてください。
Q. 点検を忘れた日はどうすればよいですか?
空欄のままにし、後から遡って記入しないでください。「実施していない」ことも記録の一部です。頻発する場合は、点検が業務動線に組み込まれていないサインです。
機械始業前点検表(Excel・無料)作業開始前に必ず確認する項目だけに絞った、現場掲示・印刷前提のチェックリスト。
テンプレートを見る

この記事で紹介した無料テンプレート

本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-07時点の情報です。