設備月次点検の作り方|数値を残して故障の予兆をつかむ
日常点検が「今日使えるか」を見るのに対し、月次点検は「この先も使えるか」を見ます。目的が違うので、項目も記録の仕方も変わります。
最大の違いは数値を残すこと。○×だけの月次点検表は、日常点検の焼き直しにしかなりません。この記事で月次点検の設計をまとめます。
月次点検で見る5領域
| 領域 | 主な項目 | 数値で残すもの |
|---|---|---|
| 駆動・伝動 | 給脂、ベルト・チェーンの張り、カップリング、軸受け | 軸受け温度、振動 |
| 締結・構造 | 基礎ボルト、フレーム、防振ゴム | — |
| 電気 | 配線・端子、制御盤内の粉じん、表示灯 | 電流値、絶縁抵抗 |
| 安全装置 | 非常停止、インターロック、リミッタ、警報 | 作動圧力・作動温度 |
| 流体・潤滑 | 油量、油の汚れ、漏れ、フィルタ | 圧力、差圧、油量 |
変化を捉える
期間
作動確認する
安全装置の作動確認は月次で必ず行ってください。非常停止ボタンやインターロックは、普段使わないため壊れていても気づきません。いざというときに効かない事態を防ぐには、定期的に押して確かめるしかありません。
なぜ数値で残すのか
○×だけの記録
「電流値:○(正常)」3ヶ月続けても「正常」しか残らない。
故障の直前まで何も見えない。
数値の記録
「電流値:12.1A → 12.8A → 13.5A」上昇傾向が見える。
壊れる前に手が打てる。
軸受けの劣化
潤滑不足
内部漏れ
測定値は同じ条件で測ることが前提です。負荷の状態、運転時間、測定箇所を揃えないと比較になりません。点検表に「測定条件」の欄を設けておくと、条件が変わったときに気づけます。
日常・年次との役割分担
| 日常点検 | 月次点検 | 年次点検 | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 今日使えるか | この先も使えるか | 法定義務/分解整備 |
| 誰が | 使う本人 | 保全担当 | 有資格者・専門業者 |
| 記録 | ○×中心 | 数値中心 | 詳細な検査記録 |
| 時間 | 1〜2分 | 15〜30分 | 半日〜 |
月次点検は設備を止めて行う項目が含まれます(給脂、締結部の増し締め、安全装置の作動確認)。生産計画に組み込んでおかないと「今日は忙しいから来週」が続き、結局やらなくなります。月の何日にやるかを固定してください。
法定の定期自主検査と混同しない
「月次点検」という言葉は、社内の自主的な点検と、法定の定期自主検査の両方に使われます。この2つは別物です。
- 社内の月次点検|自社で項目・頻度を決める。記録の保存義務なし
- 法定の定期自主検査(月例)|フォークリフト・建機・クレーンなど。項目が法定、記録3年保存
法定対象の機械については、法令の項目を満たした専用の様式を使ってください(特定自主検査の記事)。社内の月次点検表に混ぜると、法定項目が満たされているかの確認ができなくなります。
記録を保全履歴につなげる
月次点検で見つけた異常と、その処置は設備の保全履歴に蓄積してください。「いつ何を交換したか」が残ると、次の交換時期が読めるようになります(保全履歴の記事)。
点検体系全体の設計は設備点検の種類と頻度にまとめています。
よくある質問
- Q. 月次点検はいつ実施するのがよいですか?
- 毎月同じ日(第1営業日、5日など)に固定するのがおすすめです。設備を止める必要がある場合は、生産計画に組み込んで事前に調整してください。
- Q. 測定器がない場合はどうすればよいですか?
- クランプメーター(電流)、放射温度計(温度)、差圧計があれば大半の項目に対応できます。いずれも高価なものではないため、投資する価値があります。
- Q. 測定値の正常範囲はどう決めますか?
- メーカーの仕様書に記載があればそれに従います。ない場合は、設備が正常な時期の実測値を数回とって基準値とし、そこからの変化率で判断してください。
- Q. 月次点検の記録はどのくらい保管しますか?
- 社内の月次点検に法定の保存義務はありませんが、傾向の分析には最低でも1〜2年分が必要です。設備を廃棄するまで保管すると、更新の判断材料になります。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-22時点の情報です。