冷蔵庫・冷凍庫温度管理表の作り方|HACCPの温度記録を毎日続ける仕組み
保健所の立入りや営業許可の更新で「温度記録を見せてください」と言われる|HACCPに沿った衛生管理が制度化されて以降、冷蔵庫・冷凍庫の温度記録は、飲食店・給食施設・介護施設の厨房にとって「やっていて当たり前」の記録になりました。
この記事では、温度管理表に必要な項目と作り方、冷蔵・冷凍それぞれの基準温度の目安、異常があったときの書き方、そして現場が毎日続けられる運用のコツをまとめます。設計済みの無料Excelテンプレート(無料・メールでお送りします)もあります。
この記事の内容(6項目)
なぜ温度記録が必要か|HACCPでの位置づけ
2021年6月から、原則すべての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務化されました。小規模な飲食店は簡略化された「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよいとされていますが、その中核が衛生管理計画と、実施した記録です。
冷蔵庫・冷凍庫の温度は、この記録の代表格です。細菌の多くは10℃以下で増殖が遅くなり、-15℃以下で停止するとされており、庫内温度の維持は食中毒予防の土台になります。逆に言えば、扉の閉め忘れ・詰め込みすぎ・機器の故障による温度上昇は、日々の記録でしか捕まえられません。
保健所の監視指導でも、温度記録の有無と継続性は必ず見られるポイントです。「記録がない」は「管理していない」と同じ評価になるため、様式を決めて毎日つける仕組みを作ることがスタートラインです。
(-18℃以下推奨)
(営業前・営業後)
基準温度の目安|冷蔵・冷凍・特殊なケース
管理基準は食品衛生法の規格・通知と、扱う食材で決まります。一般的な目安を整理します。
| 区分 | 基準の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 10℃以下(多くの店は5℃前後で運用) | 食肉・生食用鮮魚介類は 10℃以下が規格。余裕を見て低めに設定 |
| 冷凍庫 | -15℃以下(-18℃以下推奨) | 冷凍食品の保存基準は-15℃以下。品質面では-18℃以下が望ましい |
| ショーケース・ネタケース | 店の管理基準を設定 | 開閉が多く温度が上がりやすい。時間帯での変動を把握する |
大事なのは、法令の数字をそのまま書くのではなく、自店の「管理基準温度」を機器ごとに決めて様式に明記することです。基準が書いてあれば、記録した数値が正常か異常かをその場で判断できます。
温度管理表に必要な項目|この7つで足りる
様式はシンプルで構いません。必要な項目は次の7つです。
- 機器名・設置場所|「冷蔵庫①(調理場)」のように誰でも特定できる名前
- 管理基準温度|機器ごとに明記(例:5℃以下)
- 日付|1ヶ月1枚のマトリクスが定番
- 測定値(午前・午後)|営業前と営業中〜後の2回が標準的
- 異常の有無
- 異常時の処置|何をしたかを書く欄。ここが最重要
- 記録者・確認者|つけた人と、週1回など定期的に見る責任者
測定は庫内温度計(外部表示のデジタル式が便利)を読み取って転記します。○×ではなく数値で記録するのがポイントです。「8℃・9℃・9.5℃」と徐々に上がる傾向は、故障の前兆をつかむ唯一の手がかりで、○×では絶対に見えません。
冷蔵庫・冷凍庫温度管理表(Excel・無料)
機器ごとの基準温度・午前午後の測定値・異常時の処置・月間の平均/最高温度まで記録できる様式です。印刷して厨房に貼る前提のA4設計。メールアドレスをご入力いただくと、すぐにダウンロードリンクをお送りします。
温度管理表を見る異常があったときの書き方|「捨てた・直した・様子を見た」を残す
温度記録の価値は、異常時の記録で決まります。基準を超えていたときは、次の3点を書きます。
- 状況|「冷蔵庫①が9℃。扉の閉まり不良」
- 食材の判断|「庫内の生鮮品は中心温度を確認し使用/期限内だが状態不良のため廃棄」など、食材をどうしたか
- 機器の処置|「パッキン清掃で復旧」「メーカーへ修理依頼(○日予定)」
このとき「何℃まで上がって、何時間その状態だったか」が分かると、食材の廃棄判断が的確になります。デジタル温度計の最高・最低温度メモリ機能を使うと、夜間の異常も朝の記録で拾えます。
異常の記録は、万一の食中毒疑い時に「この日は正常に管理していた」ことを示す証拠にもなります。書きにくいことこそ書いてある記録が、信頼される記録です。
毎日続ける運用のコツ
温度記録が続かない原因は、様式ではなくほぼ運用です。効果が実証されているコツを3つ挙げます。
- タイミングを既存業務に紐づける|「開店前チェックの1項目」「締め作業の1項目」にすると、単独のタスクとして忘れることがなくなります。開店前後の確認全体は開店前チェックリストと組み合わせるのが定番です。
- 記録用紙は機器の近くに貼る|事務所のファイルに綴じた様式は続きません。クリップボードで冷蔵庫の扉横に。月末回収でファイルへ。
- 確認者は「異常欄だけ」見る|店長・施設長が週1回、異常の処置が完了しているかだけを確認します。全マスのチェックは不要です。
記録の保存期間に全国一律の定めはありませんが、営業許可の監視指導のサイクルを考えると1年程度の保存が実務の標準です。自治体のHACCP手引きで期間が示されている場合はそちらに従ってください。
よくある質問
- Q. 温度記録は1日に何回つければよいですか?
- 小規模店では1日1〜2回(営業前・営業後)が一般的です。HACCPの考え方を取り入れた衛生管理では頻度の一律の定めはなく、自店の衛生管理計画で決めた頻度を守ることが重要です。
- Q. 自動記録(IoT温度計)なら手書きは不要ですか?
- 自動記録データも記録として有効です。ただし異常時に「食材をどうしたか」の判断記録は自動化できないため、異常対応の記録欄は残してください。
- Q. 何℃になったら食材を捨てるべきですか?
- 一律の基準はなく、温度の上がり幅と時間、食材の種類で判断します。判断に迷う場合は「疑わしきは使わない」が原則です。廃棄判断の目安をあらかじめ衛生管理計画に書いておくと、現場が迷いません。
- Q. 保健所に温度記録の提出を求められますか?
- 営業許可の更新時や監視指導の際に、記録の閲覧を求められることがあります。提出義務というより「継続して記録しているか」の確認です。直近数ヶ月分をすぐ出せる状態にしておきましょう。
この記事で紹介した無料テンプレート
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-02時点の情報です。