アルコールチェック記録簿の書き方|法定8項目・1年保存・直行直帰の運用まで
2022年4月に白ナンバー(自家用)の事業者にも酒気帯び確認が義務化され、2023年12月からはアルコール検知器の使用が完全義務化されました。制度対応として記録簿を用意したものの、「この書き方で監査に耐えるのか」「直行直帰の日はどう書くのか」と不安なまま運用している会社が少なくありません。
この記事では、記録簿に必要な法定8項目とそれぞれの書き方、保存期間、非対面確認の正しいやり方、よくあるNG記録のパターンを整理します。法定8項目を満たした無料のExcel記録簿(無料・メールでお送りします)も配布しています。
この記事の内容(6項目)
誰に義務があるか|安全運転管理者の選任事業所
アルコールチェック義務の主体は安全運転管理者です。次のいずれかに該当する事業所は安全運転管理者の選任が必要で、選任事業所には酒気帯び確認と記録が義務付けられます(道路交通法施行規則9条の10)。
- 乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用
- その他の自動車を5台以上使用(自動二輪は1台を0.5台で計算)
選任基準(乗用車)
使用が完全義務化
「営業車4台だから対象外」と思っていても、役員車や貸出用車両を含めると5台に達しているケースがあります。台数のカウントは事業所(拠点)単位です。確認義務の内容は次の2点です。
- 運転者の運転前後に、目視等とアルコール検知器で酒気帯びの有無を確認する
- 確認の内容を記録し、1年間保存する。検知器を常時有効に保持する
記録簿の法定8項目と書き方
記録すべき項目は施行規則で8つ定められています。それぞれの書き方のポイントを添えて整理します。
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| ①確認者名 | 原則は安全運転管理者。副安全運転管理者や補助者でも可(補助者は社内で指名しておく) |
| ②運転者名 | 運転する本人。同乗者は不要 |
| ③自動車のナンバー等 | 登録番号、または車両を識別できる記号・番号(社番でも可) |
| ④確認の日時 | 運転前・運転後それぞれの日時。「業務開始前・終了後」のまとめ確認でも可とされる |
| ⑤確認の方法 | 「対面・検知器使用」が基本形。非対面の場合は具体的方法(電話+検知器等)を書く |
| ⑥酒気帯びの有無 | 「無/有」。検知器の測定値もあわせて記録すると説明力が上がる |
| ⑦指示事項 | 異常時の指示(運転禁止・帰宅指示等)。通常時は空欄で可 |
| ⑧その他必要な事項 | 非対面時の補足(写真送付を確認等)、検知器の不調時の代替方法など |
様式は自由で、法定様式はありません。8項目が揃っていること・毎回書けること・1年保存できることの3条件を満たせばExcelでも紙でも問題ありません。
アルコールチェック記録簿(Excel・無料)
法定8項目に番号を振ってそのまま採録し、運転前後の確認方法・検知器測定値をドロップダウンで記録できる様式です。1ヶ月1シートで1年保存にも対応。メールでダウンロードリンクをお送りします。
アルコールチェック記録簿を見る直行直帰・早朝深夜|非対面確認の正しいやり方
運用で最も質問が多いのが、対面確認ができないケースです。確認は対面が原則ですが、直行直帰や出張などやむを得ない場合は「対面に準ずる方法」が認められています。要件は次の2つです。
- カメラ・モニター・電話などで、運転者の顔色・応答の声の調子を確認すること
- 運転者に携帯型アルコール検知器を使用させ、測定結果を報告させること
実務の定番は「電話で声を確認+検知器の測定結果を口頭報告+測定画面の写真をチャットで送付」です。記録簿の⑤確認方法に「電話・検知器使用」、⑧その他に「測定値の写真送付を確認」と書けば、確認の実態が後から追えます。
早朝出発で安全運転管理者が不在の場合は、補助者(あらかじめ指名した者)が確認して記録し、後で安全運転管理者が記録を確認する運用が一般的です。「本人の自己申告のみ」「LINEに『飲んでません』とだけ送る」は確認方法の要件を満たさないので注意してください。
よくあるNG記録|監査・警察の確認で指摘されるパターン
記録簿が形だけになっている会社で共通して見られるNGパターンを挙げます。自社の記録簿と見比べてください。
- 運転後の確認が抜けている|義務は「運転前後」。前だけの記録簿が非常に多い
- 確認日時が「8:00」で全員同時刻|まとめて後から書いた痕跡。実際の確認時刻を書く
- 検知器の記載がどこにもない|2023年12月以降は検知器使用が義務。確認方法欄に明記する
- 「有」になった日の指示事項が空欄|酒気帯びが出たのに何も指示していない記録は最悪の証拠になる。運転禁止の指示と代替手段まで書く
- 記録が月の途中から無い|継続性は最重要。忙しい日ほど記録が残る動線(出庫時に記録場所を通る等)を作る
安全運転管理者には年1回の法定講習があり、警察(公安委員会)は事業所への報告徴収・立入りの権限を持っています。事故時には警察・保険会社・労基署のいずれからも記録の提示を求められる可能性があります。
検知器の管理と、車両管理全体への組み込み
意外に漏れるのが検知器そのものの管理です。義務は「常時有効に保持」で、具体的には次の運用が求められます。
- 電源が入り正常に作動するか、損傷がないかを毎日確認
- メーカーが定める校正・センサー交換の時期(使用回数または期間)を守る
- 故障時の予備機または代替手段を決めておく
検知器の交換時期は「◯回使用または◯年」の形が多く、忘れやすい典型的な期限です。車検・保険・12ヶ月点検と一緒に車両の期限管理表に載せてしまうのが確実です。
アルコールチェックは車両管理の一部です。運転者の日常点検(社用車日常点検表)とセットで「出庫前のルーティン」に組み込むと、どちらの記録も安定します。制度全体の整理は車両点検の義務の記事をご覧ください。
よくある質問
- Q. アルコールチェックの記録は何年保存ですか?
- 1年間の保存が義務です(道路交通法施行規則9条の10)。日常点検記録や点検整備記録簿(2年)と保存期間が異なるため、様式ごとに保存年限を明記しておくと管理しやすくなります。
- Q. マイカー通勤や私用運転も確認の対象ですか?
- 義務の対象は「業務で使用する自動車の運転」です。マイカーでも業務に使用させている場合(営業回り等)は対象になります。通勤のみの使用は義務の対象外ですが、社内規程で確認対象にしている会社もあります。
- Q. 検知器はどんなものを使えばよいですか?
- 国家公安委員会が定める要件(酒気帯びの有無を音・色・数値等で示すもの)を満たせば市販の携帯型で構いません。数値表示型は記録に測定値を残せるため、説明力の面でおすすめです。
- Q. 酒気帯びが確認されたらどうすればよいですか?
- その運転者を運転させてはいけません。運転禁止を指示し、代替運転者の手配や業務変更を行い、指示内容を記録簿の⑦指示事項に残します。就業規則上の扱い(懲戒・再発防止)も整備しておくと対応が一貫します。
この記事で紹介した無料テンプレート
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-02時点の情報です。