法定12ヶ月点検(1年点検)とは?内容・費用・時間・受けない場合を解説
ディーラーや整備工場から「法定12ヶ月点検のご案内」が届いて、受けるべきか迷っていませんか。車検は2年ごとなのに、その間の年にもう1回点検があるの? 義務なの? 受けないと罰則は?|という疑問に、この記事で順に答えます。
法定12ヶ月点検(1年点検・法定1年点検とも呼ばれます)は、道路運送車両法48条で車の使用者に義務付けられた定期点検です。罰則はありませんが、受けないことによる実質的なデメリットがいくつかあります。内容・費用・時間の目安とあわせて整理します。
この記事の内容(9項目)
法定12ヶ月点検とは|車検の「間の年」に行う点検
法定12ヶ月点検は、1年ごとに行う定期点検整備です。自家用乗用車の車検は2年ごと(初回3年)なので、スケジュールとしては「車検 → 1年後に12ヶ月点検 → 1年後に車検(24ヶ月点検を同時実施)」の繰り返しになります。
「1年点検」「法定1年点検」「年次点検」はすべて同じものを指します。ディーラーの案内では「安心点検」などの独自名称とセットになっていることもありますが、中核は法定の12ヶ月点検です。
(自家用乗用車・国交省)
(部品交換は別)
(道路運送車両法48条)
目的は車検と異なり、故障・事故の予防です。車検が「今この瞬間、保安基準を満たしているか」を見るのに対し、12ヶ月点検はブレーキを分解してパッドの残量を測るなど、これから1年使い続けられるかを確認します。
点検の内容|1年ごとの29項目で見る場所
自家用乗用車の12ヶ月点検で見る項目は、国の自動車点検基準(別表第6)に決められています。国土交通省の案内では1年ごとに29項目、2年ごとはその29項目を含む60項目です。整備工場の案内で「26項目」「27項目」と書かれているのは、数え方や改正前の数字の違いです。主な内容を場所別にまとめます。
| 場所 | 主な点検内容 |
|---|---|
| ブレーキまわり | ディスクパッド・ライニングの摩耗、ブレーキの効き、ホース・パイプの漏れ・損傷 |
| エンジンルーム | エンジンオイルの漏れ、冷却水の漏れ、ベルトの緩み・損傷、バッテリーのターミナル、点火装置 |
| 足まわり・下まわり | タイヤの溝・偏摩耗、ホイールのナットの緩み、サスペンションの損傷、オイル漏れ |
| その他 | クラッチ・トランスミッションの状態、排気の状態、車枠・車体の緩みや損傷、車載式故障診断装置(OBD)の診断の結果 など |
特徴は、ブレーキパッドの摩耗やドラムとライニングのすき間など、ホイールを外さないと見えない箇所の点検が含まれることです。日常点検やガソリンスタンドの無料点検では見えない箇所を確認するのが12ヶ月点検の価値で、ブレーキパッド残量の減りはここで初めて数値として把握されることが多いです。
費用と所要時間の目安
費用は依頼先と車種で変わります。おおまかな目安は次のとおりです。
- ディーラー|純正基準での点検と整備提案がセット。保証との連携が確実
- 整備工場・カー用品店|ディーラーより安めの設定が多い。かかりつけを作ると相談しやすい
これは点検料のみの金額で、点検の結果オイル・ブレーキパッド・ワイパーなどの交換が必要になれば部品代・工賃が追加されます。「点検費用+消耗品交換で合計2〜4万円」あたりが実感値になることが多いでしょう。
所要時間は1〜2時間程度、予約状況によっては半日〜1日預けるケースもあります。車検と違って有効期限に追われる作業ではないので、代車の要否も含めて余裕のある日程で予約するのがおすすめです。
受けないとどうなる?|罰則なし、でも不利益あり
自家用乗用車の12ヶ月点検に罰則はありません。未実施でも車検には通りますし、取り締まりもありません。ただし次の不利益が現実に発生します。
- メーカー保証・延長保証の条件を満たさない場合がある|保証書には多くの場合「法定点検の実施」が条件として書かれています。エンジンやミッションの高額修理で記録簿の提示を求められたとき、未実施だと保証が受けられないリスクがあります。
- 不具合の発見が車検まで持ち越される|ブレーキ・ベルト類の劣化は進行してから直すほうが高くつきます。
- 売却時の査定|記録簿の揃った「整備履歴の分かる車」は中古車市場で評価されます。
- 社用車では会社のリスクに直結|業務中の事故で整備不良が絡むと、会社の車両管理体制が問われます。従業員を乗せる車ほど、点検の実施と記録が重要です。
「新しい車だから大丈夫」と思われがちですが、保証を守るためにこそ記録が要る、という逆説がいちばんの受ける理由です。
期限の管理|「実施日から1年」を見える化する
12ヶ月点検が漏れやすいのは、車検のような満了日の記載がどこにもないからです。頼りになるのは、前回点検時に整備工場が貼るダイヤルステッカー(次回時期の表示)と、点検整備記録簿の実施日だけです。点検整備記録簿は車に備え置き、点検の年月日・結果・整備の概要などを書くことが定められており(道路運送車両法49条)、自家用乗用車では記載の日から2年間の保存とされています(自動車点検基準4条2項)。
個人の車なら、ディーラー・整備工場の点検パック(車検と点検のセット契約)に入れば案内が来るので漏れません。社用車を複数台管理している場合は、台帳での一元管理が必須です。車両ごとに12ヶ月点検の実施日を記録し、そこから1年後の期限を自動計算すれば、月1回の確認で全車両をカバーできます。
12ヶ月点検の期限を自動計算する車両台帳
車検・自賠責・任意保険・12ヶ月点検・リースの期限を車両ごとに1枚で管理。12ヶ月点検は実施日を入れると次回期限が自動計算され、直近の期限が60日を切ると赤く表示されます。
車検・保険 期限管理表(Excel・無料)を見る法定12ヶ月点検にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
法定12ヶ月点検の義務そのもの(道路運送車両法48条)と1年という周期は変わっていません。ここ数年で変わったのは、電子制御の装置をどう確かめるかです。点検の話と車検の話が混ざりやすいので、分けて並べます。
| 時期 | できごと | 点検か車検か | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 2021年10月1日 | 定期点検に「車載式故障診断装置の診断の結果」の点検(OBD点検)が加わる | 点検 | 国土交通省「点検整備の種類」、自動車点検基準 別表第6 |
| 2024年10月1日 | 車検に「電子装置の検査」(OBD検査)が加わる。対象は2021年10月1日以降のフルモデルチェンジ車 | 車検 | 国土交通省 OBD検査のページ |
| 2025年10月1日 | 輸入車のOBD検査が始まる。対象は2022年10月1日以降のフルモデルチェンジ車 | 車検 | 同上 |
| 2025年10月8日 | 国土交通省の「自動車の点検及び整備に関する手引」の改正が施行(2025年7月8日公布)と案内されている | 点検 | 国土交通省「点検整備の種類」 |
ポイントはここです。自動ブレーキなどの警告灯が点いたままの車は、12ヶ月点検でも車検でも見つかる対象になりました。点検の予約のときに、メーター内の警告灯が点いていないかを先に伝えておくと、診断の段取りがスムーズです。
出典:国土交通省 点検整備の種類、国土交通省 OBD検査について、e-Gov法令検索(道路運送車両法)、同(自動車点検基準)。確認日は2026年10月3日です。個別の車の扱いは、最寄りの運輸支局か、点検を頼む整備工場にご確認ください。
法定12ヶ月点検に出てくる用語
法定12ヶ月点検の案内や記録簿に出てくる言葉を、出典つきでまとめます。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 定期点検 | 車の種類・用途ごとに決められた期間(3か月・6か月・1年)ごとに、国の基準で行う点検。12ヶ月点検はこの1年の区分 | 道路運送車両法48条1項 |
| 日常点検 | 走行距離や運行の状態から判断した適切な時期に、灯火やブレーキなどを目で見て確かめる点検 | 道路運送車両法47条の2 |
| 点検整備記録簿 | 点検の年月日・結果・整備の概要などを書いて車に備え置く記録。自家用乗用車は2年保存 | 道路運送車両法49条、自動車点検基準4条 |
| 自動車点検基準 別表第6 | 自家用乗用自動車などの定期点検の基準。1年ごとと2年ごとの欄がある | 自動車点検基準2条5号 |
| OBD点検 | 「車載式故障診断装置の診断の結果」の点検。OBD点検という呼び名は法令上の定義ではなく、国土交通省の案内での呼び方 | 自動車点検基準 別表第6、国土交通省 |
| 前検査・後整備 | 車検を先に受け、点検整備をあとで行うこと。法令上の定義はない | 整備業界での呼び方 |
| 自動車検査証の有効期間 | いわゆる車検の期限。新車の自家用乗用車は初回3年、その後2年 | 道路運送車両法61条 |
法定12ヶ月点検と一緒に押さえておきたいこと
法定12ヶ月点検は「1年に1回、整備工場に出す」で足りることが多いのですが、会社の車を管理する立場だと、次の3点で差が出ます。
社用車は、車の区分で周期が変わる
12ヶ月点検(1年ごと)の対象は、道路運送車両法48条1項3号の車です。自家用の小型・普通の貨物車(車両総重量8トン未満の4ナンバー・1ナンバー)やレンタカーは6か月ごと、事業用の車や車両総重量8トン以上の自家用車などは3か月ごとの区分に入ります(同項1号・2号、自動車点検基準3条)。社用車を1枚の台帳で管理するときは、車ごとに周期の欄を持たせると取り違えが起きません。区分ごとの違いは社用車の点検義務で整理しています。
走る距離が少ない車は、省ける項目がある
自動車点検基準の別表第6では、印の付いた項目について、1年あたりの走行距離が5千キロメートル以下の車は行わないことができるとされています。ただし前回の点検でその項目を行わなかった場合は除かれます。営業車ではない、ほとんど動かない車を持っている場合は、整備工場に走行距離を伝えて相談するとよいでしょう。
時期を過ぎてしまったら、気づいた時点で受ける
12ヶ月点検の時期を過ぎても罰則はなく、車が使えなくなることもありません。法律上は点検をすること自体が使用者の義務なので(道路運送車両法48条)、過ぎたと気づいたら早めに予約して受け、記録簿に実施日を残すのが基本です。次回の時期はその実施日から数え直せます。車検の時期と重なるときの考え方は法定点検と車検の違いで扱っています。
よくある質問
- Q. 12ヶ月点検と車検はどちらが大事ですか?
- 性質が違うため比較はできません。車検は受けなければ公道を走れない強制の検査、12ヶ月点検は故障予防のための義務です。車検だけでは1年目の劣化を誰も見ていない状態になるため、セットで考えてください。
- Q. 新車でも12ヶ月点検は必要ですか?
- 必要です。新車は初回車検まで3年あるため、1年目・2年目に12ヶ月点検が2回やって来ます。メーカー保証の条件になっていることが多く、新車ほど受ける実益があります。
- Q. 12ヶ月点検はどれくらい前から受けられますか?
- 車検と違い有効期間の概念がないため、時期の前後に厳密な決まりはありません。前回実施から概ね1年を目安に、都合のよい日で予約してください。
- Q. 軽自動車も12ヶ月点検の対象ですか?
- 対象です。自家用の軽自動車は乗用・貨物とも1年ごとの区分に入ります。周期が違うのは、事業用の車や車両総重量8トン以上の自家用車など(3か月ごと)と、自家用の小型・普通の貨物車やレンタカーなど(6か月ごと)です(道路運送車両法48条1項、自動車点検基準3条)。
- Q. 点検整備記録簿はいつまで保存しますか?
- 自家用乗用車など1年ごとの点検の対象になる車は、記載の日から2年間です。3か月・6か月ごとの点検の車は1年間とされています(自動車点検基準4条2項)。記録簿は車に備え置くことになっています(道路運送車両法49条)。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点の情報です。