車両

法定点検と車検の違いとは?受けないとどうなるかまで整理する

公開 2026-08-02 執筆 点検板 編集部

「車検を通したばかりなのに、ディーラーから法定点検の案内が来た。車検と何が違うの?」──車を持つと必ず一度は浮かぶ疑問です。両方とも道路運送車両法に基づく制度ですが、目的がまったく違います。

ひとことで言えば、車検は「その車が公道を走ってよいか」を国が確認する検査法定点検は「故障や事故を防ぐため」に使用者が行う点検です。この記事では2つの違いを表で整理し、法定点検を受けないとどうなるか、費用の目安、記録簿の扱い、社用車を複数台持つ会社の管理方法まで解説します。

車検・保険期限管理表(Excel・無料)

車検・自賠責・任意保険・リース・法定12ヶ月点検の期限を車両ごとに並べ、切れる前に気づくための表。12ヶ月点検の次回期限は実施日から自動計算。 メール登録は不要です。

テンプレートを見る

車検と法定点検の違い──比較表で見る

まず全体を比較表で押さえます。

車検(継続検査)法定点検(定期点検整備)
目的保安基準に適合しているかを検査時点で確認する故障・事故を予防するために点検・整備する
性質受けないと公道を走れない(強制)使用者の義務(自家用乗用車は罰則なし)
周期自家用乗用車:初回3年、以後2年ごと12ヶ月点検:1年ごと
24ヶ月点検:2年ごと(車検時に同時実施が多い)
内容検査時点の状態確認(ブレーキ制動力・灯火・排ガスなど)分解を含む点検・整備(12ヶ月点検で26項目前後、24ヶ月点検で56項目前後)
実施場所運輸支局・指定整備工場整備工場・ディーラー(一部は自分でも可)

誤解が多いのは「車検に通った=車の状態が良い」という理解です。車検は検査した瞬間に保安基準を満たしているかを見るだけで、次の2年間の安全を保証するものではありません。その隙間を埋めるのが法定点検です。だから制度が2本立てになっています。

法定点検の中身──12ヶ月点検と24ヶ月点検

自家用乗用車の法定点検は2種類です。

12ヶ月点検(1年ごと)

エンジンルーム・室内・足回り・下回りの26項目前後を点検します。ブレーキパッドの残量、ブレーキの効き、エンジンオイルの漏れ、ベルトの緩みなど、走行に直結する箇所の分解を含む点検です。所要は半日程度、費用はディーラーで1〜2万円台、整備工場でやや安い水準が目安です(車種・地域で変わります)。

24ヶ月点検(2年ごと)

12ヶ月点検の項目に加えて56項目前後まで広がる、より詳細な点検です。車検と時期が重なるため、実務では「車検整備」として車検と同時に実施されるのが一般的です。「車検のときに点検もやっている」が正しいのはこの24ヶ月点検の話で、12ヶ月点検は車検と車検の間の年に別途やって来ます。

なお、事業用自動車(緑ナンバー)やレンタカーは3ヶ月ごと・貨物軽自動車は6ヶ月ごとなど、より短い周期の点検が義務付けられており、こちらは未実施が行政処分の対象になる別次元の話になります。

法定点検を受けないとどうなるか

自家用乗用車の法定点検には罰則がありません。では受けなくてよいかというと、実務上のデメリットがはっきり存在します。

  • メーカー保証が受けられないことがある──保証修理の条件に「法定点検の実施」が含まれており、記録簿がないと保証を断られる場合があります。
  • 故障の予兆を拾えない──ブレーキパッドの摩耗やオイル漏れは、日常の運転では気づけません。12ヶ月点検はこれを拾う唯一の定期機会です。
  • 下取り・売却の査定に影響する──点検整備記録簿が揃っている車は「整備履歴が分かる車」として評価されます。
  • 事故時の説明が苦しくなる──整備不良が絡む事故では、点検をしていたかどうかが過失の評価に影響し得ます。社用車では会社の安全配慮義務の観点からも重要です。

「罰則がない=やらなくていい」ではなく、「罰則はないが、やらないコストは自分に返ってくる」制度だと理解するのが正確です。

点検整備記録簿──保存年限と使いどころ

法定点検を実施すると、点検整備記録簿に結果が記録されます。この記録簿は自家用乗用車で2年、事業用自動車等で1年の保存が定められています。車検証入れに入っている冊子タイプが一般的で、ディーラー・整備工場が点検のたびに記入してくれます。

記録簿は、メーカー保証の請求時・売却時・事故時に「点検をしていた証拠」として機能します。紛失すると再発行はできず整備履歴が空白になるため、車検証とセットで車内保管を徹底してください。社用車では、車両ごとの記録簿の有無と直近の点検日を台帳で管理しておくと、車両入替時にも慌てません。

社用車の法定点検管理──「満了日が見えない」問題

社用車を複数台持つ会社で法定点検が漏れる最大の理由は、車検と違って書類上に「期限」が見えないことです。車検満了日は車検証と検査標章に明記されますが、12ヶ月点検は「前回実施日から1年」を自分で数えるしかありません。

管理のコツはシンプルで、車両台帳に「12ヶ月点検の実施日」列を作り、そこから次回期限を自動計算させることです。車検・自賠責・任意保険・リース満了と同じ表に並べれば、月1回の確認で全期限をカバーできます。

車検・12ヶ月点検・保険を1枚の台帳で

車両ごとに各期限を並べ、12ヶ月点検は実施日から次回期限を自動計算。直近の期限と残日数が自動表示され、60日を切ると赤くなる無料Excelです。

車検・保険 期限管理表(Excel・無料)を見る

あわせて、運転者が行う日常点検(15項目)の記録も整えておくと、点検体系として一貫します。様式は社用車日常点検表を無料配布しています。

まとめ──2つの制度の付き合い方

最後に要点をまとめます。

  • 車検は「公道を走る資格」の検査、法定点検は「故障を防ぐ」ための点検。別制度で両方必要。
  • 24ヶ月点検は車検と同時に済むことが多いが、12ヶ月点検は車検のない年に別途やって来る
  • 自家用乗用車の法定点検に罰則はないが、保証・査定・事故時の説明で実質的な不利益がある。
  • 記録簿は自家用で2年保存。車検証とセットで保管。
  • 社用車は「12ヶ月点検の実施日」を台帳管理し、次回期限を自動計算させるのが確実。

個人の車なら、車検を受けた整備工場・ディーラーの点検パック(車検と12ヶ月点検のセット契約)に入ってしまうのが最も漏れない方法です。会社の車両は台帳での一元管理を整えてください。

よくある質問

Q. 法定点検はどこで受けられますか?
ディーラー、認証・指定整備工場、カー用品店の整備部門などで受けられます。ユーザー自身が実施することも制度上可能ですが、分解を伴う項目があるため、実務では整備工場への依頼が一般的です。
Q. 12ヶ月点検の費用はいくらぐらいですか?
車種と依頼先によりますが、乗用車でおおむね1〜2万円台が目安です。点検で交換部品(オイル・パッド等)が見つかると別途整備費用がかかります。
Q. 車検と12ヶ月点検を同じ時期にまとめられますか?
車検の年は24ヶ月点検(車検整備)が実施されるため、その年の12ヶ月点検は不要です。車検のない年の同じ月に12ヶ月点検を入れると、毎年同じ月に点検が来る形になり管理が楽です。
Q. 法定点検のステッカー(ダイヤルステッカー)とは何ですか?
12ヶ月点検を実施した整備工場が貼る丸いステッカーで、次回の点検時期を示します。車検の検査標章(四角)とは別物です。ステッカーの年月が過ぎていたら、点検時期が来ているサインです。

車検・保険期限管理表(Excel・無料)

車検・自賠責・任意保険・リース・法定12ヶ月点検の期限を車両ごとに並べ、切れる前に気づくための表。12ヶ月点検の次回期限は実施日から自動計算。 メール登録は不要です。

テンプレートを見る

この記事で紹介した無料テンプレート

本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-02時点の情報です。