建機の点検期限を1枚で管理する|機種ごとに周期が違う前提で作る
建機の点検が回らなくなる原因は、点検そのものではなく期限が見えていないことです。台数が10台を超えると、機械ごとにファイルを開いて前回実施日を確認する運用は続きません。
しかも建機は、機種によって周期の条文が違います。不整地運搬車だけ年次が2年で、他は1年。一律に設定した台帳では正しく管理できません。この記事では、機種差を前提にした台帳の作り方を整理します。
この記事の内容(5項目)
まず機種ごとの周期を確認する
台帳を作る前に、自社の保有機械がどの条文に当たるかを確認します。ここを間違えると、台帳が正しく計算しても期限がずれます。
| 機械 | 年次 | 月例 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 車両系建設機械 | 一年以内ごとに一回 | 一月以内ごとに一回 | 安衛則167条/168条 |
| 高所作業車 | 一年以内ごとに一回 | 一月以内ごとに一回 | 安衛則194条の23/194条の24 |
| フォークリフト | 一年を超えない期間ごと | 一月を超えない期間ごと | 安衛則151条の21/151条の22 |
| 不整地運搬車 | 二年を超えない期間ごと | 一月を超えない期間ごと | 安衛則151条の53/151条の54 |
| 移動式クレーン | 一年以内ごと(荷重試験) | 一月以内ごと | クレーン則76条/77条 |
| ショベルローダー等 | 一年を超えない期間ごと | 一月を超えない期間ごと | 安衛則151条の31/151条の32 |
「月例点検」という語は法令にありません
文言が機械ごとに書き分けられています。実務上の運用はどちらも月次ですが、社内規程や記録に条文を引くときは自社の機械の条文どおりに書いてください。
台帳には機種区分の列を持たせる
周期を1台ずつ手で入れると、必ず入力ミスが出ます。機種区分を選ぶと周期が決まる形にしてください。不整地運搬車を「1年」で登録してしまう事故が防げます。
台帳に持たせる列
配布しているExcel様式は、全テンプレートで次のヘッダーに統一してあります。この並びなら、機械ごとの点検表からそのまま台帳へ転記できます。
| 列 | 用途 | 入れ方 |
|---|---|---|
| 対象名 | 一覧での表示名 | 「バックホー 0.25㎥」など |
| 管理番号 | 一意キー。点検表・届出・記録を串刺しにする | 銘板の機番を使うのが簡単 |
| 機種区分 | 周期の判定に使う | 車両系建設機械/フォークリフト/不整地運搬車 … |
| 保有拠点・営業所 | 第1階層。誰が管理しているか | 建機は現場を移動するので、拠点と現場は別に持つ |
| 周期 | 次回期限の計算のもと | 機種区分から自動で入る形が理想 |
| 前回実施日 | 次回期限の起算 | 年次と月例で列を分ける |
| 担当 | 期限が来たときの宛先 | 個人名。部署名だと誰も動かない |
あると効く列を4つ
| 列 | 効くこと |
|---|---|
| 保有区分(自社/レンタル) | 借用機が混ざっても管理でき、返却後も記録の行が残る |
| 現在の現場 | 期限が来たときに機械を探さずに済む |
| 次回期限(自動計算) | 前回実施日+周期。手入力にしない |
| 残日数 | 並べ替えの軸。30日以内に色が付くようにする |
使わない期間の扱い
各条文にはただし書があり、一定期間使用しない機械はその期間の検査が不要とされています。ただし使用を再開する際に検査が必要です。
| 機械 | 除外される期間 | 再開時 |
|---|---|---|
| 車両系建設機械(年次) | 一年を超える期間使用しない場合 | 使用を再び開始する際に、各号の事項について自主検査を行う |
| 車両系建設機械(月例) | 一月を超える期間使用しない場合 | |
| 不整地運搬車(年次) | 二年を超える期間使用しない場合 | |
| フォークリフト(年次) | 一年を超える期間使用しない場合 |
「今月あまり使わなかった」は除外になりません
条文が想定しているのは一月を超える期間まったく使用しない場合です。少しでも使っているなら周期は進みます。「今月は現場が少なかったから」で飛ばすと欠測です。
遊休機は台帳から消さない
長期の遊休機を台帳から外すと、再稼働のときに再開時検査が必要なことを誰も知りません。「遊休」の状態を持たせて行は残すのが確実です。
運用を止めないための4つ
1. 年次と月例で列を分ける
周期も実施者も違うので、前回実施日を1列にまとめると計算できません。年次・月例それぞれに前回実施日と次回期限を持たせてください。
2. 担当は個人名で書く
「整備部」と書くと誰も自分ごとにしません。期限が来たときに動く人の名前を書いてください。
3. レンタル機も同じ台帳に載せる
借用機は自社の台帳に載らないため、期限が誰にも見えないまま現場に出ます。保有区分の列を足すだけで同じ台帳に載ります。扱いはレンタル建機の点検義務は誰が負うかで整理しています。
4. 年次は逆算して先に予約する
年次の特定自主検査は検査業者の順番待ちが発生します。期限の直前に依頼すると間に合いません。残日数が60日を切ったら手配するなど、動き出しの基準を決めておいてください。年間の組み方は検査の年間スケジュールの立て方で扱っています。
関連:建機の点検記録3年保存、現場を移動する建機の管理。条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で確認できます。
よくある質問
- Q. 建機の点検周期は全部同じですか
- 違います。車両系建設機械と高所作業車は年次が「一年以内ごとに一回」、フォークリフトは「一年を超えない期間ごとに一回」、不整地運搬車は「二年を超えない期間ごとに一回」です。台帳で一律に設定すると期限がずれます。
- Q. 台帳に最低限どんな列が要りますか
- 対象名、管理番号、機種区分、保有拠点、周期、前回実施日、担当の7つです。これに次回期限(自動計算)と残日数を足すと、並べ替えだけで今月やるべきものが分かります。
- Q. 管理番号は何を使えばよいですか
- 銘板の機番を使うのが簡単です。点検表、持込機械等使用届、定期自主検査の記録を同じ番号で串刺しにできます。書類ごとに別の番号を振ると、後から突き合わせられません。
- Q. 年次と月例の前回実施日は同じ列でよいですか
- 分けてください。周期も実施者も違うため、1列にまとめると次回期限を正しく計算できません。年次・月例それぞれに前回実施日と次回期限の列を持たせます。
- Q. 使っていない月は月例を飛ばせますか
- 条文が想定しているのは一月を超える期間まったく使用しない場合です。少しでも使っているなら周期は進みます。「今月はあまり動かさなかった」という理由では除外になりません。
- Q. 長期間使わない機械はどうしますか
- 各条文のただし書により、その期間の検査は不要です。ただし使用を再び開始する際に、各号の事項について自主検査を行う必要があります。台帳からは消さず、「遊休」の状態を持たせて行を残してください。
- Q. レンタル機も台帳に載せるべきですか
- 載せることをおすすめします。借用機は自社の台帳に無いため、期限が誰にも見えないまま現場に出がちです。保有区分(自社/レンタル)の列を足すだけで同じ台帳で管理でき、返却後も記録の行が残ります。
- Q. 次回期限は手入力でもよいですか
- 前回実施日と周期から自動計算する形にしてください。手入力にすると、実施日を更新したのに期限を直し忘れる、という食い違いが必ず起きます。
- Q. 年次の手配はいつから動けばよいですか
- 検査業者の順番待ちがあるため、期限の直前では間に合わないことがあります。残日数が60日を切ったら手配する、といった動き出しの基準を決めておくと確実です。
- Q. 担当欄は部署名でもよいですか
- 個人名にしてください。部署名だと誰も自分ごとにせず、期限が来ても動きません。期限が来たときに実際に動く人の名前を書きます。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-21時点の情報です。