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建機の点検は外注か社内か|分かれ目は台数ではなく「区分の散らばり」

公開 2026-09-16 執筆 点検板 編集部

建機の台数が増えると、検査費用が無視できなくなります。そこで「社内でやれないか」という話が出るのですが、判断を台数だけで決めると失敗します。

効くのは台数より保有機械がどの区分に散らばっているかです。特定自主検査の資格は令別表第七の区分ごとに分かれているため、機種がばらけていると資格を複数取ることになります。この記事では、判断に使う材料を条文と実務の両面から整理します。

車両系建設機械 定期自主検査記録表(Excel・無料)建機の月例定期自主検査を、機体をまたいで1枚の台帳に記録する様式。1台1回ぶんの検査に使う「月例検査」シート(装置ごと37項目)も付いています。
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この記事の内容(5項目)

まず、社内でできる部分を確認する

「外注か社内か」の議論は、たいてい年次の話です。ところが建機の点検は3層あり、下2層は資格がなくても社内でできます。

資格社内でできるか条文
作業開始前点検不要できる(運転者が実施)安衛則170条ほか
定期自主検査(月例)不要できる安衛則168条ほか
特定自主検査(年次)必要事業内検査者を置けばできる安衛法45条2項
議論の対象は年次だけ

月例・作業開始前

資格要件なし。今日から社内でできる。外注している場合は見直しの余地が大きい

年次(特定自主検査)

検査業者か事業内検査者のみ。ここだけが「外注か社内か」の判断
月例まで外注していると費用が積み上がる。まずここを確認する

月例まで検査業者に依頼している事業場は少なくありません。月例に資格要件は無いので、社内で回せるなら費用構造が変わります。ただし判断に迷う項目を業者に見てもらう価値はあるので、全部を切り替える前に何が判断できて何ができないかを確認してください。

年次を社内化する条件

事業内検査者を置けば年次も社内でできます。ただし資格は機械の区分ごとに分かれています。

資格の区分含まれる機械根拠
令別表第七第一号・第二号・第六号ブルドーザ、ホイールローダー、油圧ショベル、ブレーカ、圧砕機安衛則169条の2第2項
令別表第七第三号くい打機、アースオーガー同 第3項
令別表第七第四号ローラー同 第4項
令別表第七第五号コンクリートポンプ車同 第5項
フォークリフトフォークリフト安衛則151条の24第2項
不整地運搬車クローラダンプ等安衛則151条の56第2項

判断の軸は「区分がいくつに散っているか」

油圧ショベルとブルドーザとホイールローダーだけなら、1つの資格で全部見られます(第一・二・六号)。ここにローラーとポンプ車とフォークリフトが加わると、資格は4つ必要になります。

保有の形必要な資格向き
ショベル中心・20台1つ社内化が向く
ショベル5台+ローラー2台+フォークリフト2台+ポンプ車1台4つ外注が向く
ショベル中心・3台1つ外注(研修の負担に見合わない)

資格要件と研修については事業内検査者になるにはで詳しく扱っています。

車両系建設機械 定期自主検査記録表(Excel・無料)建機の月例定期自主検査を、機体をまたいで1枚の台帳に記録する様式。1台1回ぶんの検査に使う「月例検査」シート(装置ごと37項目)も付いています。
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費用以外に効くこと

社内化の効果は費用だけではありません。逆に、費用では見えないコストもあります。

社内(事業内検査)外注(検査業者)
時期自社の都合で決められる。繁忙期を外せる業者の日程に合わせる。期限直前は入らないことがある
機械を止める時間短くしやすい回送や待ちが発生することがある
設備測定器・整備場所が要る業者が持ってくる
属人化検査者の異動・退職で止まる業者が替わっても続く
第三者性身内の判定になりやすい外の目が入る
2026年の新基準どちらも厚生労働大臣の定める基準に従う必要がある(安衛法45条3項)

1人に集中させない

社内化の最大の弱点は属人化です。検査者が1人だと、その人の異動・退職で一気に回らなくなります。複数名で持つか、外注先も確保しておいてください。

第三者の目が要る場面はある

自社の機械を自社で判定するため、判断が甘くなる余地があります。重要な機械や古い機械は外注に残すという組み合わせも現実的です。全部を社内にする必要はありません。

月例資格不要。社内でできる
年次ここだけが判断の対象
区分の数台数より効く軸
3年記録の保存はどちらでも

切り替えるときの手順

① 棚卸し保有機械を区分に振り分ける
② 必要な資格数を数える
③ 月例を先に社内へ資格不要なので今日からできる
④ 年次を検討研修の負担と外注費を比べる

記録の書き方が変わります

検査業者に実施させた場合、記録の「検査を実施した者の氏名」は「検査業者の名称」に読み替えられます(安衛則169条の2第7項)。社内実施に切り替えたら、検査者個人の氏名を書きます。様式の欄のラベルを固定していると書けなくなるので、どちらでも書ける形にしておいてください。

検査標章はどちらでも事業者が貼ります

貼付義務者は事業者で、実施者が誰かによって変わりません。事業内検査用の標章があるので、区別できる状態にしておいてください。検査標章の見方と貼り方で扱っています。

費用が何で決まるかは特定自主検査の費用は何で決まるか、年間の組み方は検査の年間スケジュールの立て方で扱っています。条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で確認できます。

よくある質問

Q. 月例の定期自主検査も外注しないといけませんか
必要ありません。月例に資格要件はなく、事業者の責任で社内実施できます。外注が必要なのは年次の特定自主検査だけです。月例まで業者に依頼している場合は、費用構造を見直す余地があります。
Q. 社内化の判断は台数で決めてよいですか
台数だけでは決められません。特定自主検査の資格は令別表第七の区分ごとに分かれているため、保有機械がどの区分に散らばっているかが効きます。同じ20台でも、1区分に集中しているか4区分に散っているかで負担がまったく違います。
Q. 1つの資格で見られる範囲はどこまでですか
車両系建設機械では、令別表第七の第一号・第二号・第六号(整地運搬積込用・掘削用・解体用)がまとまっています。第三号(基礎工事用)、第四号(締固め用)、第五号(コンクリート打設用)はそれぞれ別で、フォークリフトと不整地運搬車もさらに別です。
Q. 社内化のメリットは費用だけですか
違います。自社の都合で時期を決められるため繁忙期を外して計画を組めること、機械を止める時間を短くしやすいことも効きます。一方で測定器や整備場所が必要になり、検査者の異動・退職で止まるという弱さもあります。
Q. 社内でやると判定が甘くなりませんか
その懸念はあります。自社の機械を自社で判定するため、外の目が入りません。重要な機械や古い機械は外注に残すという組み合わせも現実的です。全部を社内にする必要はありません。
Q. 検査者が1人でも大丈夫ですか
おすすめしません。1人に集中させると、異動や退職で一気に回らなくなります。複数名で持つか、外注先も確保しておいてください。
Q. 社内実施でも2026年の新基準は適用されますか
されます。労働安全衛生法45条3項により、特定自主検査は厚生労働大臣の定める基準に従って行わなければなりません。実施者が社内か検査業者かにかかわらず適用されます。
Q. 記録の書き方は変わりますか
実施者の欄が変わります。検査業者に実施させた場合は「検査業者の名称」に読み替えられ、社内実施なら検査者個人の氏名を書きます。様式の欄のラベルを固定していると書けなくなるので、どちらでも書ける形にしておいてください。
Q. 検査標章は社内実施でも必要ですか
必要です。貼付義務者は事業者で、実施者が誰かによって変わりません。事業内検査用の標章があるので、検査業者検査と区別できる状態にしておいてください。
Q. まず何から始めればよいですか
保有機械の棚卸しと区分への振り分けです。次に必要な資格の数を数えます。月例は資格不要なので今日から社内に切り替えられます。年次は研修の負担と外注費を比べて判断してください。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-16時点の情報です。