安全衛生

KY活動(危険予知)の書き方|4ラウンド法と、形骸化させないコツ

公開 2026-05-18更新 2026-08-02 執筆 点検板 編集部

KY活動(危険予知活動)は、その日の作業に潜む危険を作業前に出し合い、対策と行動目標を決める取り組みです。法令上の義務ではありませんが、建設現場・製造現場では朝礼の定番になっています。

問題は毎日やると内容が固定化すること。「足元注意」「安全帯着用」が毎日書かれ、誰も読まなくなります。この記事では書き方の型と、形骸化を防ぐ具体策をまとめます。

危険予知(KY)活動記録表(Excel・無料)作業前のKYミーティングで話した危険と対策を、その場で書き残すための1日1枚の様式。
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この記事の内容(6項目)

4ラウンド法|KYの基本の型

KY活動の標準的な進め方が4ラウンド法です。順番に意味があります。

4つのラウンド
1R 現状把握どんな危険が
ひそんでいるか
2R 本質追究これが危険の
ポイントだ(◎印)
3R 対策樹立あなたなら
どうする
4R 目標設定私たちは
こうする(行動目標)
2Rで絞るのが要。全部に対策を立てようとすると時間が足りず、結局何も決まらない

所要時間は5〜10分が目安です。長くすると続きません。人数は4〜6人が議論しやすい規模です。

1R|「〜なので〜になる」で書く

危険の書き方には型があります。「〜なので、〜になる」と原因と結果をつなげて書きます。

× 悪い例

「足元注意」
「転倒に気をつける」
何がどう危ないか分からない。対策も立てられない

○ 良い例

「床に資材が散乱しているので、脚立が不安定になり転倒する」
→ 原因(散乱)と結果(転倒)が明確。対策が決まる

この型で書くと、自動的に対策が見えてきます。「資材が散乱しているので」が原因なら、対策は「設置前に足元を片付ける」です。抽象的な注意喚起は対策に繋がりません

出し方のコツ

  • 作業ステップごとに考える|「脚立の設置」「天井下地の取付け」「資材の運搬」と工程で区切ると出やすくなります
  • 今日の条件を入れる|天候、気温、人数、使う道具。ここが毎日変わるので、内容も変わります
  • 否定しない|「それは大丈夫だろう」と言うと、次から誰も発言しなくなります

3R・4R|対策と行動目標は別物

混同されやすいのですが、対策行動目標は違います。

3R 対策4R 行動目標
内容危険をなくすためにやること
(複数可)
今日、全員で必ず守ること
1〜2個に絞る
「設置前に足元を片付ける」
「開き止めを確実にかける」
「1人が下で支える」
脚立の天板には乗らない
使い方作業手順に組み込む指差呼称で唱和し、全員で共有する

行動目標を3つも4つも立てると覚えられません。今日いちばん危ない1点に絞ります。これが2Rで「◎」を付けた項目から導かれます。

指差呼称につなげる

行動目標が決まったら、指差呼称の内容にします。「脚立ヨシ! 足元ヨシ!」のように短く、実際に指を差して声に出せる形にします。頭で覚えるより体で覚えるほうが確実です。

KY活動記録表(Excel・無料)

4ラウンドの流れに沿った様式です。作業ステップ・予想される危険・重点(◎)・対策・担当を1行で書け、行動目標と指差呼称の欄も用意しています。記入例つき。

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危険予知(KY)活動記録表(Excel・無料)作業前のKYミーティングで話した危険と対策を、その場で書き残すための1日1枚の様式。
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形骸化を防ぐ4つの手

毎日やると必ずマンネリ化します。実務で効果があった対策を挙げます。

  • 司会を持ち回りにする|職長が毎回仕切ると、参加者は聞くだけになります。若手に司会をさせると、当事者として考えるようになります
  • 「今日の条件」を最初に共有する|天候・気温・人数・新規入場者の有無。条件が違えば危険も違います。ここを言語化すると内容が変わります
  • 前日のヒヤリハットを冒頭で共有する|実際に起きかけたことは説得力があります。KYの題材として最良です
  • 新規入場者がいる日は必ず作業手順から|慣れた人には自明でも、初日の人には未知です。事故は経験の浅い人に集中します

書いたものをどうするか

KY記録に法定の保存義務はありませんが、1年程度は保管することをおすすめします。事故が起きた際に「その日どんな危険を想定していたか」が分かり、対策の妥当性を検証できます。

また、KYで繰り返し出る危険は作業手順書やリスクアセスメントに格上げすべきサインです。毎日「足場が不安定」と書いているなら、それはKYで対処する話ではなく、設備・手順の問題です(リスクアセスメントの記事)。

始業前点検との組み合わせ

KY活動と機械の始業前点検は別のものですが、朝のルーティンとしてセットにすると両方が定着します。

朝のルーティンの例
① 健康確認体調・睡眠
アルコールチェック
② 機械の始業前点検使う機械を確認
異常があれば使わない
③ KY活動今日の作業の危険
行動目標を決める
④ 指差呼称全員で唱和
作業開始
②で見つかった異常が③の題材になることも多い。順番に意味がある

機械の点検様式は機械始業前点検表、車両なら社用車日常点検表があります。アルコールチェックが必要な事業所は記録簿の書き方もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. KY活動は法令で義務ですか?
法令上の直接的な義務ではありません。ただし労働安全衛生法の努力義務(危険性・有害性等の調査)や、元請けからの要求で実施しているケースが大半です。
Q. 1人作業でもKYは必要ですか?
1人KY(セルフKY)という形で実施します。作業前に自分で危険を書き出し、行動目標を決めます。話し合いはできませんが、書くことで意識が変わります。
Q. 毎日同じ作業でも内容を変えるべきですか?
作業が同じでも、天候・体調・人員・資材の置き場所は毎日違います。「今日の条件」を最初に共有すると、自然と内容が変わります。
Q. KY記録の保存期間は?
法定の保存義務はありません。実務では1年程度の保管が一般的です。事故時の検証資料になるほか、繰り返し出る危険を分析する材料にもなります。
危険予知(KY)活動記録表(Excel・無料)作業前のKYミーティングで話した危険と対策を、その場で書き残すための1日1枚の様式。
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この記事で紹介した無料テンプレート

本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-02時点の情報です。