安全衛生

リスクアセスメントの進め方と記録様式|化学物質の義務化にどう対応するか

公開 2026-05-03更新 2026-08-02 執筆 点検板 編集部

リスクアセスメントは「危険を洗い出して、重大なものから手を打つ」だけの単純な仕組みです。ところが化学物質については事業場の規模を問わず義務となり、対象物質も毎年拡大しているため、対応に追われている職場が増えています。

この記事では基本の5ステップと、化学物質のリスクアセスメントで押さえるべき点、そして厚労省の無料ツールと自社の記録をどう分担するかを整理します。

リスクアセスメント管理表(Excel・無料)作業ごとの危険性を洗い出し、低減措置・実施期限・再評価までを1枚で追う管理表。
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この記事の内容(6項目)

基本の5ステップ

リスクアセスメントの流れ
① 洗い出し危険性・有害性を
作業ごとに特定
② 見積り重篤度×発生可能性で
リスクを評価
③ 優先度リスクレベルで
順位付け
④ 低減措置優先順位に沿って
対策を実施
⑤ 記録結果と措置を記録
労働者へ周知
④の「優先順位」が重要。保護具は最後の手段で、まず設備・作業方法で減らす

低減措置の優先順位

対策には順番があります。上から検討し、できない場合に次へ下がります。

  1. 危険な作業をなくす・危険性の低いものに変える(本質的対策)
  2. 工学的対策|囲い、安全装置、局所排気装置など
  3. 管理的対策|作業手順の見直し、教育、立入禁止、作業時間の短縮
  4. 保護具の使用最後の手段

いきなり「保護具を着けさせる」で終わらせないのが要点です。保護具は正しく着けないと効果がなく、着用は本人任せになるためです。

化学物質のリスクアセスメント|規模を問わず義務

リスクアセスメント対象物を製造・取扱いする事業場では、事業場の規模にかかわらずリスクアセスメントが義務です。対象物質は年々拡大しており、数百から数千規模へ増えています。

規模不問化学物質RAは
全事業場が対象
3年記録の保存
周知労働者への周知が
セットで必要
無料厚労省ツール
CREATE-SIMPLE

実施が必要になるタイミング

  • 対象物を新規に採用・変更するとき
  • 作業方法・作業手順を変更するとき
  • 対象物の危険性・有害性に関する新たな情報を得たとき(SDSの改訂など)

「1回やれば終わり」ではありません。SDSが改訂されたら再評価という点が見落とされやすいので、SDSの入手・更新の管理もセットで必要です。

厚労省の無料ツールと自社記録の分担

化学物質のリスク見積りには、厚生労働省がCREATE-SIMPLEという無料ツールを提供しています。物質名・取扱量・作業時間・換気状況などを入力すると、リスクレベルが自動で算出されます。

CREATE-SIMPLE(無料)

リスクの見積り・計算を担当。物質ごとのばく露限界値のデータを内蔵しており、自作するより正確。

自社の管理表

実施記録・低減措置の進捗・再評価の期限を担当。誰がいつまでに何をするかを追う。

この分担が実務的です。計算は無料ツールに任せ、自社の表は「決めたことを実行したか」を追うことに集中します。当サイトのリスクアセスメント管理表も、計算機能は持たせず記録と期限管理に絞った設計にしています。

リスクアセスメント 管理表(Excel・無料)

作業・危険性・想定災害・重篤度・発生可能性・リスクレベル・低減措置・実施責任者・実施期限・措置後の再評価まで1行で管理できます。記録3年保存に対応。

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リスクアセスメント管理表(Excel・無料)作業ごとの危険性を洗い出し、低減措置・実施期限・再評価までを1枚で追う管理表。
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記録と周知|ここが抜けると意味がない

化学物質のリスクアセスメントでは、結果の記録(3年保存)と労働者への周知がセットで求められます。

記録に残すこと

  • 対象物の名称
  • 対象業務の内容
  • リスクアセスメントの結果(危険性・有害性、リスクの見積り結果)
  • リスク低減措置の内容

周知の方法

  • 作業場の見やすい場所に掲示・備え付け
  • 書面の交付
  • 電子データで常時確認できる状態にする

周知は「知らせた記録」まで残すと確実です。朝礼で説明した日付、掲示した日付を管理表の備考に書いておきます。

化学物質管理者の選任

リスクアセスメント対象物を製造・取扱いする事業場では、化学物質管理者の選任が必要です。リスクアセスメントの実施管理、記録の保存、労働者への周知などを担います。選任したら、その人の名前を管理表の実施者欄に入れておくと責任が明確になります。

機械・設備のリスクアセスメント

化学物質以外(機械・設備・作業行動)のリスクアセスメントは、努力義務です(一定の業種では実施が求められます)。ただし義務かどうかにかかわらず、次の場面では実施する価値があります。

  • 新しい機械を導入するとき|据え付け前に危険源を洗い出すと、後付けの安全対策より安く済みます
  • ヒヤリハットが起きたとき|事故になる前が最も対策しやすいタイミングです
  • 作業方法を変えるとき|効率化のための変更が、新しい危険を生むことがあります

日常の職場巡視(職場巡視の記事)で見つかった指摘のうち、その場で直せないものをリスクアセスメントに上げる、という連携をつくると回りやすくなります。巡視は「見つける」、リスクアセスメントは「優先順位を決めて計画的に潰す」という役割分担です。

よくある質問

Q. リスクアセスメントの記録に決まった様式はありますか?
法定様式はありません。対象物の名称・業務の内容・結果・低減措置の内容が記録されていれば、自社の様式やExcelで構いません。
Q. CREATE-SIMPLEはどこで入手できますか?
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」から無料でダウンロードできます。Excelベースのツールで、インストールは不要です。
Q. リスクレベルの判定基準は決まっていますか?
法令で一律の基準はありません。重篤度と発生可能性の組み合わせでレベルを決める方法(マトリクス法)が一般的です。自社で基準を決め、その基準を記録に明記しておくと判断がぶれません。
Q. 小さな事業場でも必要ですか?
化学物質のリスクアセスメントは事業場の規模を問わず義務です。従業員が数名でも、対象物を取り扱っていれば実施が必要になります。
リスクアセスメント管理表(Excel・無料)作業ごとの危険性を洗い出し、低減措置・実施期限・再評価までを1枚で追う管理表。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-02時点の情報です。