建設

単管足場の点検|数値が全部条文にある、めずらしい足場です

公開 2026-09-27 執筆 点検板 編集部

単管足場の点検は、ほかの足場より判断がしやすいという特徴があります。見るべき数値が、ほとんど条文に書いてあるからです。

建地の間隔、地上第一の布の位置、2本組にする高さ、建地間に載せてよい重さ、壁つなぎの間隔。この5つは全部、安衛則570条・571条に数字で書かれています。点検表の「判定基準」の欄にそのまま写せます。この記事では、その数値と、当てはまらない場合の条件を整理します。

単管足場 点検表(Excel・無料)単管足場の点検表。安衛則571条1〜4号の数値(建地の間隔けた行1.85m・はり間1.5m以下、地上第一の布2m以下、31m超は2本組、建地間の積載荷重400kg限度)と、壁つなぎ垂直5m・水平5.5m以下を判定基準の列にそのまま入れています。わく組足場の9m・8mとは値が違います。
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この記事の内容(7項目)

単管足場の点検で使う数値は、条文に5つあります

先に一覧で出します。すべて「この値以下」です。

見るところ基準根拠
建地の間隔(けた行方向)1.85m以下571条1項1号
建地の間隔(はり間方向)1.5m以下571条1項1号
地上第一の布の位置2m以下571条1項2号
建地の最高部から31mを超える部分鋼管2本組571条1項3号
建地間の積載荷重400kgを限度571条1項4号
壁つなぎ・控えの間隔(垂直)5m以下570条1項5号イ
壁つなぎ・控えの間隔(水平)5.5m以下570条1項5号イ

ポイントはここです。これらは単管足場の規定で、わく組足場には当てはまりません。571条の柱書が「単管足場にあつては第一号から第四号まで、わく組足場にあつては第五号から第七号まで」と分けて書いています。壁つなぎもわく組足場は垂直9m・水平8mです。

一般には、点検表の判定基準の欄が「良好」「異常なし」になっている現場が多くあります。数値を書いておくと、判断が人によって変わりません。スケールを当てて、数字で答えられるようになります。

単管足場の建地の間隔と積載荷重には、適用されない場合があります

ここは知っておくと現場で困りません。571条には、適用されない条件が2項と3項に書かれています。

号基準適用されない場合根拠
1号建地の間隔 1.85m/1.5m作業の必要上これらの規定により難い場合に、各支点間を単純ばりとして計算した最大曲げモーメントの値に関し、572条の措置を講じたとき571条2項
4号建地間の積載荷重 400kg
2号地上第一の布 2m以下作業の必要上同号の規定により難い部分がある場合において、2本組等により当該部分を補強したとき571条3項
3号31m超は2本組建地の下端に作用する設計荷重が当該建地の最大使用荷重を超えないとき571条1項3号ただし書

ただし、「難しいから外してよい」ではありません。1号・4号を外すには計算と572条の措置が要り、2号を外すには補強が要ります。3号のただし書も、設計荷重が最大使用荷重を超えないことを確かめる必要があります。

条文は設計荷重を「足場の重量に相当する荷重に、作業床の最大積載荷重を加えた荷重」、最大使用荷重を「当該建地の破壊に至る荷重の2分の1以下の荷重」と定義しています。点検の場では判断できないので、計算で対応している現場は計算書を点検表に添えておくと、見る人が迷いません。

単管足場の点検も、毎日と悪天候後で分かれます

点検そのものの条文は、足場の種類を問わず安衛則567条です。

いつ点検事項記録
その日の作業を開始する前(1項)足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無だけ定めなし
悪天候・中震以上の地震・組立て/一部解体/変更の後(2項)9項目必要(3項)

単管足場は「わく組足場以外の足場」なので、墜落防止設備は手すり等及び中桟等です(563条1項3号ロ)。手すり等は高さ85cm以上、中桟等は高さ35cm以上50cm以下(552条1項4号)。交さ筋かいではありません。

2項の9項目

号点検事項単管足場での判定基準
1号床材の損傷、取付け及び掛渡しの状態幅40cm以上/床材間の隙間3cm以下/床材と建地との隙間12cm未満(563条1項2号)
2号建地、布、腕木等の緊結部・接続部・取付部の緩みクランプが手で回らないこと。滑りの跡がないこと
3号緊結材及び緊結金具の損傷及び腐食クランプの変形・割れ・ねじ山のつぶれ
4号足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落手すり等85cm以上/中桟等35〜50cm
5号幅木等の取付状態及び取り外し物体の落下防止は高さ10cm以上の幅木等(563条1項6号)
6号脚部の沈下及び滑動の状態ベース金具+敷板・敷角等+根がらみ(570条1項1号)
7号筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の取付状態壁つなぎ 垂直5m・水平5.5m以下。引張材と圧縮材の間隔1m以内
8号建地、布及び腕木の損傷曲がり・へこみ・つぶれ・割れ・著しい腐食のある鋼管は取り除く
9号突りようとつり索の取付部、つり装置の歯止めつり足場を併用する場合のみ
単管足場 点検表(Excel・無料)単管足場の点検表。安衛則571条1〜4号の数値(建地の間隔けた行1.85m・はり間1.5m以下、地上第一の布2m以下、31m超は2本組、建地間の積載荷重400kg限度)と、壁つなぎ垂直5m・水平5.5m以下を判定基準の列にそのまま入れています。わく組足場の9m・8mとは値が違います。
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単管足場の点検記録には、点検者の氏名が要ります

安衛則567条3項が記録すべきものを名指ししています。

号記録する事項
1号当該点検の結果及び点検者の氏名
2号結果に基づいて補修等の措置を講じた場合にあつては、当該措置の内容

保存は「足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間」です。年数ではありません。

ポイントは点検者の氏名です。2023年10月・2024年4月の改正で、点検者を指名すること(1項・2項)と、記録に点検者の氏名を残すこと(3項)が加わりました。会社名や「安全担当」だけでは足りません。個人名を書いてください。

一人親方や小規模な現場でも同じです

単管足場は、規模の小さい現場でも組まれます。点検と記録の義務は、足場の大きさや会社の規模で変わりません。労働者を使って作業を行う事業者であれば、567条がそのままかかります。

紙1枚でよいので、点検の区分(毎日/悪天候後)、点検者の氏名、異常があったときの措置を残してください。スマホで撮った写真だけでは、いつ誰が見たのかが残りません。

単管足場で数値を外しやすいのは、壁つなぎと積載荷重です

実務で「気づいたら基準を外れていた」となりやすいところを2つ挙げます。

壁つなぎは、後から抜かれます

外装の仕上げやサッシの取付けで、壁つなぎが邪魔になって外されることがあります。外した本人は「あとで戻す」つもりでも、次の職種が入ると誰も知りません。垂直5m・水平5.5mの間隔が、いつのまにか倍になっています。

一般には、壁つなぎに番号を振って配置図を貼り、外したら現場事務所に申し出るルールにしている現場が多くあります。点検表の7号を見るときは、配置図と実物を突き合わせてください。

積載荷重は、資材を置いた時点で超えます

建地間の積載荷重は400kgを限度です(571条1項4号)。これは建地と建地の間の1区画あたりの値です。

置くものおおよその重さ建地間400kgに対して
モルタル 25kg袋25kg/袋16袋で上限
ALCパネル・サイディング製品による枚数で管理する
作業員1人(工具込み)約80kg3人で240kg

ポイントはここです。人も荷重です。資材を置いたうえに3人乗れば、それだけで残りは160kgしかありません。562条は最大積載荷重を定めて見やすい場所に表示することを求めています(1項・3項)。表示があると、現場で数えられます。

注文者(元請)にも、最大積載荷重を定めて足場の見やすい場所に表示する義務が別にあります(655条1項1号)。下請と元請の両方にかかります。

単管足場の点検表は、種類別にすると判定基準が書けます

足場の点検表を1枚で全種類に対応させると、数値の欄が空になります。種類が決まってはじめて、条文の数字を欄に書けます。

単管足場わく組足場くさび緊結式足場
壁つなぎ 垂直5m以下9m以下製品の取扱説明書による
壁つなぎ 水平5.5m以下8m以下製品の取扱説明書による
建地の間隔1.85m/1.5m以下主枠の規格による製品の緊結方式による
建地間の積載荷重400kg限度規定なし(562条で定める)規定なし(562条で定める)
墜落防止設備手すり等85cm以上+中桟等35〜50cm交さ筋かい+桟15〜40cm/幅木15cm以上、または手すりわく手すり等+中桟等

570条の壁つなぎの表には単管足場とわく組足場しか載っていません。くさび緊結式足場の壁つなぎの間隔は、使用する製品の取扱説明書・組立図に従ってください。詳しくはくさび緊結式足場の点検で扱っています。

わく組足場の数値はわく組足場の点検、足場の点検全般の考え方は足場点検チェックリストの作り方で扱っています。台風の前後は台風前後の現場点検を確認してください。条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で読めます。

よくある質問

Q. 単管足場の建地の間隔は何mまでですか
けた行方向1.85メートル以下、はり間方向1.5メートル以下です(安衛則571条1項1号)。作業の必要上これにより難い場合は、各支点間を単純ばりとして計算した最大曲げモーメントの値に関し572条の措置を講じたときに限り、適用されません(同条2項)。
Q. 建地間には何kgまで載せられますか
400キログラムを限度とします(571条1項4号)。建地と建地の間の1区画あたりの値です。人の体重も荷重に入るので、資材を置いたうえに複数人が乗ると、すぐに上限に近づきます。
Q. 単管足場の壁つなぎの間隔は何mですか
垂直方向5メートル・水平方向5.5メートル以下です(570条1項5号イの表)。わく組足場の垂直9メートル・水平8メートルと混同しないでください。
Q. 31mを超える部分は必ず2本組ですか
原則は2本組ですが、建地の下端に作用する設計荷重が当該建地の最大使用荷重を超えないときは適用されません(571条1項3号ただし書)。この場合は計算の根拠を残してください。
Q. 地上第一の布はどこに設けますか
2メートル以下の位置です(571条1項2号)。作業の必要上同号の規定により難い部分がある場合において、2本組等により当該部分を補強したときは適用されません(同条3項)。
Q. 点検の記録には何を書きますか
点検の結果、点検者の氏名、補修等の措置を講じた場合はその内容の3つです(567条3項)。保存は足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでで、年数ではありません。点検者は会社名ではなく個人名を書いてください。
単管足場 点検表(Excel・無料)単管足場の点検表。安衛則571条1〜4号の数値(建地の間隔けた行1.85m・はり間1.5m以下、地上第一の布2m以下、31m超は2本組、建地間の積載荷重400kg限度)と、壁つなぎ垂直5m・水平5.5m以下を判定基準の列にそのまま入れています。わく組足場の9m・8mとは値が違います。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-27時点の情報です。