建設

足場の点検|作業開始前・組立後・悪天候後の3つのタイミング

公開 2026-08-08更新 2026-08-20 執筆 点検板 編集部

足場からの墜落は、建設業の死亡災害で最も多い類型のひとつです。そのため労働安全衛生規則は、足場について3つの異なるタイミングでの点検を義務付けています。

さらに2023年10月と2024年4月の改正で、点検者をあらかじめ指名すること点検者の氏名を記録することが義務化されました。この記事で3つのタイミングと、改正で変わった点を整理します。

足場点検チェックリスト(Excel・無料)作業開始前・組立後・悪天候後の3区分に対応した足場の点検様式。点検者の氏名記録欄つき。
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この記事の内容(7項目)

3つのタイミング

タイミングいつ記録根拠
作業開始前点検その日の作業を開始する前保存義務なし安衛則567条1項
組立・変更後の点検組立・一部解体・変更の後記録し、足場を使用する作業が終わるまで保存安衛則567条2項・3項
悪天候後の点検強風・大雨・大雪・中震以上の地震の後同上安衛則567条2項・3項
3回点検のタイミング
指名点検者を
あらかじめ指名
氏名記録2024年4月から
義務
作業終了まで記録の保存期間

「悪天候後」の判断基準は、強風(10分間の平均風速10m/s以上)、大雨(1回50mm以上)、大雪(1回25cm以上)、中震以上の地震(震度4以上)が目安とされています。台風や地震の後は、作業を始める前に必ず点検してください。

2023〜2024年の改正で変わったこと

改正前

点検の義務はあったが、誰が点検するかの定めがなく、記録に点検者名を残す義務もなかった。

改正後

①点検者をあらかじめ指名する
②点検記録に点検者の氏名を記載する
この2つが義務に。

「誰でもいいから見た」を防ぐための改正です。指名するのは足場の組立て等作業主任者の資格を持つ者など、足場の構造を理解している人が想定されています。

あわせて、一側足場の使用制限(幅1m以上の箇所では原則として本足場を使用)も義務化されています。狭い場所での足場計画に影響するため、確認してください。

点検項目|7領域

下から上へ、順に見る
① 基礎・脚部敷板の沈下、ジャッキベース、根がらみ
② 緊結・接続支柱の継手、クランプの緩み、くさびの差し込み
③ 壁つなぎ間隔、損傷、取り外されていないか
④ 作業床幅・すき間、固定、跳ね上がり
⑤ 墜落防止手すり・中さん・幅木
③の壁つなぎの取り外しが最も危険。外装工事の都合で外され、そのままになることがある

加えて⑥昇降設備・通路(階段の固定、昇降口の手すり)、⑦飛来落下防止(メッシュシート、朝顔)を確認します。

特に見落とされやすい3つ

  • 壁つなぎの欠落|作業の都合で外され、戻されないまま。足場全体の倒壊に直結します
  • 床材の跳ね上がり|固定が甘いと、端を踏んだときに跳ね上がって転落します
  • 最大積載荷重の表示|表示自体が義務。資材を積みすぎる原因になります

足場 点検チェックリスト(Excel・無料)

作業開始前・組立後・悪天候後の3区分に対応し、7領域の項目を確認できます。点検者の氏名を記録する欄があり、2024年の改正に対応した様式です。

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足場点検チェックリスト(Excel・無料)作業開始前・組立後・悪天候後の3区分に対応した足場の点検様式。点検者の氏名記録欄つき。
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注文者にも点検義務がある

足場を提供・貸与する注文者にも点検義務があります(安衛則655条)。元請けが足場を組んで協力会社に使わせる場合、元請け側にも義務が生じるということです。

  • 注文者|足場を提供する前、および組立て・変更後に点検
  • 使用する事業者|作業開始前、組立て・変更後、悪天候後に点検

実務では両者の点検が重複しますが、それぞれの責任で実施し記録する必要があります。「元請けが見ているから」は理由になりません。

記録の保存期間

組立後・悪天候後の点検記録は、その足場を使用する作業が終了するまで保存します。工期が長い現場では数ヶ月〜1年以上になることもあります。現場事務所で保管し、解体まで捨てないでください。

朝のルーティンに組み込む

作業開始前点検は毎日必要ですが、単独のタスクにすると忘れます。KY活動と一緒に朝のルーティンにするのが定着させるコツです。

  1. 健康確認・アルコールチェック
  2. 足場の作業開始前点検(昨日と変わっていないか)
  3. 使用する機械の始業前点検
  4. KY活動(KY活動の書き方
  5. 指差呼称・作業開始

足場の異常は前日との違いとして現れることが多いため、毎日同じ目で見ることに意味があります。「昨日はなかった隙間がある」「壁つなぎが1本ない」——これは日々見ている人にしか気づけません。

墜落制止用器具(フルハーネス)の点検もセットで必要です。器具の交換時期は保護具の点検と交換時期をご覧ください。

足場の種類ごとに、見るところが変わる

ここまでは足場に共通する話です。実際の点検表は、足場の種類ごとに分けたほうが短くなります。1枚で全種類に対応させると、使わない項目をとばす習慣がついて、使う項目まで飛ばされます。

種類その足場に固有の見どころ個別の記事
くさび緊結式(ビケ)くさびの打込み不足、抜け止めピン、異なる緊結方式の混用くさび緊結式足場の点検
移動式足場(ローリングタワー)高さと脚輪間隔の関係、脚輪のブレーキ、移動のときの手順ローリングタワーの点検
わく組(枠組)壁つなぎ 垂直9m・水平8m以下、最上層および5層以内ごとの水平材、高さ20m超は主わく2m以下わく組足場の点検
単管建地の間隔(けた行1.85m以下・はり間1.5m以下)、建地間の積載荷重400kg限度、壁つなぎ 垂直5m・水平5.5m以下単管足場の点検

くさび緊結式は、壁つなぎの間隔が条文の表に載っていません。安衛則570条1項5号の表にあるのは単管足場とわく組足場だけなので、製品の取扱説明書と組立図に従います。単管足場の数値(571条)をそのまま当てはめないでください。

移動式足場は、同じ「足場」でも見るところがまったく違います。転倒に直結する高さと脚輪間隔の関係が中心になるので、こちらは別の紙にしてください。数値の出典も安衛則ではなく「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」です。

よくある質問

Q. 点検者に資格は必要ですか?
法令上、点検者の資格要件は明示されていませんが、足場の構造を理解している者を指名する必要があります。足場の組立て等作業主任者の資格を持つ者を指名するのが一般的です。
Q. 作業開始前点検も記録が必要ですか?
作業開始前点検(567条1項)には記録の保存義務がありません。記録義務があるのは組立後・悪天候後の点検です。ただし実施の証明のため、記録することを推奨します。
Q. どの程度の風なら「強風」ですか?
10分間の平均風速が10m/s以上が目安とされています。気象庁の観測値や、現場の風速計で判断してください。判断に迷う場合は点検するほうが安全です。
Q. 足場の点検と、つり足場の点検は違いますか?
つり足場については安衛則568条に別途の規定があります。つりワイヤロープ・つり鎖の状態など、固有の点検項目が加わります。
足場点検チェックリスト(Excel・無料)作業開始前・組立後・悪天候後の3区分に対応した足場の点検様式。点検者の氏名記録欄つき。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-20時点の情報です。