建設

ローリングタワーの点検|高さと脚輪間隔の式で決まります

公開 2026-09-13 執筆 点検板 編集部

ローリングタワー(移動式足場)で起きる災害は、ほとんどが転倒です。高すぎる、脚輪のブレーキが効いていない、人を乗せたまま動かした。この3つで説明がつきます。

そして転倒するかどうかは、作業床の高さと脚輪の間隔の関係でだいたい決まります。この記事では、その式と、点検で何をどこまで見るかを整理します。出典は「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」です。

移動式足場(ローリングタワー)点検表(Excel・無料)ローリングタワー(移動式足場)を、組立後・移動後・定置後・作業開始前に点検するための様式。「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」の数値をそのまま判定基準の列に入れてあります(H≦7.7L−5、車輪の直径125mm以上、ブレーキは250kg・cmの回転力に対して回転を防止、手すり90cm以上+中さん、幅木10cm以上、最大積載荷重は床面積2m²以上で250kg)。
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この記事の内容(7項目)

ローリングタワーの高さの制限は、脚輪の間隔とセットで決まる

ローリングタワーの高さの制限は「○m まで」という単独の数字ではありません。脚輪の主軸間隔(=足の広さ)との関係で決まります。

H ≦ 7.7L − 5
H脚輪の下端から作業床までの高さ(m)
7.7L − 5L=脚輪の主軸間隔(m)
壁つなぎ又は控を設けた場合は、この式によらない(指針3-1-1 ただし書き)

たとえば脚輪の主軸間隔が1.3mなら、7.7×1.3−5=5.01m。作業床は5.01mまでです。1.5mなら7.7×1.5−5=6.55m。足を広げるほど高く組めるという関係になっています。

控わく(アウトリガー)を使うと、この式のLを控わくを含んだ広さで計算できます(指針3-1-2)。控わくの高さが幅の3倍以上あり、回転しないように建わくに取り付けられている場合は L=A+B1+B2、それ以外は L=A+(B1+B2)÷2 です。控わくを付けたら、その日の実測でLを取り直してください。

ローリングタワーの出典は「指針」で、点検の周期は書かれていない

ローリングタワーの数値基準は、「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」から来ています。労働安全衛生法28条1項にもとづいて公表されたもので、動力で駆動して移動させるものは対象外です。

指針に書いてあるもの

材料・強度計算・安定性
各部の構造(高さ・作業床・わく組・脚輪・昇降・防護)
使用(組立て・移動・定置・積載)

指針に書いていないもの

点検の周期
点検の記録と保存
1総則〜4使用の全文を読んで確認

ここは正直に書きます。指針そのものに「点検」の節はありません。そのため「移動式足場は◯日ごとに法定点検」という言い方はできません。

使っている移動式足場が労働安全衛生規則の「足場」に当たる場合は、567条(作業開始前点検、悪天候・地震・組立て等の後の点検と記録の保存)が別にかかります。自社の使用形態でどちらに当たるかは、所轄の労働基準監督署か足場の専門業者に確認してください。この記事で断定はしません。

実務としては、点検の区分を組立後・移動後・定置後・作業開始前の4つに置いておくと、指針の使用の章(4-1〜4-4)とそのまま対応します。

数値で見るところ|指針の基準をそのまま使う

点検表の判定基準の欄には、指針の数字をそのまま書いておくと、現場でものさしを当てて判断できます。「良好か」ではなく「125mm以上か」で聞ける形になります。

見るもの基準指針
車輪の直径125mm以上3-4-3
脚輪のブレーキ250kg・cm の回転力に対して車輪の回転を防止できること3-4-5
手すり・中さん・幅木手すり90cm以上+中さん、幅木10cm以上(手すりと作業床の間に丈夫な金網等があれば中さん・幅木を省略できる)3-6
はしごの踏さん長さ30cm以上、40cm以下の等間隔3-5(1)
階段こう配50度以下、幅40cm以上3-5(2)
足場板のすき間3cm以下、全面に敷き並べて支持物に確実に固定3-2-3
建わくジョイントの差込み95mm以上、抜止め機能つき3-3-5
交さ筋かいピン直径13mm以上、抜止め機能つき3-3-2

手すりは90cm。足場の85cmとは違う

安衛則552条の「手すり等」は高さ85cm以上ですが、移動式足場の指針は90cm以上と書いています。同じ現場で数字が2つ出てくるので、点検表の根拠の欄を分けておくと混乱しません。

移動式足場(ローリングタワー)点検表(Excel・無料)ローリングタワー(移動式足場)を、組立後・移動後・定置後・作業開始前に点検するための様式。「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」の数値をそのまま判定基準の列に入れてあります(H≦7.7L−5、車輪の直径125mm以上、ブレーキは250kg・cmの回転力に対して回転を防止、手すり90cm以上+中さん、幅木10cm以上、最大積載荷重は床面積2m²以上で250kg)。
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ローリングタワーの最大積載荷重は、床面積から計算する

ローリングタワーの最大積載荷重は、作業床の床面積から計算して決めます(指針2-2-1)。決めたら、見やすい箇所に表示します(4-1-2)。

作業床の床面積 A積載荷重 W
A ≧ 2 m²W = 250kg
A < 2 m²W = 50 + 100A kg

床面積1.2m²なら 50+100×1.2=170kg。人ひとりと工具・材料を載せると、意外に近いところまで来ます。資材を上げてから作業する使い方をするなら、先に計算してから組んでください。

あわせて、指針は次の3つを使用時の決まりとして書いています。いずれも点検表の「使用」の区分に入れておくと拾えます。

  • 移動式足場の上で、移動はしご・脚立を使わない(4-4-3)|あと少し届かない、で起きます
  • 材料は偏心しないように載せる(4-4-2)|端に寄せると転倒余裕角度が持たなくなります
  • 外した手すり・中さんは、必要がなくなった後、直ちに原状にもどす(4-4-4)

移動させるとき|転倒はここで起きる

指針の4-2は「移動」だけで6項目あります。転倒災害の多くがこの場面で起きているということです。移動のたびに見る欄を、点検表に分けて作っておいてください。

乗せない労働者を乗せて
移動してはならない
全解除すべての脚輪の
ブレーキを解除してから
繰り上げ控わくのジャッキを
全部
路面確認おうとつ・障害物を
あらかじめ

「すべての脚輪のブレーキを解除した後に移動する」(4-2-2)は、一見すると逆に見えるかもしれません。一部だけ効いた状態で押すと、その脚を軸に回って倒れます。解除してから動かし、定置したらまた全部かける、という往復になります。

定置したあとは、ブレーキの効き具合を確認します(4-3-2)。「かけた」ではなく「効いている」までが指針の書き方です。おうとつや傾斜が著しい場所では、ジャッキ等で作業床の水平を保ちます(4-3-3)。

屋外で使うときや、シートを張って風を受けるおそれがあるときは、壁つなぎか控を設けます(4-3-5)。架空電路に近接して定置するときは、移設か絶縁用防護具の装着で接触を防ぎます(4-3-6)。

組み立てた足場そのものの点検は足場の点検に、屋外の本足場はくさび緊結式足場の点検にまとめています。高さ2m以上の作業床では、墜落による危険を防止するための措置(安衛則518条以下)が別に必要です。

組む人の資格と、屋内で使うときの注意

ローリングタワーは、屋内の内装・設備・改修で使われることが多い足場です。屋外の本足場と違って、資格の要件が高さで変わります。

使う機体必要なもの根拠
高さ5m以上の構造の足場足場の組立て等作業主任者の選任安衛令6条15号
足場の組立て・解体・変更の作業に係る業務特別教育安衛則36条39号
作業床の高さ2m以上墜落による危険を防止するための措置安衛則518条以下

H≦7.7L−5 の式で組める高さは、脚輪の主軸間隔が1.3mなら5.01mです。この式で組めてしまう高さが、主任者の要件(5m以上)とちょうど重なります。控わくを付けて高く組むときは、資格の側も確認してください。

屋内で見落とされやすい4つ

  • 床の段差と養生材|シートやベニヤの継ぎ目で脚輪が引っかかると、押した勢いで倒れます
  • 天井の設備|ダクト・配管・照明に作業床の端が当たる高さで組んでいないか
  • 開口部|吹抜け、階段室、エレベーターシャフトの近くで移動させないか
  • 架空電路|屋内でも露出配線がある場所では、指針4-3-6の接触防止が必要です

屋内は路面が平らに見えるので、移動の前の路面確認(指針4-2-1)が省かれがちです。おうとつ・障害物は、養生材の下に隠れています。

脚立・可搬式作業台との使い分け

あと少しの高さのために、ローリングタワーの上で脚立を使うのは指針が明確に禁じています(4-4-3)。高さが足りないなら、組み替えるか、別の機材にしてください。

低い高さで済む作業は、可搬式作業台や脚立のほうが安全な場合もあります。脚立・はしごの点検は保護具の点検と交換と同じ台帳で回している現場もあります。屋外の本足場はくさび緊結式足場の点検、足場全体のタイミングは足場の点検を参照してください。

よくある質問

Q. ローリングタワーの高さに制限はありますか
「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」3-1-1が H ≦ 7.7L − 5 という式を示しています。Hは脚輪の下端から作業床までの高さ(m)、Lは脚輪の主軸間隔(m)です。ただし壁つなぎまたは控を設けた場合は、この式によらないこととされています。
Q. 人を乗せたまま移動してもいいですか
いけません。指針4-2-3が「移動式足場に労働者を乗せて移動してはならないこと」と定めています。移動するときは、すべての脚輪のブレーキを解除してから行い(4-2-2)、控わくのジャッキは全部繰り上げます(4-2-5)。
Q. ローリングタワーの点検に法定の周期はありますか
指針そのものには点検の周期も記録の保存も定められていません(1総則〜4使用の全文で確認)。使っている移動式足場が労働安全衛生規則の「足場」に当たる場合は567条が別にかかります。どちらに当たるかは所轄の労働基準監督署か足場の専門業者にご確認ください。
Q. 最大積載荷重はどう決めますか
指針2-2-1が、作業床の床面積A(m²)に対して、Aが2以上なら250kg、Aが2未満なら 50+100A kg としています。この値以下で定めて、見やすい箇所に表示します(4-1-2)。
Q. 手すりの高さは85cmですか90cmですか
移動式足場の指針3-6は90cm以上+中さんと書いています。安衛則552条の「手すり等」は85cm以上なので、数字が2つ出てきます。点検表では根拠の欄を分けて、どちらの基準で見ているかが分かる形にしておくと混乱しません。
Q. 組み立てるのに資格は要りますか
つり足場、張出し足場または高さ5m以上の構造の足場の組立て等の作業には、足場の組立て等作業主任者の選任が必要です(安衛令6条15号)。それ未満の高さでも、足場の組立て等の業務に係る特別教育(安衛則36条39号)の対象になります。使う機体の高さで変わるので、事前に確認してください。
移動式足場(ローリングタワー)点検表(Excel・無料)ローリングタワー(移動式足場)を、組立後・移動後・定置後・作業開始前に点検するための様式。「移動式足場の安全基準に関する技術上の指針」の数値をそのまま判定基準の列に入れてあります(H≦7.7L−5、車輪の直径125mm以上、ブレーキは250kg・cmの回転力に対して回転を防止、手すり90cm以上+中さん、幅木10cm以上、最大積載荷重は床面積2m²以上で250kg)。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-13時点の情報です。