わく組足場の点検|壁つなぎ9m・水平材5層が固有の数値です
足場の点検表を1枚で全種類に対応させると、使わない項目が並びます。とくに困るのが数値です。壁つなぎの間隔も、建地の間隔も、足場の種類で条文の値が違うのに、総合版には書けません。
わく組足場(枠組足場)には、わく組足場だけにかかる数値が3つあります。この記事では、そこと壁つなぎの間隔に絞って整理します。足場の点検全般の考え方は足場点検チェックリストの作り方で扱っています。
この記事の内容(7項目)
わく組足場の点検も、条文の9項目は同じです
まず共通のところを確認します。足場の点検は安衛則567条で、これは種類を問いません。
| いつ | 点検事項 | 記録 |
|---|---|---|
| その日の作業を開始する前(1項) | 足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無だけ | 定めなし |
| 悪天候・中震以上の地震・組立て/一部解体/変更の後(2項) | 9項目 | 必要(3項) |
ポイントはここです。毎日見るのは1つだけで、9項目を見るのは悪天候後などです。1項も2項も、事業者が点検者を指名して点検させる書き方になっています。
記録に残すのは、点検の結果と点検者の氏名、措置を講じたときはその内容。保存は足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでです(567条3項)。年数ではなく仕事の単位です。
変わるのは判定基準の数値です
9項目のうち、「筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の取付状態」(7号)を見るとき、間隔が何メートルまでなのかは足場の種類で決まります。ここが総合版の点検表では書けないところで、種類別に分ける意味もここにあります。
わく組足場の壁つなぎは垂直9m・水平8m以下です
壁つなぎ又は控えの間隔は、安衛則570条1項5号イの表で決まっています。表に載っているのは2種類だけです。
| 鋼管足場の種類 | 垂直方向 | 水平方向 |
|---|---|---|
| 単管足場 | 5m | 5.5m |
| わく組足場(高さが5m未満のものを除く) | 9m | 8m |
いずれも「この値以下」です。わく組足場のほうが値が大きいのは、枠そのものに剛性があるためです。単管の5m・5.5mと取り違えないでください。逆に、単管足場に9m・8mを当てはめると危険側になります。
あわせて、壁つなぎが引張材と圧縮材とで構成されているときは、引張材と圧縮材との間隔を1メートル以内とします(570条1項5号ハ)。材料は鋼管、丸太等を用いて堅固なものとします(同号ロ)。
高さ5m未満のわく組足場は、表の対象外です
表の「わく組足場」には「(高さが五メートル未満のものを除く)」という括弧書きがあります。高さ5m未満のわく組足場には、この9m・8mの規定がかかりません。
ただし、壁つなぎが不要という意味ではありません。570条1項5号の柱書は「一側足場、本足場又は張出し足場であるものにあつては、次に定めるところにより、壁つなぎ又は控えを設けること」と書いています。間隔の数値基準が表にない、というだけです。低い足場でも、控えを取らずに自立させれば倒れます。製品の取扱説明書や組立図の指示に従ってください。
わく組足場に固有の数値は571条5号〜7号の3つ
安衛則571条は、令別表第八第一号に掲げる部材または単管足場用鋼管規格に適合する鋼管を用いて構成される鋼管足場の規定です。1号から4号までが単管足場、5号から7号までがわく組足場と、条文の柱書ではっきり分かれています。
| 号 | わく組足場の基準 | 点検での見方 |
|---|---|---|
| 5号 | 最上層及び五層以内ごとに水平材を設けること | 下から数えて、抜けている層がないか |
| 6号 | はりわく及び持送りわくは、水平筋かいその他によつて横振れを防止する措置を講ずること | 張り出し部の横振れ止めが入っているか |
| 7号 | 高さ20mを超えるとき及び重量物の積載を伴う作業を行うときは、主わくの高さを2m以下とし、かつ主わく間の間隔を1.85m以下とすること | 高さと積載の条件に当てはまるか先に判定する |
ポイントは7号の条件です。「高さ20mを超えるとき」と「重量物の積載を伴う作業を行うとき」は、どちらかに当たれば適用されます。高さ15mでも、重量物を載せる作業なら主わく2m以下・間隔1.85m以下です。
571条1号〜4号は、わく組足場には当てはまりません
| 号 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 1号 | 建地の間隔 けた行方向1.85m以下・はり間方向1.5m以下 | 単管足場 |
| 2号 | 地上第一の布は2m以下の位置 | 単管足場 |
| 3号 | 建地の最高部から31mを超える部分は鋼管2本組 | 単管足場 |
| 4号 | 建地間の積載荷重は400kgを限度 | 単管足場 |
この4つを「足場の基準」として説明している資料をよく見かけますが、条文はわく組足場を除いて書いています。わく組足場の建地の間隔は、使用する主枠の規格で決まります。単管足場の数値は単管足場の点検で扱っています。
わく組足場の墜落防止設備は、2つのうちどちらかです
安衛則563条1項3号は、墜落により危険を及ぼすおそれのある箇所に設ける設備を、足場の種類で分けて書いています。
| 足場の種類 | 設ける設備 |
|---|---|
| わく組足場(妻面に係る部分を除く) | 次のいずれか (1)交さ筋かい + 高さ15cm以上40cm以下の桟 若しくは 高さ15cm以上の幅木 又はこれらと同等以上の機能を有する設備 (2)手すりわく |
| わく組足場以外の足場 | 手すり等(85cm以上)及び中桟等(35cm以上50cm以下) |
ポイントはここです。交さ筋かいだけでは足りません。(1)を選ぶなら、交さ筋かいに加えて桟または幅木が要ります。点検で「交さ筋かいは付いている」と○を付けて終わっている現場がありますが、下部の桟・幅木が外れていれば脱落しています。
幅木は2種類あって、目的が違います
| 墜落防止(563条1項3号イ(1)) | 物体の落下防止(563条1項6号) | |
|---|---|---|
| 高さ | 15cm以上(桟の代わりとして) | 10cm以上 |
| 目的 | 人が落ちるのを防ぐ | 物が落ちるのを防ぐ |
| 代替 | 桟(15〜40cm)/手すりわく | メッシュシート、防網 |
数値が違うので、点検表の判定基準の欄では分けて書いてください。10cmの幅木を「墜落防止の幅木」として数えると足りません。
作業床そのものの数値は563条1項2号です。幅40cm以上、床材間の隙間3cm以下、床材と建地との隙間12cm未満(つり足場を除く)。床材は転位・脱落しないように二以上の支持物に取り付けます(同5号)。
わく組足場の点検表は、種類別にすると短くなります
足場の点検表を1枚で全種類に対応させると、使わない行が並びます。使わない行が多い紙は、○を機械的に付けるようになります。
| 作り方 | 行数 | 起きること |
|---|---|---|
| 1枚で全種類に対応 | 多い | 使わない行に「対象外」が並び、判定が形骸化する |
| 種類別に分ける | 少ない | 判定基準の数値を欄に書ける。実測して判断できる |
種類別にすると、判定基準の列に数値をそのまま置けます。わく組足場なら「壁つなぎ 垂直9m以下・水平8m以下」「水平材 最上層+5層以内ごと」「主わく 高さ20m超は2m以下・間隔1.85m以下」。現場でスケールを当てて判断できます。
点検表に入れておくと効く3つ
- 点検の区分。毎日(567条1項)/悪天候後(2項)を選べるようにします。毎日9項目を見る紙にしないためです
- 点検者の氏名の欄。567条3項が名指ししている記録事項です。空欄のまま出すと記録として不足します
- 是正と再確認の欄。「異常を認めたときは直ちに補修」が条文なので、いつ誰が直して、いつ誰が確かめたのかまで残します
足場の種類別の点検表は、わく組足場点検表のほか、単管足場、くさび緊結式足場を用意しています。
わく組足場でも、注文者には別の点検がかかります
足場を使わせる注文者(元請)には、安衛則655条が別にかかります。下請の点検とは別に、元請としてやることがあるという構造です。
| 下請(足場を使う事業者) | 注文者(元請) | |
|---|---|---|
| 根拠 | 567条 | 655条 |
| 点検 | 作業開始前/組立て後・悪天候後の9項目 | 組立て後・悪天候後に点検者を指名して点検 |
| 表示 | 最大積載荷重の表示(562条) | 最大積載荷重を定めて見やすい場所に表示(655条1項1号) |
| 記録 | 結果と点検者の氏名。仕事が終わるまで保存 | 記録して仕事が終わるまで保存 |
655条も「点検者を指名して」と書いています。元請の担当者が見て回るだけでは足りず、誰に見せるかを決めておく必要があります。実務では、足場の組立て等作業主任者の資格を持つ人や、元方安全衛生管理者を指名している例が多くあります。
組む人の資格は高さで変わります
| 条件 | 必要なもの | 根拠 |
|---|---|---|
| つり足場・張出し足場、または高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更 | 足場の組立て等作業主任者(技能講習) | 安衛令6条15号・安衛則565条 |
| 高さ2m以上の足場の組立て・解体・変更の作業に従事 | 特別教育 | 安衛則36条39号 |
台風の前後の扱いは台風前後の現場点検で、作業構台と併用する現場は作業構台の点検で扱っています。条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で読めます。
よくある質問
- Q. わく組足場の壁つなぎの間隔は何mですか
- 垂直方向9メートル・水平方向8メートル以下です(安衛則570条1項5号イの表)。ただし高さが5メートル未満のわく組足場は、この表の対象から除かれています。単管足場は垂直5メートル・水平5.5メートルなので、取り違えないでください。
- Q. 水平材は何層ごとに入れますか
- 最上層および5層以内ごとです(安衛則571条1項5号)。下から数えて、抜けている層がないかを確認してください。
- Q. 主わくの高さの制限はいつかかりますか
- 高さが20メートルを超えるとき、および重量物の積載を伴う作業を行うときです。このときは主わくの高さを2メートル以下とし、かつ主わく間の間隔を1.85メートル以下とします(571条1項7号)。どちらかに当たれば適用されます。
- Q. 建地の間隔1.85mはわく組足場にも当てはまりますか
- 当てはまりません。571条1号から4号までは単管足場の規定で、条文の柱書が「単管足場にあつては第一号から第四号まで、わく組足場にあつては第五号から第七号まで」と分けて書いています。
- Q. 交さ筋かいだけで墜落防止になりますか
- なりません。わく組足場では「交さ筋かい及び高さ15cm以上40cm以下の桟 若しくは 高さ15cm以上の幅木 又はこれらと同等以上の機能を有する設備」か、「手すりわく」のどちらかです(563条1項3号イ)。交さ筋かい単独では足りません。
- Q. 点検の記録はいつまで保存しますか
- 足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでです(567条3項)。年数ではなく仕事の単位です。記録する事項は、点検の結果、点検者の氏名、措置を講じた場合はその内容の3つです。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-25時点の情報です。