コンプレッサーと工作機械の点検|用力設備と加工機で見るところ
コンプレッサーは止まると工場全体が止まる設備です。エア工具、チャック、搬送——空気圧を使う機器がすべて動かなくなります。それなのに、動いている限り誰も見ないという扱いを受けがちです。
この記事では、コンプレッサーと工作機械の点検項目と、見落とされやすい法定義務(圧力容器の定期自主検査)をまとめます。
この記事の内容(5項目)
コンプレッサーには法定義務がある場合がある
空気圧縮機に付属する空気タンクが第二種圧力容器・小型圧力容器に該当する場合、労働安全衛生法に基づく定期自主検査(1年以内ごと、記録3年保存)が必要です。
| 区分 | 該当の目安 | 義務 |
|---|---|---|
| 第二種圧力容器 | ゲージ圧力0.2MPa以上の気体を内包し、内容積0.04㎥超(または胴の内径・長さが一定以上) | 1年以内ごとの定期自主検査 記録3年保存 |
| 小型圧力容器 | 上記より小さい一定範囲 | 同上 |
| 簡易容器 | さらに小さいもの | 法定の検査義務なし |
定期自主検査
容量と圧力で判断
自社のコンプレッサーが該当するか、まず銘板を確認してください。内容積と最高使用圧力が記載されています。該当する場合、点検していないと監督署の臨検で指摘されます。
コンプレッサーの点検項目
ドレン抜きが最重要
圧縮空気には水分が含まれ、タンク内に溜まります。放置すると次が起きます。
- タンク内部の腐食|最悪の場合、破裂事故につながる
- エア工具の故障|水が配管を通って工具に入る
- 塗装不良|エアに水が混じると塗装がはじく
自動ドレン装置があっても、詰まっていることがあるため定期的に手動で確認してください。
点検の5領域
| 領域 | 項目 |
|---|---|
| 運転状態 | 吐出圧力、吐出温度、異音・振動、累積運転時間・ロード率 |
| 潤滑油 | 油面、汚れ・乳化・変色、漏れ、交換時期 |
| ドレン・エア系統 | ドレンの排出、ドレントラップの詰まり、エアフィルタの差圧、配管の漏れ |
| 冷却 | 冷却ファン、冷却フィンのほこり、冷却水(水冷式) |
| 安全装置・電気 | 安全弁の作動、圧力スイッチ、緊急停止、配線・端子 |
エア漏れは電気代に直結します。「シュー」という音がしていたら、それは常時お金が漏れている状態です。定期的に配管を巡回して、継手からの漏れを確認してください。
工作機械の点検項目
工作機械(NC旋盤・マシニングセンタ等)は精度が命です。動くかどうかより、狙った寸法が出るかが問われます。
非常停止・安全扉
異音・異常振動
クーラントの汚れ
フィルタ
制御盤内の清掃
精度確認
切りくずとクーラントの管理
工作機械のトラブルで多いのが、切りくずの堆積とクーラントの劣化です。
- 切りくずの堆積|摺動面に噛み込むと傷になり、精度が落ちます
- クーラントの腐敗|臭気、濃度低下、工具寿命の短縮。濃度を測って記録すると管理できます
- チップコンベア|詰まると自動運転が止まります
制御盤内の環境
ミストや切りくずが制御盤に入ると、基板の故障につながります。盤の扉のパッキン、冷却ファン・エアコンの作動を月次で確認してください。夏場の盤内高温は故障の主要因です。
用力設備は「止まる前提」で備える
コンプレッサーのような用力設備は、止まったときの影響範囲が広いのが特徴です。日常点検に加えて、次の備えをしておいてください。
- 予備機または代替手段|レンタルコンプレッサーの手配先を控えておく
- 消耗品の在庫|エアフィルタ、オイル、Vベルトは常備
- 保全履歴の蓄積|故障の頻度が増えたら更新時期(保全履歴の記事)
- 停止時の連絡フロー|誰に連絡し、どう対応するかを紙にしておく
点検の頻度設計は設備点検の種類と頻度、月次点検で数値を残す方法は月次点検の記事にまとめています。
よくある質問
- Q. 自社のコンプレッサーが圧力容器に該当するか分かりません
- 銘板に記載された内容積と最高使用圧力で判断します。判断に迷う場合は、メーカーまたは所轄の労働基準監督署に確認してください。
- Q. 定期自主検査は誰が行いますか?
- 資格要件はありませんが、圧力容器の構造と検査項目を理解している者が実施する必要があります。実務ではメーカーや専門業者に委託するのが一般的です。
- Q. ドレン抜きの頻度は?
- 毎日が基本です。自動ドレン装置がある場合も、週1回は手動で排出して装置の作動を確認してください。
- Q. 工作機械の精度確認はどのくらいの頻度で?
- 月1回が目安です。加工品の寸法にばらつきが出始めたときは、頻度を上げて原因を特定してください。テストバーによる主軸振れの確認が基本です。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-10-04時点の情報です。