建設

型枠支保工の点検|打設の日の朝に、支柱の種類ごとに見る

公開 2026-09-15 執筆 点検板 編集部

型枠支保工の点検は、コンクリートを打つ日の作業を開始する前に行います。組立てが終わった時点ではなく、打設の日の朝です。労働安全衛生規則244条1号が、コンクリートの打設の作業を行うときの措置としてそう定めています。

そして見るところは、支柱に何を使っているかで変わります。パイプサポート、鋼管、鋼管枠、組立て鋼柱、木材。それぞれに別の数値が決まっています。この記事では、その数値を種類ごとに並べます。

型枠支保工 点検表(Excel・無料)コンクリートの打設を始める前に型枠支保工を点検するための様式(安衛則244条1号)。判定基準の列に、242条の数値(鋼管は高さ2m以内ごとに水平つなぎを二方向、パイプサポートは三以上継がない・四以上のボルト・3.5m超で水平つなぎ、鋼管枠は五層以内ごと、組立て鋼柱は4m以内ごと)と240条の設計荷重(型枠1m²につき150kg以上)をそのまま入れてあります。
テンプレートを見る
この記事の内容(7項目)

型枠支保工の点検のタイミングは「その日の作業を開始する前」

安衛則244条は、コンクリートの打設の作業を行うときの措置として2つを挙げています。

内容
1号その日の作業を開始する前に、当該作業に係る型わく支保工について点検し、異状を認めたときは、補修すること
2号作業中に型わく支保工に異状が認められた際における作業中止のための措置をあらかじめ講じておくこと

ポイントは2号です。打設が始まってから異状が出たときに、誰がどう止めるかを先に決めておけという条文です。打設は止めにくい作業なので、その場で判断させると続けてしまいます。中止の判断者、合図の方法、連絡先、退避先を打合せで決めて、点検表の総括欄に書いておくと形になります。

一般には、この点検を型枠支保工の組立て等作業主任者が行っている現場が多くあります。作業主任者は打設前の点検そのものを名指しされているわけではありませんが、材料の欠点の有無や器具・工具の点検が職務に入っているため、実務上そこに寄ります。

型枠支保工の組立図と設計荷重|先に数字が決まっている

型枠支保工は、組立図を作成し、その組立図により組み立てることになっています(安衛則240条1項)。組立図には支柱・はり・つなぎ・筋かい等の部材の配置、接合の方法、寸法が示されている必要があります(同2項)。

決めるもの数値根拠
設計荷重支える物の重量に相当する荷重+型枠1m²につき150kg以上240条3項1号
組み合わされた構造のもの設計荷重 ≦ 製造者の指定する最大使用荷重240条3項2号
鋼管枠を支柱に使う場合上端に設計荷重の2.5%の水平方向の荷重が作用しても安全な構造240条3項3号
鋼管枠以外を支柱に使う場合上端に設計荷重の5%の水平方向の荷重が作用しても安全な構造240条3項4号

点検で見るのは、この組立図どおりに組まれているかです。図面と現物が違っていた場合、直すのは現物のほうか図面のほうかを、その場で判断せず設計に戻してください。

支柱の高さが3.5m以上なら、届出が要る

支柱の高さが3.5メートル以上の型枠支保工は、労働基準監督署長への計画の届出が必要です(安衛則85条・別表第七 十号)。届出は工事の開始の日の30日前までです(法88条1項)。打設の直前に気づいても間に合いません。

型枠支保工の支柱の種類ごとの数値|ここが判定基準になる

安衛則242条は、支柱の種類ごとに別々の数値を決めています。点検表の判定基準の欄にこの数字を書いておくと、現場でものさしを当てて判断できます。

支柱の種類数値根拠
鋼管(パイプサポートを除く)水平つなぎを高さ2m以内ごとに二方向、変位を防止242条6号イ
上端に鋼製の端板を取り付け、はり・大引きに固定242条6号ロ
パイプサポート三以上継いで用いない242条7号イ
継ぐときは四以上のボルトまたは専用の金具242条7号ロ
高さ3.5m超のときは、高さ2m以内ごとに二方向の水平つなぎ242条7号ハ
鋼管枠枠と枠の間に交差筋かい242条8号イ
水平つなぎ・布枠を最上層および五層以内ごと(枠面の方向は五枠以内ごと)242条8号ロ・ハ
組立て鋼柱高さ4m超のときは、高さ4m以内ごとに二方向の水平つなぎ242条9号ロ
木材高さ2m以内ごとに二方向/継ぐときは二個以上の添え物242条10号

「パイプサポートを三以上継いで用いない」は、2本までという意味です。3本目を継いだ時点で条文に合いません。現場では高さが足りないときに継ぎたくなるので、点検でいちばん見つかる項目のひとつです。

種類にかかわらず共通でかかるのは、支柱の沈下防止(敷角・くいの打込み等)、脚部の滑動防止(固定・根がらみ)、継手は突合せまたは差込み、鋼材の接続部・交差部をボルトやクランプで緊結、の4つです(242条1〜4号)。

型枠支保工 点検表(Excel・無料)コンクリートの打設を始める前に型枠支保工を点検するための様式(安衛則244条1号)。判定基準の列に、242条の数値(鋼管は高さ2m以内ごとに水平つなぎを二方向、パイプサポートは三以上継がない・四以上のボルト・3.5m超で水平つなぎ、鋼管枠は五層以内ごと、組立て鋼柱は4m以内ごと)と240条の設計荷重(型枠1m²につき150kg以上)をそのまま入れてあります。
テンプレートを見る

打設中に見るもの|止める判断を先に決めておく

点検は打設前だけではありません。打設中も型枠支保工の状態を見て、異状があれば止めます。244条2号が求めているのは、その手順をあらかじめ決めておくことです。

打設中に見るところ
支柱沈下・傾き・座屈
接合部緩み・抜け・ずれ
型枠はらみ・目地の開き・漏れ
足元敷板の沈下・水の回り込み
監視人は支柱・はりの変位が見える位置に立つ。打設面からの死角を作らない

一般には、監視人を1名決めて打設中は支保工の下側を見続ける運用が取られています。打設面の上からは、支柱が沈んでいるかどうかが分かりません。

ポンプ車の配管が支保工に載っていないか

見落とされやすいのが、コンクリートポンプ車の輸送管です。配管の荷重と脈動が支保工にかかると、設計で見ていない力が入ります。配管は支保工と縁を切って、別に支持してください。輸送管等の脱落・振れの防止は安衛則171条の2にも定めがあります。

打設に使う機械側の点検はコンクリートポンプ車の点検にまとめています。掘削を伴う躯体工事では土止め支保工の点検も併せて回してください。

点検表は、使う支柱の区分だけ残して短くする

242条の数値を全部並べると、鋼管・パイプサポート・鋼管枠・組立て鋼柱・木材の5種類ぶんになります。現場で使うのはたいてい1〜2種類なので、使わない区分は行ごと削ってください。

打設前その日の作業を
開始する前(244条1号)
150kg/m²設計荷重に
加える荷重
2本までパイプサポートを
継げる数
3.5m以上計画の届出
(30日前まで)

紙が短くなると、現場で全部の行を見るようになります。逆に、5種類ぶんが並んだ紙は、使わない行をとばす習慣がついて、使う行まで飛ばされます。

点検の記録について、244条に保存年限の定めはありません。ただし打設後に支保工の不具合が問題になったときの説明資料になるため、工事が終わるまでは保存することをおすすめします。

作業主任者の職務と、悪天候のときの扱い

型枠支保工の組立て等の作業には、作業主任者の選任が必要です(安衛令6条14号)。点検を誰がやるかを決めるとき、この職務と重ねておくと運用が自然になります。

作業主任者の職務点検表との関係
材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除く部材の損傷・変形・腐食の欄
器具及び工具を点検し、不良品を取り除く締付け工具・専用ピンの欄
作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮する打設中の監視人の配置
要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視する打設前の保護具確認

選任するのは、型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習を修了した者です。「型枠工の職長」ではなく「技能講習の修了者」が条文の要件なので、修了証の写しを現場に置いておく運用が確実です。

悪天候のときは、組立てを止める

安衛則245条は、型枠支保工の組立て・解体の作業を行うときの措置を定めています。そのなかに「強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させないこと」があります。

ここは足場と同じ構造です。悪天候の中は組立てを止める、悪天候の後は点検する。型枠支保工の場合、悪天候後の点検を明記した条文は無く、打設前の点検(244条1号)でまとめて見る形になります。

あわせて245条は、材料・器具・工具を上げ下ろしするときにつり綱・つり袋等を使用させること、作業区域内に関係者以外を立ち入らせないことも定めています。

コンクリートの打設は、天候で判断が変わる

打設そのものを止める判断は、支保工の安全とは別に品質の側からも出ます。気温・降雨・風は、支保工にかかる荷重と硬化の両方に効きます。一般には、施工計画書で打設中止の条件を先に決めておき、当日の朝の点検でその条件に当たるかを確認する運用が取られています。

打設に使う機械の点検はコンクリートポンプ車の点検、支保工の上下で使う足場は足場の点検を参照してください。

よくある質問

Q. 型枠支保工の点検はいつ行いますか
安衛則244条1号が「その日の作業を開始する前に、当該作業に係る型わく支保工について点検し、異状を認めたときは、補修すること」と定めています。コンクリートを打つ日の朝です。組立てが終わった時点の確認だけでは足りません。
Q. パイプサポートは何本まで継げますか
2本までです。安衛則242条7号イが「パイプサポートを三以上継いで用いないこと」と定めています。継ぐときは四以上のボルトまたは専用の金具を用い(同号ロ)、高さが3.5mを超えるときは高さ2m以内ごとに二方向の水平つなぎが必要です(同号ハ)。
Q. 設計荷重はどう決めますか
安衛則240条3項1号が、型枠支保工が支える物の重量に相当する荷重に、型枠1平方メートルにつき150キログラム以上の荷重を加えた荷重、と定めています。支柱等が組み合わされた構造のものは、製造者の指定する最大使用荷重を超えないことも必要です(同2号)。
Q. 届出が必要になるのはどんなときですか
支柱の高さが3.5メートル以上の型枠支保工は、労働基準監督署長への計画の届出の対象です(安衛則85条・別表第七 十号)。届出は工事の開始の日の30日前までに行います(法88条1項)。打設の直前に気づいても間に合わないので、着工前に高さを確認してください。
Q. 作業主任者は誰を選任しますか
型枠支保工の組立て等の作業には作業主任者の選任が必要です(安衛令6条14号)。型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習を修了した者から選任します。職務には、材料の欠点の有無ならびに器具・工具の点検と不良品の取り除きが含まれます。
Q. 点検の記録は何年保存しますか
安衛則244条の点検について、記録の保存年限を定めた条文はありません。ただし打設後に支保工の不具合が問題になったときの説明資料になります。工事が終わるまでは保存することをおすすめします。
型枠支保工 点検表(Excel・無料)コンクリートの打設を始める前に型枠支保工を点検するための様式(安衛則244条1号)。判定基準の列に、242条の数値(鋼管は高さ2m以内ごとに水平つなぎを二方向、パイプサポートは三以上継がない・四以上のボルト・3.5m超で水平つなぎ、鋼管枠は五層以内ごと、組立て鋼柱は4m以内ごと)と240条の設計荷重(型枠1m²につき150kg以上)をそのまま入れてあります。
テンプレートを見る

本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-15時点の情報です。