建設機械・荷役車両

事業内検査者になるには|1つ取っても全機種は見られません

公開 2026-09-14 執筆 点検板 編集部

特定自主検査は、登録検査業者に依頼するか、社内の事業内検査者が行うかのどちらかです。台数が多いと外注費が積み上がるので、社内に検査者を置く検討をする事業場は少なくありません。

このとき見落とされやすいのが、資格が機械の区分ごとに分かれていることです。「事業内検査者の資格を取った」と言っても、それがどの区分のものかで見られる機械が変わります。この記事では条文の構造を示したうえで、社内化の判断材料を整理します。

車両系建設機械 定期自主検査記録表(Excel・無料)建機の月例定期自主検査を、機体をまたいで1枚の台帳に記録する様式。1台1回ぶんの検査に使う「月例検査」シート(装置ごと37項目)も付いています。
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この記事の内容(5項目)

資格は区分ごとに分かれています

資格要件の本体は安衛則151条の24第2項(フォークリフト)に置かれ、他の機械はこれを読み替えて準用する形になっています。車両系建設機械では、この準用が4つに分けて置かれています。

条文対象含まれる機械
安衛則169条の2第2項令別表第七第一号・第二号・第六号ブルドーザ、ホイールローダー、油圧ショベル、ブレーカ、圧砕機 など
安衛則169条の2第3項令別表第七第三号くい打機、アースオーガー など基礎工事用機械
安衛則169条の2第4項令別表第七第四号ローラー(締固め用機械)
安衛則169条の2第5項令別表第七第五号コンクリートポンプ車
安衛則151条の24第2項フォークリフトフォークリフト
安衛則151条の56第2項不整地運搬車クローラダンプ など
1つの資格で全部は見られない

よくある理解

事業内検査者の資格を取れば、自社の建機は全部社内で検査できる

条文上の構造

準用が区分ごとに分かれている。保有機械がどの区分に散っているかで、必要な資格の数が変わる
整地・掘削・解体(第一・二・六号)はまとまっているが、基礎工事用・締固め用・打設用は別

まず自社の保有機械を区分に振り分ける

社内化を検討するなら、最初にやるのは保有機械の棚卸しと区分への振り分けです。第一・二・六号に集中しているなら1つの資格で足りますが、ローラーやポンプ車を持っているなら別の資格が要ります。

資格要件(学歴・実務年数と研修)

安衛則151条の24第2項は、次のいずれかに該当する者で厚生労働大臣が定める研修を修了したもの、としています(下表はフォークリフトの文言。他機械は読み替えて準用されます)。

学歴必要な実務経験
大学・高等専門学校で工学に関する学科を専攻して卒業点検・整備の業務に2年以上、または設計・工作の業務に5年以上
高等学校・中等教育学校で工学に関する学科を専攻して卒業点検・整備の業務に4年以上、または設計・工作の業務に7年以上
(学歴の要件なし)点検・整備の業務に7年以上、または設計・工作の業務に10年以上
(学歴の要件なし)運転の業務に10年以上

このほか「その他厚生労働大臣が定める者」という号もあります。実務経験だけで到達できる道(ハ・ニ)が用意されているのが、この資格の特徴です。運転歴の長いオペレーターが対象になり得ます。

研修は別に受ける必要があります

上の要件を満たしていることに加えて、厚生労働大臣が定める研修の修了が必要です。実務経験だけでは足りません。研修は建設荷役車両安全技術協会などが実施しています。日程・費用・実施機関の詳細は各実施機関にご確認ください。

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社内化するかどうかの判断

資格が取れるかどうかとは別に、社内でやることが得かどうかは台数と機種の散らばりで決まります。

見る点社内化が向く外注が向く
台数多い(外注費が積み上がる)少ない
機種の散らばり区分が集中している区分がばらけている(資格を複数取ることになる)
設備整備工場・測定器がある設備が無い
要員整備担当が常駐している兼任で時間が取れない
繁忙期閑散期に自社の都合で回せる時期を業者に合わせられる

社内化の効果は「検査費用が浮く」だけではありません。自社の都合で時期を決められるため、繁忙期を外して計画を組めます。逆に、検査者が異動・退職すると一気に回らなくなるという弱さもあります。1人に集中させないのが実務上の要点です。

費用の考え方は特定自主検査の費用は何で決まるか、判断の詳細は建機の点検は外注か社内かで扱っています。

4区分車両系建設機械の準用
10年運転業務だけで到達する場合
研修実務経験に加えて必要
3年記録の保存

社内で実施するときの記録の書き方

1. 実施者の氏名を書く

記録の5番目の項目は「検査を実施した者の氏名」です。検査業者に実施させた場合だけ「検査業者の名称」に読み替えられます(安衛則169条の2第7項)。社内で実施したなら検査者個人の氏名を書きます。

2. 検査標章は事業者が貼る

社内で実施した場合も、標章の貼付義務者は事業者です。事業内検査用の標章があるので、区別できる状態にしておいてください。検査標章の見方と貼り方で扱っています。

3. 2026年1月からは基準に従う必要があります

特定自主検査は厚生労働大臣の定める基準に従って行わなければならないことになりました(安衛法45条3項)。社内で実施する場合も同じです。機械ごとに適用される告示が違うので、自社の機械の告示を確認してください。特定自主検査の新基準で整理しています。

4. 車検を受けている部分は重複しません

安衛則169条の2第6項により、道路運送車両法48条1項の点検を行った部分については167条の自主検査を要しません。免除されるのは「点検を行った部分」だけなので、範囲は突き合わせて確認してください。

条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で確認できます。研修の実施内容・日程については建設荷役車両安全技術協会等の実施機関にご確認ください。

よくある質問

Q. 事業内検査者の資格を1つ取れば全機種の検査ができますか
できません。車両系建設機械では、安衛則169条の2の第2項から第5項が令別表第七の区分ごとに分けて資格の規定を準用しています。第一号・第二号・第六号はまとまっていますが、第三号(基礎工事用)、第四号(締固め用)、第五号(コンクリート打設用)はそれぞれ別です。
Q. どんな人が事業内検査者になれますか
安衛則151条の24第2項は、工学系の大学・高専卒で点検整備2年以上または設計工作5年以上、高校・中等教育学校の工学系卒で点検整備4年以上または設計工作7年以上、学歴不問で点検整備7年以上または設計工作10年以上、運転業務10年以上のいずれかに該当し、かつ厚生労働大臣が定める研修を修了した者としています。
Q. 実務経験だけで資格を取れますか
要件のうち、点検・整備の業務7年以上、設計・工作の業務10年以上、運転の業務10年以上は学歴を問いません。ただしいずれの場合も、厚生労働大臣が定める研修の修了が別に必要です。
Q. 研修はどこで受けられますか
建設荷役車両安全技術協会などが実施しています。日程・費用・実施機関の詳細は変わることがあるため、各実施機関にご確認ください。
Q. フォークリフトの事業内検査者で建機も見られますか
見られません。フォークリフトは安衛則151条の24第2項、車両系建設機械は169条の2で区分ごとに準用される形になっており、それぞれ別の資格です。不整地運搬車も151条の56第2項で別に準用されています。
Q. 社内で実施した場合、記録には何と書きますか
検査を実施した者の氏名です。「検査業者の名称」に読み替えられるのは、検査業者に実施させた場合だけです(安衛則169条の2第7項)。社内実施なら検査者個人の氏名を書きます。
Q. 社内で実施しても検査標章は必要ですか
必要です。貼付義務者は事業者で、社内実施でも変わりません。事業内検査用の標章があるので、検査業者検査と区別できる状態にしておいてください。
Q. 社内化と外注はどちらが得ですか
台数が多く、保有機械の区分が集中しているほど社内化が向きます。区分がばらけていると資格を複数取ることになり、負担が増えます。設備や整備要員の有無、繁忙期を外して自社の都合で回せるかどうかも判断材料です。
Q. 検査者が退職したらどうなりますか
社内で特定自主検査ができなくなります。1人に集中させると、異動や退職で一気に回らなくなるため、複数名で持つか、外注先を確保しておくことをおすすめします。
Q. 社内実施でも2026年の新基準は関係ありますか
関係します。労働安全衛生法45条3項により、特定自主検査は厚生労働大臣の定める基準に従って行わなければなりません。実施者が社内か検査業者かにかかわらず適用されます。機械ごとに適用される告示が違うので確認してください。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-14時点の情報です。