建設機械・荷役車両

検査標章の見方と貼り方|貼るのは検査業者ではなく事業者です

公開 2026-08-25更新 2026-10-03 執筆 点検板 編集部
点検板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

特定自主検査を受けた機械には検査標章が貼られます。検査業者が来て検査をして、そのまま貼っていくので「業者が貼るもの」だと思われがちですが、条文上の義務者は事業者です。

この違いは、標章が貼られていない機械を見つけたときに効いてきます。業者の仕事だと思っていると「貼り忘れている」で終わりますが、義務者が自社であれば自社で直すべき点になります。この記事では条文を確認したうえで、標章から何を読み取るかを整理します。

持込機械 受入チェック表(Excel・無料)元請が、下請の持ち込む機械を現場で受け入れるときに確認した内容を1行1台で残す台帳。使用届の受理、検査標章の年月、定期自主検査の記録の提示、運転資格、作業計画、添付された点検表の名前、到着時の外観、不備の是正期限と再確認までを並べています。全建統一様式の「持込機械等使用届」そのものではありません。
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この記事の内容(8項目)

条文はどう書いているか

検査標章の貼付は、特定自主検査の対象になる5機種それぞれの条文に、ほぼ同じ文言で置かれています。

機械条文文言
車両系建設機械安衛則169条の2第8項事業者は、…自主検査を行つたときは、当該機械の見やすい箇所に、特定自主検査を行つた年月を明らかにすることができる検査標章をはり付けなければならない
フォークリフト安衛則151条の24第5項
不整地運搬車安衛則151条の56第5項
高所作業車安衛則194条の26第5項
動力プレス安衛則135条の3第4項
条文が求めている3つ
① 誰が事業者(検査業者ではない)
→
② どこに見やすい箇所
→
③ 何を特定自主検査を行った年月が分かるもの
条文が要求しているのは「年月が分かること」。デザインや色は条文の要求ではない

検査業者が貼ってくれても義務は事業者にあります

実務では検査業者が貼っていくのが一般的です。それ自体に問題はありませんが、貼られていないことの責任は事業者に残ります。検査後に標章が貼られたかどうかを、事業者側でも確かめておくと安心です。

移動式クレーンには標章がありません

検査標章は特定自主検査の制度です。移動式クレーンは移動式クレーン検査証で有効性を確認します。制度が別なので、標章を探しても見つかりません。ラフテレーンクレーンの点検で整理しています。

標章から何が分かるか

標章で確認できるのは基本的に「いつ特定自主検査を行ったか」です。ここから次回期限を逆算します。

読み取ること使い道
検査を行った年月次回期限の起算。車両系建設機械・高所作業車なら一年以内、フォークリフトなら一年を超えない期間、不整地運搬車なら二年を超えない期間
標章の種類(検査業者用/事業内検査用)誰が実施したかの区別。記録の「検査を実施した者の氏名」欄(検査業者に実施させたときは「検査業者の名称」)の書き方に対応する
標章が無い未実施か、実施したが貼っていないか。記録を見て判断する

期限は標章ではなく記録で管理する

標章は現物を見に行かないと確認できません。機械が現場に出ていると見に行けないので、台帳側に前回実施日を持ち、期限を計算する形にしておくと確実です。標章は現物確認のときの照合手段として使います。

標章の色は毎年1月1日に変わります

車両系建設機械・フォークリフト・不整地運搬車・高所作業車の標章は、公益社団法人建設荷役車両安全技術協会(建荷協)が作成・頒布しています。建荷協の案内では、検査済標章の色は毎年1月1日をもって暦年ごとに変更され、旧年発行の標章は同日以降使用できないとされています。色を見れば、遠目でも何年の検査かの見当がつくということです。

ただし色や様式そのものは条文の要求ではありません。条文が求めているのは「年月が分かること」です。最新の取扱いは建荷協の「標章・シール類」のページまたは各支部で確認してください。

受入時・持込時に何を確認するか

レンタル機や中古機を受け入れるとき、標章は最初の手がかりになります。

① 標章の年月を見る
→
② 次回期限を計算する
→
③ 使用予定期間と重なるか確認
→
④ 重なるなら誰が手配するか決める

レンタル機の場合

年次の特定自主検査はレンタル会社が済ませた状態で貸し出すのが通例です。標章の年月から、レンタル期間中に期限が来ないかを逆算してください。来るなら、誰が手配するかを契約段階で決めておきます。詳しくはレンタル建機の点検義務は誰が負うかで扱っています。

中古機を買った場合

標章が貼られていても、記録が引き継がれているとは限りません。標章は年月を示すだけで、検査事項の結果や措置の内容までは分かりません。記録の引き継ぎについては中古建機を買ったときの点検で扱っています。

持込機械等使用届に書くとき

点検状況の欄に書く年月は、標章の年月と一致させておくとよいでしょう。ここが食い違うと元請から確認が入ることがあります。標章を写真に撮って添える運用をとる現場もあります。

事業者貼付義務者
年月標章が示すもの
見やすい箇所貼る場所の要件
3年記録は別に保存

よくある取り扱いの誤り

1. 標章があるから記録は不要だと思う

標章と記録は別の義務です。標章は年月を示すだけで、記録6項目(検査年月日/検査方法/検査箇所/検査の結果/検査を実施した者の氏名/補修等の措置を講じたときはその内容)は別に3年保存する必要があります(車両系建設機械は安衛則169条、フォークリフトは151条の23)。

2. 古い標章を剥がさない

何年分も重なっていると、どれが最新か分からなくなります。運用として、最新のものが分かる状態にしておくことが条文の「年月を明らかにすることができる」に沿います。

3. 見えない場所に貼る

条文は「見やすい箇所」と書いています。泥をかぶる場所や、扉を開けないと見えない場所は趣旨に合いません。受入時に外から確認できる場所が実務的です。

4. 月例の実施を標章で示そうとする

検査標章は特定自主検査(年次)についてのものです。月例の定期自主検査には法令上の貼付義務がなく、実施を示す法定の手段は記録です。建荷協は標章の数字の上に貼る「月例検査済シール」も頒布していますが、これは任意の運用で、記録の代わりにはなりません。

関連:車両系建設機械の定期自主検査、特定自主検査を受けていないとどうなるか。条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で確認できます。

持込機械 受入チェック表(Excel・無料)元請が、下請の持ち込む機械を現場で受け入れるときに確認した内容を1行1台で残す台帳。使用届の受理、検査標章の年月、定期自主検査の記録の提示、運転資格、作業計画、添付された点検表の名前、到着時の外観、不備の是正期限と再確認までを並べています。全建統一様式の「持込機械等使用届」そのものではありません。
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検査標章にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

検査標章を貼る義務そのものは変わっていませんが、標章の裏づけになる特定自主検査の決まりは2025年から2026年にかけて変わりました。日付順に並べます。

時期できごと根拠
2023年3月31日フォークリフト・不整地運搬車・車両系建設機械・高所作業車の定期自主検査指針が改正される自主検査指針公示第21号・第23〜25号(基発1226第2号に記載)
2025年5月14日改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)が公布。特定自主検査は「厚生労働大臣の定める基準に従つて行わなければならない」とする45条3項が新設される安衛法45条3項
2025年12月18日・24日高所作業車(告示第313号)、車両系建設機械(第320号)、フォークリフト(第321号)、不整地運搬車(第322号)、動力プレス(第323号)の特定自主検査基準が告示される基発1226第2号
2026年1月1日5つの基準が適用され、特定自主検査に係る旧指針は廃止。違反した検査業者への改善命令などの措置も始まる。建荷協の標章もこの日から令和8年の色に切り替わる基発1226第2号/厚生労働省パンフレット/建荷協
2026年10月1日建荷協が令和9年の特定(定期)自主検査済標章について、価格改定を案内(令和8年版・7年版は据え置き)建荷協のお知らせ

ポイントはここです。標章は「年月」を示すだけですが、その検査は2026年1月から告示の基準に沿って行われていなければなりません。受け取った記録表が新しい基準に沿った書式になっているかも、あわせて見ておくと安心です。

出典:高所作業車特定自主検査基準等の制定等について(基発1226第2号)、厚生労働省 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の概要、e-Gov法令検索(労働安全衛生法)、建荷協「標章・シール類」。確認日は2026年10月3日です。個別の扱いは所轄の労働基準監督署にご確認ください。

検査標章に出てくる用語

検査標章のまわりでは、法令の言葉と製品の名前が混ざって使われています。どちらの言葉かを分けておくと、問い合わせのときに話が早くなります。

用語意味出典
検査標章特定自主検査を行った年月を明らかにすることができる標章。事業者が機械の見やすい箇所にはり付ける安衛則151条の24第5項・169条の2第8項など
検査済標章建荷協が作成・頒布する標章の名前。法令上の名前は「検査標章」建荷協「標章・シール類」
特定自主検査定期自主検査のうち、資格を持つ者か検査業者が行わなければならないもの安衛法45条2項
検査業者登録を受け、他人の求めに応じて特定自主検査を行う者安衛法45条2項・54条の3
事業内検査自社の有資格者が自社の機械を検査すること。法令上の定義はない(条文は「その使用する労働者で資格を有するもの」)安衛法45条2項
出荷標章新車の納入時に、第1回の定期自主検査または特定自主検査の時期を知らせるために貼る標章。法令上の定義はない建荷協「標章・シール類」
月例検査済シール標章の表面の1から12の数字の上に貼るシール。法令上の定義はない建荷協「標章・シール類」
見やすい箇所法令上の定義はない。外から確認できる場所と読むのが実務的安衛則169条の2第8項など

検査標章と一緒に押さえておきたいこと

検査標章は小さなシールですが、扱いを決めておくと受入と期限管理がぐっと楽になります。上位の解説ではあまり触れられていない点を4つ挙げます。

新車には出荷標章が貼られている

新車を受け取ったときに貼られているのは、検査を受けた印ではなく出荷標章のことがあります。建荷協の案内では、製造業者や販売業者が新車を納入する際に、第1回の定期自主検査または特定自主検査の実施時期を知らせるために貼るものとされています。台帳には「納入日」と「初回の期限」を分けて書いておくと、取り違えを防げます。

年をまたぐと前年の標章は使えない

建荷協の標章は毎年1月1日に色が変わり、旧年発行の標章は同日以降使用できないとされています。事業内検査で標章を買い置きしている場合は、年末に余った標章を翌年に回さないように、購入数を年の検査予定に合わせておくと無駄がありません。

動力プレスにも貼付義務がある

検査標章というと建設機械とフォークリフトの話になりがちですが、動力プレスも特定自主検査の対象で、安衛則135条の3第4項に同じ貼付義務があります。工場で両方を持っている事業場は、動力プレスの点検表とあわせて、台帳を1本にしておくと管理しやすくなります。

剥がれた・読めなくなったときの扱いを決めておく

条文が求めているのは「年月を明らかにすることができる」状態です。泥や洗車で読めなくなった標章は、この状態を満たしにくくなります。再交付や貼り直しの扱いは、検査を実施した検査業者(事業内検査なら標章を購入した窓口)に確認するのが確実です。その間は、記録表の写しで年月を示せるようにしておきます。

点検板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. 検査標章は誰が貼りますか
事業者です。車両系建設機械は安衛則169条の2第8項、フォークリフトは151条の24第5項、不整地運搬車は151条の56第5項、高所作業車は194条の26第5項、動力プレスは135条の3第4項が、いずれも事業者に貼付を義務づけています。実務では検査業者が貼っていきますが、貼られていないことの責任は事業者に残ります。
Q. 標章には何が書かれていますか
条文が求めているのは「特定自主検査を行つた年月を明らかにすることができる」ことです。つまり検査を行った年月が分かることが要件です。デザインや色そのものは条文の要求ではなく、建荷協の運用によります。
Q. 標章の色はいつ変わりますか
建荷協の案内では、検査済標章の色は毎年1月1日をもって暦年ごとに変更され、旧年発行の標章は同日以降使用できないとされています。最新の取扱いは建荷協または各支部で確認してください。
Q. 標章があれば記録は不要ですか
不要にはなりません。標章と記録は別の義務です。記録は6項目(検査年月日・検査方法・検査箇所・検査の結果・検査を実施した者の氏名・補修等の措置の内容)を3年間保存する必要があります。
Q. 標章から次回の期限は分かりますか
検査を行った年月が分かるので、そこから逆算できます。車両系建設機械・高所作業車は一年以内ごと、フォークリフトは一年を超えない期間ごと、不整地運搬車は二年を超えない期間ごとです。ただし期限管理は台帳側で行い、標章は現物確認の照合手段として使うのが実務的です。
Q. 古い標章は剥がすべきですか
運用として、最新のものが分かる状態にしておくことをおすすめします。条文が求めているのは「年月を明らかにすることができる」ことなので、何年分も重なってどれが最新か分からない状態は趣旨に合いません。
Q. どこに貼ればよいですか
条文は「見やすい箇所」と定めています。泥をかぶる場所や、扉を開けないと見えない場所は趣旨に合いません。受入時に外から確認できる場所が実務的です。
Q. 移動式クレーンにも検査標章はありますか
ありません。検査標章は特定自主検査の制度で、移動式クレーンは移動式クレーン検査証で有効性を確認します。制度が別なので標章を探しても見つかりません。
Q. 月例の実施も標章で分かりますか
法令上は分かる仕組みになっていません。月例の定期自主検査には貼付義務がなく、実施を示す法定の手段は記録です。建荷協の月例検査済シールを使う運用もありますが、任意で、記録の代わりにはなりません。
Q. レンタル機では何を確認すればよいですか
標章の年月を見て次回期限を計算し、レンタル期間中に期限が来ないかを確認してください。来る場合は誰が手配するかを契約段階で決めておきます。年次はレンタル会社が済ませた状態で貸し出すのが通例です。
Q. 持込機械等使用届に書く年月はどこから取りますか
標章の年月と一致させておくとよいでしょう。届出の点検状況欄と標章が食い違うと元請から確認が入ることがあります。標章を写真に撮って添える運用をとる現場もあります。
持込機械 受入チェック表(Excel・無料)元請が、下請の持ち込む機械を現場で受け入れるときに確認した内容を1行1台で残す台帳。使用届の受理、検査標章の年月、定期自主検査の記録の提示、運転資格、作業計画、添付された点検表の名前、到着時の外観、不備の是正期限と再確認までを並べています。全建統一様式の「持込機械等使用届」そのものではありません。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点の情報です。