持込機械等使用届の書き方|添える点検表に何を書くかまで
現場に機械を入れるとき、元請に「持込機械等使用届」を出します。様式そのものはどこでも手に入るのに、いざ書こうとすると点検状況の欄で手が止まることが多いはずです。何をもって「点検済み」と書いてよいのかが、様式のどこにも説明されていないためです。
この記事では、届出の各欄で何を書くかを整理したうえで、添える点検表の中身を条文から詰めます。届出は元請に出して終わりですが、その裏付けになる定期自主検査の記録は自社に3年残ります。この2つは別物で、混ぜると後で困ります。
この記事の内容(6項目)
持込機械等使用届とは何か
持込機械等使用届は、下請が現場に機械を持ち込むときに元請へ提出する書類です。いわゆる安全書類(グリーンファイル)の1つで、多くの現場で全国建設業協会の全建統一様式が使われています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出す人 | 機械を持ち込む下請(機械を使用する事業者) |
| 出す先 | 元請(統括安全衛生責任者) |
| 出す時期 | 機械を搬入する前。当日提出では受け付けない現場が多い |
| 目的 | 元請が現場の機械を把握し、資格者・点検状況・保険を確認するため |
| 法令上の位置づけ | この様式自体は法定様式ではない。元請の統括管理(安衛法30条)のための実務上の書類 |
「使用届」は2種類に分かれています
全建統一様式では、対象によって届出が分かれています。混同して別の様式を出すと差し戻されます。
移動式クレーン・車両系建設機械
ラフテレーンクレーン、バックホー、ブルドーザ、ホイールローダー、高所作業車など運転に資格が要る大型機械電気工具・電気溶接機
グラインダー、丸のこ、溶接機など手持ち工具。届出も点検欄も別様式この記事は前者を扱います。後者は電気工具・電気溶接機使用届の点検欄の書き方で扱っています。
※ 全建統一様式の著作権は(公社)全国建設業協会に帰属します。当サイトでは様式そのものの配布は行わず、書き方と点検表の中身の説明のみを扱っています。
欄ごとに何を書くか
現場によって様式の版が違いますが、聞かれている中身はほぼ共通です。迷いやすい欄から順に整理します。
| 欄 | 書くこと | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 機械の種類 | ドラグショベル、ホイールローダー等 | 商品名ではなく機械の種類で書く。「ユンボ」「バックホー」ではなく「ドラグショベル(車両系建設機械)」のように書くと差し戻されにくい |
| 規格・能力 | 機体重量、バケット容量、つり上げ荷重など | 資格の区分がここで決まる。機体重量3t以上/未満の別は必ず正確に |
| 製造者・型式・機番 | 銘板のとおり | 機番は点検記録の管理番号と揃える。バラバラだと後で突き合わせられない |
| 検査証等 | 移動式クレーンは検査証番号と有効期限 | 車両系建設機械には検査証がありません。代わりに特定自主検査の実施年月を書く |
| 資格者 | 運転者の氏名と資格(技能講習/特別教育) | 機体重量3t以上は技能講習、3t未満は特別教育。修了証の番号まで求める現場が多い |
| 点検状況 | 特定自主検査(年次)・定期自主検査(月例)の直近実施日 | この記事の本題。次の章で扱う |
| 保険 | 自賠責・任意保険の期間 | 公道を走る機械のみ |
持込元が自社かリースかで書き方が変わります
レンタル・リース機の場合、機械の所有者は自社ではありません。ただし現場で使う事業者は自社なので、届出を出すのは自社です。点検状況の欄には、レンタル会社が実施した特定自主検査の年月を書きます。
このとき、レンタル会社から受け取る書面(安衛則666条二号の能力・特性等を記載した書面)と検査標章の年月を突き合わせておくと、記入の根拠が手元に残ります。詳しくはレンタル建機の点検義務は誰が負うかで整理しています。
点検状況の欄に何を書けるか
ここが本題です。点検状況の欄は「点検した」と書けば通るものではなく、3つの層のどれを指しているのかを分けて書く必要があります。
| 機械 | 年次(特定自主検査) | 月例 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 車両系建設機械 | 一年以内ごとに一回 | 一月以内ごとに一回 | 安衛則167条/168条 |
| 高所作業車 | 一年以内ごとに一回 | 一月以内ごとに一回 | 安衛則194条の23/194条の24 |
| フォークリフト | 一年を超えない期間ごと | 一月を超えない期間ごと | 安衛則151条の21/151条の22 |
| 不整地運搬車 | 二年を超えない期間ごと | 一月を超えない期間ごと | 安衛則151条の53/151条の54 |
| 移動式クレーン | 一年以内ごと(荷重試験) | 一月以内ごと | クレーン則76条/77条 |
「月例点検」という言葉は法令にありません
条文の文言は機械ごとに書き分けられていて、車両系建設機械と高所作業車は「一月以内ごとに一回」、フォークリフトと不整地運搬車は「一月を超えない期間ごとに一回」です。届出の欄に条文を引くときは、自社の機械の条文に合わせてください。
期限が現場の工期中に来る場合
届出時点で有効でも、工期の途中で月例や年次の期限が来ることがあります。その場合は届出の備考欄に次回実施予定日を書いておくと、元請から後日確認が入ったときに説明できます。期限の管理は点検期限管理表のような1枚で持っておくと、現場ごとに探し直す手間がなくなります。
届出と、社内に残す記録は別物です
ここを混同している事業場が多いところです。届出は元請に出すもの、定期自主検査の記録は自社に3年残すもので、根拠も保存先も違います。
持込機械等使用届
提出先=元請目的=現場の統括管理
根拠=法定様式ではない(実務書類)
保存=元請側の工事書類として
定期自主検査の記録
提出先=提出しない目的=法令上の記録義務
根拠=安衛則169条ほか
保存=自社で3年間
届出のコピーを取っておけば記録も足りる、と考えると足りません。記録として求められるのは6項目(検査年月日/検査方法/検査箇所/検査の結果/検査を実施した者の氏名/補修等の措置を講じたときはその内容)で、届出の点検状況欄にはこれだけの情報が入りません。
現場が終わっても記録は残す
工事が終わって届出が元請の書類に綴じられても、自社の記録義務はそのまま3年続きます。現場単位でファイルを作っていると、現場が終わった時点で記録が散逸します。機械単位(管理番号ごと)で残すのが確実です。
差し戻されやすい5つのパターン
1. 機械の種類を通称で書いている
「ユンボ」「バックホー」「ラフター」は現場語です。届出には機械の種類(ドラグショベル、移動式クレーン等)で書きます。安衛令別表第七の区分に沿って書くと、資格や検査の話まで一貫します。
2. 機体重量と資格が対応していない
車両系建設機械は機体重量3t以上が技能講習、3t未満が特別教育です。規格欄に3.2tと書いてあるのに運転者が特別教育修了という届出は必ず止まります。
3. 車両系建設機械に「検査証番号」を書いている
検査証があるのは移動式クレーン(つり上げ荷重3t以上)などで、車両系建設機械にはありません。空欄にするか、特定自主検査の実施年月を書きます。
4. 点検状況が「実施済」だけ
いつ、どの検査を、誰が実施したのかが分かりません。年月日と、年次か月例かの区別を書いてください。年次は検査業者名または事業内検査者名まで書けると通りが早くなります。
5. リース機なのに自社を所有者にしている
所有者欄はレンタル会社、使用者欄は自社です。ここを揃えてしまうと、検査の実施主体の確認で話が合わなくなります。
関連:機械ごとの検査事項は車両系建設機械の定期自主検査、元請に出す点検表そのものは持込時の点検表とはで扱っています。条文の原文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で確認できます。
よくある質問
- Q. 持込機械等使用届は法律で決まった様式ですか
- この様式自体は法定様式ではありません。元請が現場全体を統括管理する(労働安全衛生法30条)ための実務上の書類で、多くの現場で全国建設業協会の全建統一様式が使われています。ただし現場によって版や項目が異なるため、提出前に元請の指定を確認してください。
- Q. いつまでに提出すればよいですか
- 機械を搬入する前です。当日持ち込みでは受け付けない現場が多く、資格者の修了証や検査状況の確認に時間がかかるため、余裕をもって提出してください。
- Q. 点検状況の欄には何を書けばよいですか
- 直近の特定自主検査(年次)と定期自主検査(月例)の実施年月日です。年次については検査業者名または事業内検査者名まで書けると確認が早く済みます。作業開始前点検は毎日行うもので記録の保存義務もないため、通常この欄には書きません。
- Q. 車両系建設機械の検査証番号はどこに書きますか
- 車両系建設機械に検査証はありません。検査証があるのはつり上げ荷重3t以上の移動式クレーンなどです。車両系建設機械の場合は空欄にするか、特定自主検査の実施年月を記載します。
- Q. レンタル機を持ち込むときは誰が届出を出しますか
- 現場でその機械を使用する事業者、つまり借りた側が提出します。所有者欄にはレンタル会社、使用者欄には自社を書きます。点検状況には、レンタル会社が実施した特定自主検査の年月を記載します。
- Q. 工期の途中で点検期限が来る場合はどうしますか
- 備考欄に次回の実施予定日を書いておくと、後日確認が入ったときに説明できます。期限が来たら実際に実施し、その記録は自社で3年間保存します。届出を出し直すかどうかは元請の運用によります。
- Q. 届出のコピーがあれば定期自主検査の記録は不要ですか
- 不足します。法令が求める記録は6項目(検査年月日・検査方法・検査箇所・検査の結果・検査を実施した者の氏名・補修等の措置の内容)で、届出の点検状況欄にはこれだけの情報が入りません。記録は別に作成し、3年間保存してください。
- Q. 「バックホー」と書いてはいけませんか
- 差し戻される可能性があります。届出には機械の種類で書きます。労働安全衛生法施行令別表第七の区分に沿って「ドラグショベル(掘削用機械)」のように書くと、資格や検査の説明まで一貫します。
- Q. 全建統一様式はどこで手に入りますか
- 全国建設業協会および各都道府県の建設業協会が提供しています。様式の著作権は全国建設業協会に帰属するため、当サイトでは配布していません。元請から指定の様式が渡されることも多いので、まず確認してください。
- Q. 工事が終わったら記録も処分してよいですか
- いけません。届出は元請の工事書類として綴じられますが、定期自主検査の記録は自社の義務として3年間の保存が必要です。現場単位でファイルを作ると現場終了時に散逸するため、機械の管理番号単位で残すことをおすすめします。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-19時点の情報です。