建設機械・荷役車両

登録検査業者に特定自主検査を頼む|探し方と、依頼のときに決めること

公開 2026-08-20更新 2026-08-27 執筆 点検板 編集部

特定自主検査を自社でやらない場合、頼める相手は決まっています。労働安全衛生法54条の3の登録を受けた「検査業者」だけです。整備工場やディーラーであっても、この登録がなければ特定自主検査は実施できません。

ところが実務では、「いつも整備を頼んでいるところ」に何となく依頼していることが少なくありません。相手が登録業者であれば問題ないのですが、確かめないまま続けていると、後から記録の有効性が問われる形になります。

この記事では、登録検査業者とは何か、どうやって探して確かめるか、依頼のときに決めておくこと、受け取った記録表で見る点までを、条文とあわせて整理します。

特定自主検査 記録・検査標章 管理台帳(Excel・無料)フォークリフト・車両系建設機械・高所作業車・不整地運搬車・動力プレスの特定自主検査(年次)と定期自主検査(月例)の記録を、機械をまたいで1枚で管理する台帳。安衛則169条の記録6事項をそのまま列にし、次回期限日・検査標章の管理・記録の保存期限(3年)を自動計算します。検査そのものの様式ではなく、受け取った記録表を管理するための様式です。
テンプレートを見る
この記事の内容(8項目)

特定自主検査を頼めるのは、登録を受けた検査業者だけ

検査業者の定義は、労働安全衛生法45条2項の中に書かれています。

第五十四条の三第一項に規定する登録を受け、他人の求めに応じて当該機械等について特定自主検査を行う者(以下「検査業者」という。)に実施させなければならない。

つまり検査業者は、「登録を受けていること」と「他人の求めに応じて特定自主検査を行うこと」の2つで定義されています。登録は厚生労働省または都道府県労働局に備える検査業者名簿に対して行われます(法54条の3第1項)。

検査業者検査事業内検査
実施する人登録検査業者(が、資格を有する者に実施させる)自社の事業内検査者
根拠法45条2項・法54条の3〜54条の4法45条2項・安衛則151条の24第2項ほか
記録の5号「検査業者の名称」に読み替わる検査を実施した者の氏名

どちらで受けても法的な効力は同じです。台数が少ないうちは検査業者に頼むほうが総額を抑えやすく、台数が増えると自社実施が効いてきます。判断の材料は建機の点検は外注か社内かにまとめています。

検査業者かどうかは、労働局の名簿で確かめられる

ここが実務でいちばん使える条文です。法54条の3第5項に、こう書かれています。

事業者その他の関係者は、検査業者名簿の閲覧を求めることができる。

つまり依頼先が登録業者かどうかは、事業者の側から確かめられます。各都道府県労働局が「特定自主検査登録業者一覧」といった名前で一覧を公開しているので、まずはそこを見るのが早道です。

① 探す所轄の労働局サイトで一覧を見る
② 絞る対象機械の区分で絞る
③ 確かめる登録証の原本で名義を確認
④ 記録業者名と登録番号を台帳に残す
③を飛ばさない。社名が変わっている業者があるため(法54条の5)

業界団体からたどる方法もある

建設機械・荷役車両については建設荷役車両安全技術協会(建荷協)とその都道府県支部、フォークリフトについては日本産業車両協会が、制度の窓口や講習の案内を出しています。ただし団体への加入と登録検査業者であることは別なので、最終的な確認は労働局の名簿で行ってください。

検査業者の登録は、どういう仕組みか

登録の仕組みを知っておくと、「なぜ登録証の原本を見るのか」が腑に落ちます。法54条の3から54条の6までにまとまっています。

中身
54条の3第1項厚生労働省または都道府県労働局に備える検査業者名簿に登録を受ける
54条の3第2項欠格事由。法45条違反等で罰金以上の刑に処せられて2年を経過しない者、登録を取り消されて2年を経過しない者、役員にこれらの者がいる法人は登録を受けられない
54条の3第4項省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ登録してはならない
54条の3第5項事業者その他の関係者は、名簿の閲覧を求めることができる
54条の4検査業者は、省令で定める資格を有する者に実施させ、法45条3項の基準に従って行う
54条の5事業譲渡・相続・合併・分割があったときは地位を承継する。承継したら遅滞なく届出
54条の654条の4に違反していると認めるときは、業務の方法の改善命令

54条の4がポイントです。検査業者だからといって誰が検査してもよいわけではなく、業者の中でも資格を持つ者が実施します。そして検査の中身は、事業者が自分でやる場合と同じ告示の基準に従います。

社名が変わっている業者がある|54条の5の承継

法54条の5は、事業の全部を譲り渡したときや、相続・合併・分割があったときに検査業者の地位が引き継がれることを定めています。承継した側は遅滞なく届け出ることになっています。

実務への影響はここです。数年前に見た業者名と、いまの社名が違っていることがあります。逆に、社名は同じでも中身が変わっていることもあります。契約のときは登録証の原本で、その時点の名義を確認してください。

場面確認すること
初めて依頼する登録証の原本。登録番号と名義、対象の機械の区分
毎年同じ業者に頼んでいる社名・登録番号に変更がないか(請求書や記録表の記載で気づけることが多い)
紹介された業者に頼む労働局の名簿に載っているか。紹介=登録の証明ではない

台帳側に業者名と登録番号を1列持たせておくと、この確認が毎年の作業になります。特定自主検査 記録・検査標章 管理台帳では「検査を実施した者の氏名(検査業者名・登録番号)」の列がこれにあたります。

特定自主検査 記録・検査標章 管理台帳(Excel・無料)フォークリフト・車両系建設機械・高所作業車・不整地運搬車・動力プレスの特定自主検査(年次)と定期自主検査(月例)の記録を、機械をまたいで1枚で管理する台帳。安衛則169条の記録6事項をそのまま列にし、次回期限日・検査標章の管理・記録の保存期限(3年)を自動計算します。検査そのものの様式ではなく、受け取った記録表を管理するための様式です。
テンプレートを見る

依頼の流れ|見積りから記録の受領まで

初めて依頼する場合の流れは、おおむね次のようになります。台数の洗い出しが先で、見積りは後です。台数が分からないまま問い合わせても、見積りが出てきません。

① 洗い出し対象機械と台数・機体番号
② 問合せ機種・台数・所在地を伝える
③ 見積り検査料・出張費・整備の扱い
④ 日程現場が止まらない日を選ぶ
⑤ 検査立ち会い・不具合の判断
⑥ 受領記録表を受け取り、標章を貼る
⑥の標章を貼る義務は事業者にある。業者が貼っていっても、確認は自社の仕事

見積りの内訳と、台数がまとまったときの下げ方は特定自主検査の費用は何で決まるかで扱っています。日程の組み方は特定自主検査の年間スケジュールの立て方にまとめました。

依頼のときに決めておく5つ

あとで揉めやすいところは、だいたい決まっています。見積りの段階で言葉にしておくと、当日の判断が早くなります。

決めておくこと決めていないと何が起きるか
1整備は含むのか、別なのか不具合が見つかったときに、その場で直すのか見積り直しなのかで止まる
2不具合が出たときの連絡先と決裁現場判断で高額な部品交換が進む、または連絡待ちで1日つぶれる
3検査場所(持込みか出張か)出張費の扱いが後出しになる。現場の機械は動かせないことが多い
4記録表の受け取り方と部数紙1部だけで、元請提出用の控えが無い
5標章を誰が貼るか業者任せにして貼られず、標章の無い機械が残る(義務は事業者側)

4はとくに効きます。記録表は3年保存する自社の記録であると同時に、元請に見せる書類にもなります。PDFでももらえるか、追加の控えが要るかを最初に伝えておくと、あとで再発行を頼まずに済みます。持込み時の書類は持込機械の受入チェック、安全書類(グリーンファイル)のうち点検に関わる書類で扱っています。

受け取った記録表で確認すること

記録表を受け取ったら、綴じる前に6つの記録事項が埋まっているかを見ます。安衛則169条ほかが定めているものです。

#記録する事項検査業者に頼んだときの見方
1検査年月日次回期限の起算日。台帳に転記する
2検査方法業者様式では検査項目ごとに入っている
3検査箇所告示の別表に沿っているか
4検査の結果空欄のまま渡されることがある
5検査を実施した者の氏名「検査業者の名称」に読み替わる(安衛則169条の2第7項ほか)。個人名が無くても不足ではない
6補修等の措置の内容後日補修したぶんが抜けやすい

いちばん抜けるのは6番です。「不具合が見つかり、後日部品を交換した」という流れになると、記録表は検査当日のままで更新されません。台帳側に補修年月日と内容の列を持たせておくと、ここを拾えます。

記録の扱い全体は特定自主検査記録表、保存の実務は建機の点検記録3年保存にまとめています。

よくある質問

Q. 特定自主検査は整備工場に頼んでもよいですか
労働安全衛生法54条の3の登録を受けた検査業者であれば頼めます。整備工場やディーラーでも、この登録がなければ特定自主検査は実施できません。
Q. 依頼先が登録検査業者かどうかを調べる方法はありますか
あります。法54条の3第5項に「事業者その他の関係者は、検査業者名簿の閲覧を求めることができる」とあり、各都道府県労働局が登録業者の一覧を公開しています。契約時には登録証の原本で名義も確認してください。
Q. 検査業者の登録はどこが行いますか
厚生労働大臣または都道府県労働局長です。検査業者名簿は厚生労働省または都道府県労働局に備えられます(法54条の3第1項)。
Q. 検査業者なら誰が検査してもよいのですか
よくありません。法54条の4が「厚生労働省令で定める資格を有する者にこれを実施させなければならない」と定めています。あわせて、法45条3項の基準(告示)に従って行う必要があります。
Q. 以前頼んでいた業者の社名が変わっていました
事業譲渡・相続・合併・分割があったときは検査業者の地位が承継されます(法54条の5)。承継した側は遅滞なく届け出ることになっているので、登録証の原本で現在の名義を確認してください。
Q. 検査業者と事業内検査で、記録の書き方は変わりますか
5号だけ変わります。検査業者に実施させた場合、「検査を実施した者の氏名」は「検査業者の名称」に読み替えられます(安衛則169条の2第7項ほか)。
Q. 見積りを取るときに何を伝えればよいですか
対象機械の種類・台数・機体番号・所在地です。あわせて、整備を含むのか、不具合が出たときの決裁をどうするか、記録表の部数を先に決めておくと当日の判断が早くなります。
Q. 検査標章は業者が貼ってくれますか
実務では業者が貼っていくことが多いのですが、条文上の義務者は事業者です。貼られていないことの責任は事業者に残るので、検査後の確認は自社で行ってください。
Q. 台数が少ないと断られることはありますか
出張の採算が合わない地域では、日程をまとめる相談になることがあります。近隣の同業者と日を合わせる、機械を1か所に集めるなどで解決している事業場があります。
Q. 自社で資格を取るのと、どちらが得ですか
台数と機種の散らばり方で変わります。資格は機種の区分ごとに分かれているので、保有機種が複数の区分にまたがっていると自社実施の割が悪くなります。判断の材料は「建機の点検は外注か社内か」で整理しています。
特定自主検査 記録・検査標章 管理台帳(Excel・無料)フォークリフト・車両系建設機械・高所作業車・不整地運搬車・動力プレスの特定自主検査(年次)と定期自主検査(月例)の記録を、機械をまたいで1枚で管理する台帳。安衛則169条の記録6事項をそのまま列にし、次回期限日・検査標章の管理・記録の保存期限(3年)を自動計算します。検査そのものの様式ではなく、受け取った記録表を管理するための様式です。
テンプレートを見る

本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-08-27時点の情報です。