特定自主検査とは|条文の構造と、事業者がやることの全体像
特定自主検査は、フォークリフトや建設機械を持っている会社に年1回かかってくる検査です。現場では「特自検(とくじけん)」と呼ばれます。毎月の点検とは別で、資格を持つ人しか実施できないところが最大の特徴です。
この検査でつまずくのは、たいてい制度そのものではありません。「うちの機械が対象なのか」「誰に頼めばいいのか」「何を残せばいいのか」の3つです。条文が法律・政令・省令・告示の4階層に分かれていて、どこに何が書いてあるかが見えにくいことが原因です。
この記事では特定自主検査について、条文の構造を上から順にたどりながら、対象機械・周期・資格・検査基準・記録・検査標章・罰則を整理します。最後に、これから始める事業場が何から手を付ければよいかの段取りも置いています。条文はすべて e-Gov法令検索で本文を確認したものです。
台数がいちばん多いのはフォークリフトです。年に1回、誰が何をして何を残すのかはフォークリフトの特定自主検査で1台ぶん通して追っています。
この記事の内容(15項目)
- 特定自主検査とは|「資格者でなければできない定期自主検査」のこと
- 「指針」と「基準」が分かれているのは、項が違うから
- 特定自主検査の対象機械|令15条2項が指している5つ
- 間違えやすい3つ
- 特定自主検査の周期|機械ごとに文言が違い、不整地運搬車だけ2年
- 使わない期間があるときは「使うときに受ける」
- 特定自主検査を実施できる人|検査業者検査と事業内検査の2通り
- 事業内検査者の資格は、機種の区分ごとに分かれている
- 特定自主検査の検査項目|2026年1月から「基準」(告示)になった
- 自社の様式で作ってよいのはどこまでか
- 特定自主検査の記録|6つの事項を3年間保存する
- 検査業者に頼んだときは5号が読み替わる
- 検査標章|貼るのは事業者。示すのは「行った年月」
- 車検を受けた部分は、年次の自主検査が要らない
- 特定自主検査をやっていないとどうなるか
- 定期自主検査・作業開始前点検との切り分け
- これから始める事業場の段取り|台数を数えるところから
- ①の台帳は1枚で足りる
- ⑤を最初からやろうとしない
- 特定自主検査にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
- 特定自主検査に出てくる用語
- 特定自主検査と一緒に押さえておきたいこと
- 基準に従う義務は、検査業者の側にもかかっている
- 事業者や役員が自ら実施する形もある
- 罰則の条文と、基準違反の扱いは分けて読む
- よくある質問
特定自主検査とは|「資格者でなければできない定期自主検査」のこと
特定自主検査は、労働安全衛生法45条2項に置かれています。まず押さえたいのは、特定自主検査は定期自主検査の外にある別の検査ではなく、定期自主検査の一部だということです。
条文はこう組み立てられています。
| 項 | 書いてあること |
|---|---|
| 45条1項 | 政令で定める機械等について、定期に自主検査を行い、その結果を記録しておかなければならない |
| 45条2項 | 1項の機械等のうち政令で定めるものは、省令で定める資格を有する者、または検査業者に実施させなければならない(この自主検査を「特定自主検査」という) |
| 45条3項 | 特定自主検査は、厚生労働大臣の定める基準に従つて行わなければならない |
| 45条4項 | 厚生労働大臣は、特定自主検査を除く定期自主検査について「自主検査指針」を公表する |
| 45条5項 | 指針について、事業者・検査業者・団体に指導等を行うことができる |
つまり特定自主検査は、45条1項の定期自主検査のうち、2項が「資格者にやらせろ」と指定したものです。「特定」という言葉は、機械が特別なのではなく実施できる人が特定されているという意味だと読むと、制度全体が見通せます。
「指針」と「基準」が分かれているのは、項が違うから
実務でよく混乱するのが「指針」と「基準」です。これは45条の3項と4項が分かれていることに由来します。3項の基準は「従わなければならない」で、4項の指針は「公表するものとする」です。特定自主検査は3項の側にあるので、基準に従うことが義務になります。
特定自主検査の対象機械|令15条2項が指している5つ
特定自主検査の対象は、労働安全衛生法施行令15条2項で決まります。条文は他の条を参照する形なので、たどると次の5つになります。
| 参照先 | 機械 |
|---|---|
| 令13条3項8号 | フォークリフト |
| 令13条3項9号 | 令別表第七に掲げる建設機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるもの |
| 令13条3項33号 | 不整地運搬車 |
| 令13条3項34号 | 作業床の高さが2メートル以上の高所作業車 |
| 令15条1項2号 | 動力により駆動されるプレス機械 |
令別表第七の建設機械は6区分あります。整地・運搬・積込み用(ブルドーザー、モーター・グレーダー、トラクター・シヨベルほか)、掘削用(パワー・シヨベル、ドラグ・シヨベルほか)、基礎工事用(くい打機、アース・ドリルほか)、締固め用(ローラー)、コンクリート打設用(コンクリートポンプ車)、解体用(ブレーカ)です。
間違えやすい3つ
特定自主検査の対象かどうかで、実務がよく引っかかるのは次の3つです。
| 機械 | 結論 | 理由 |
|---|---|---|
| 作業床の高さが2m未満の高所作業車 | 対象外 | 令13条3項34号が「作業床の高さが二メートル以上」と限定している |
| 動力により駆動されるシャー | 対象外 | 令15条2項が引くのは1項2号(プレス機械)だけ。シャーは1項3号なので、年次の定期自主検査はあるが資格の要件がない |
| 移動式クレーン・天井クレーン | 対象外 | クレーン等安全規則の体系。性能検査と検査証で管理する |
機体重量3トン未満のミニショベルは、運転の資格が特別教育に下がりますが特定自主検査は必要です。運転資格と検査義務は別の条文なので、ここを混同すると抜けます。判定の手順は特定自主検査の対象機械かどうかを判定するで、条文をたどる形にまとめています。
特定自主検査の周期|機械ごとに文言が違い、不整地運搬車だけ2年
特定自主検査の周期は、規則の側で機械ごとに定められています。「1年に1回」と一律に覚えると、2か所で間違えます。文言の違いと、不整地運搬車の2年です。
| 機械 | 特定自主検査(年次) | 定期自主検査(月例) | 条文 |
|---|---|---|---|
| 車両系建設機械 | 一年以内ごとに一回 | 一月以内ごとに一回 | 則167条/168条 |
| フォークリフト | 一年を超えない期間ごとに一回 | 一月を超えない期間ごとに一回 | 則151条の21/151条の22 |
| 高所作業車 | 一年以内ごとに一回 | 一月以内ごとに一回 | 則194条の23/194条の24 |
| 不整地運搬車 | 二年を超えない期間ごとに一回 | 一月を超えない期間ごとに一回 | 則151条の53/151条の54 |
| 動力プレス | 一年以内ごとに一回 | 条文がない | 則134条の3 |
動力プレスだけ形が違います。月ごとの定期自主検査を定めた条文がなく、年次と作業開始前点検の2層です。フォークリフトの解説をそのままプレスに当てはめている資料があるので、自社の機械の条文で確かめてください。
使わない期間があるときは「使うときに受ける」
年次の条文には、5つとも同じただし書きが付いています。
ただし、一年(不整地運搬車は二年)を超える期間使用しない機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。
2 事業者は、前項ただし書の機械については、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。
ポイントはここです。休ませていた期間のぶん期限が延びるのではなく、使い始めるときに受けます。長期保管していた機械を現場に出す前に検査を入れる、という運用になります。期限の数え方そのものは特定自主検査の期限はいつまでかで扱っています。
特定自主検査を実施できる人|検査業者検査と事業内検査の2通り
特定自主検査を実施できるのは2通りです。どちらで受けても法的な効力は同じで、違うのは費用の出方と段取りです。
| 検査業者検査 | 事業内検査 | |
|---|---|---|
| 実施する人 | 登録検査業者(法54条の3の登録を受けた者) | 自社の事業内検査者(省令の資格要件を満たし、厚生労働大臣が定める研修を修了した者) |
| 根拠 | 法45条2項・法54条の3〜54条の4 | 法45条2項・則151条の24第2項ほか |
| 費用のかかり方 | 1台ごとに検査料 | 研修費と工具が先。以後は人件費 |
| 段取り | 予約が要る。繁忙期は埋まる | 自社の都合で組める |
| 記録の5号 | 「検査業者の名称」に読み替わる | 検査を実施した者の氏名 |
事業内検査者の資格は、機種の区分ごとに分かれている
資格の本体はフォークリフトの則151条の24第2項にあり、他の機械はこれを読み替えて準用しています。ここで区分が割れます。
| 準用する条文 | その資格で見られる機械 |
|---|---|
| 則169条の2第2項 | 令別表第七第一号・第二号・第六号(整地運搬積込用/掘削用/解体用) |
| 則169条の2第3項 | 同 第三号(基礎工事用) |
| 則169条の2第4項 | 同 第四号(締固め用) |
| 則169条の2第5項 | 同 第五号(コンクリート打設用) |
| 則151条の56第2項 | 不整地運搬車 |
| 則194条の26第2項 | 高所作業車 |
| 則135条の3第2項 | 動力プレス(準用ではなく本体) |
1つ取れば全部見られる、という資格ではありません。油圧ショベルとブルドーザは同じ枠に入りますが、ローラーもコンクリートポンプ車も別枠です。自社の保有機種がどこに散らばっているかで、自社実施が割に合うかが変わります。
資格の要件そのもの(学歴と実務経験の組み合わせ、研修)は事業内検査者になるには、外注と自社の選び方は建機の点検は外注か社内か、検査業者の探し方は登録検査業者に特定自主検査を頼むで扱っています。
特定自主検査の検査項目|2026年1月から「基準」(告示)になった
特定自主検査で何をどこまで見るかは、法45条3項の「厚生労働大臣の定める基準」で決まります。ここが2026年(令和8年)1月1日に大きく変わりました。
| これまで(指針) | いま(基準・告示) | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 適切かつ有効な実施を図るための目安 | 従わなければならないもの |
| 条文 | 法45条4項 | 法45条3項 |
| 名前 | ◯◯定期自主検査指針 | ◯◯特定自主検査基準 |
機械ごとに、車両系建設機械特定自主検査基準(令和7年 厚生労働省告示第320号。別表1〜7)、フォークリフト特定自主検査基準、高所作業車特定自主検査基準、不整地運搬車特定自主検査基準、動力プレス特定自主検査基準が出ています。いずれも2026年1月1日から適用です。
実務への影響はここです。特定自主検査の検査項目と判定基準は、事業者が自社で組み立てるものではなくなりました。検査業者または事業内検査者が、告示の別表に沿って実施します。何が変わったかは特定自主検査の新基準(2026年1月適用)にまとめてあります。
自社の様式で作ってよいのはどこまでか
| 検査 | 項目の出どころ | 自社の様式 |
|---|---|---|
| 作業開始前点検 | 条文(則170条・151条の25・194条の27・151条の57・136条) | 作ってよい |
| 定期自主検査(月例) | 条文(則168条・151条の22・194条の24・151条の54) | 作ってよい |
| 特定自主検査(年次) | 告示の別表 | 項目は作らない。記録欄だけ用意する |
当サイトが配っている様式もこの線に合わせています。年次については検査項目の表ではなく、記録として残さなければならない事項の表を配っています。詳しくは特定自主検査記録表で説明しています。
特定自主検査の記録|6つの事項を3年間保存する
特定自主検査を行ったら、結果を記録して3年間保存します。記録する事項は5つの条文(則169条/151条の23/194条の25/151条の55/135条の2)に置かれていますが、条番号が違うだけで中身は同一です。
| # | 記録する事項 |
|---|---|
| 1 | 検査年月日 |
| 2 | 検査方法 |
| 3 | 検査箇所 |
| 4 | 検査の結果 |
| 5 | 検査を実施した者の氏名 |
| 6 | 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容 |
検査業者に頼んだときは5号が読み替わる
ここは知られていない規定です。検査業者に実施させた場合、記録の5号は次のように読み替えられます。
同条第五号中「検査を実施した者の氏名」とあるのは、「検査業者の名称」とする。
則169条の2第7項/151条の24第4項/194条の26第4項/151条の56第4項/135条の3第3項
つまり業者の記録表に検査した人の個人名が入っていなくても、記録として不足しているわけではありません。必要なのは検査業者の名称のほうです。自社の事業内検査者が実施したときは、その人の氏名が要ります。
保存の実務は建機の点検記録3年保存、記録を機械横断で管理する様式は特定自主検査 記録・検査標章 管理台帳に置いています。
検査標章|貼るのは事業者。示すのは「行った年月」
特定自主検査を行ったら、機械に検査標章を貼ります。条文の書き方は5つとも同じです。
事業者は、…自主検査を行つたときは、当該…の見やすい箇所に、特定自主検査を行つた年月を明らかにすることができる検査標章をはり付けなければならない。
則169条の2第8項/151条の24第5項/194条の26第5項/151条の56第5項/135条の3第4項
読み取れることが2つあります。1つは、義務を負っているのが事業者だということ。実務では検査業者が貼っていきますが、貼られていない責任は事業者に残ります。もう1つは、条文が明らかにさせているのが「行った年月」であって、次回の期限ではないこと。期限は年月から逆算します。
標章の読み方と、受入れ・持込みのときの確認は検査標章の見方と貼り方で扱っています。
車検を受けた部分は、年次の自主検査が要らない
ナンバーが付いていて公道を走る機械には、道路運送車両法48条1項の定期点検整備がかかります。この点検を行った部分については、年次の自主検査を行うことを要しない、という規定があります。
事業者は、運行の用に供する…(道路運送車両法第48条第1項の適用を受けるものに限る。)について、同項の規定に基づいて点検を行つた場合には、当該点検を行つた部分については…の自主検査を行うことを要しない。
則169条の2第6項/151条の24第3項/194条の26第3項/151条の56第3項
免除されるのは「当該点検を行つた部分」だけです。特定自主検査そのものが不要になるわけではありません。作業装置は車検の対象外なので、そこは別に見る必要があります。重なる範囲の考え方は建設機械の車検と特定自主検査で整理しています。
特定自主検査をやっていないとどうなるか
特定自主検査を受けずに機械を使用させた場合、事業者に罰則の適用があります。実務でこれが表に出るのは、多くの場合、災害が起きたときか、労働基準監督署の調査のときです。
| 場面 | 起きること |
|---|---|
| 労働基準監督署の調査 | 記録の提示を求められる。3年ぶん揃っていなければ是正勧告の対象になりうる |
| 元請の構内・現場に入るとき | 検査標章の年月を確認される。期限を過ぎていると入場を断られることがある |
| 災害が起きたとき | 検査の実施状況が調べられる。未実施は責任の判断に影響する |
罰則の条文(労働安全衛生法120条1号)が挙げているのは45条1項と2項で、違反した者は50万円以下の罰金とされています。つまり、定期の自主検査をしない・記録しない(1項)、資格のない人にやらせる(2項)が対象です。
期限が切れていることに気づいた場合、いちばん確実なのは検査を受けるまでその機械を使わないことです。使いながら手配を待つ形にすると、その間の運用が説明できなくなります。罰則の条文は特定自主検査を受けていないとどうなるか、調査で何を出すかは労基署に点検記録の提示を求められたらで扱っています。
定期自主検査・作業開始前点検との切り分け
特定自主検査は3層のいちばん下です。上の層をきちんとやっても、下の層の代わりにはなりません。3つとも別々に必要です。
この記事が扱うのは、特定自主検査という制度そのもの(条文の構造・対象機械・資格・基準・記録・標章)です。特定自主検査と月例の定期自主検査を、周期・実施できる人・記録の項目ごとに横に並べて比べる話は、別の記事に分けています。2つの検査の違いだけを詳しく見たい場合は特定自主検査と定期自主検査の違い、法令をまたいだ定期自主検査全体の話は定期自主検査とはにまとめています。
これから始める事業場の段取り|台数を数えるところから
特定自主検査でいちばん多い困りごとは、費用でも資格でもありません。「うちに対象機械が何台あって、それぞれいつ受けたのか分からない」です。ここが分からないと、見積り依頼も自社実施の判断もできません。
①の台帳は1枚で足りる
最初から立派な仕組みは要りません。機械の種類・機体番号・前回の検査年月日・周期の4つが埋まれば、次回の期限は計算できます。特定自主検査 記録・検査標章 管理台帳は、この4つを入れると次回期限日・残日数・記録の保存期限(3年後)が自動で出るようにしてあります。
⑤を最初からやろうとしない
台数がまとまると、まとめて依頼したほうが1台あたりの費用は下がります。ただし全台を同じ月に集めると、その月だけ現場が止まります。1年目は期限に間に合わせることを優先し、時期の分散は2年目からで構いません。年間の組み方は特定自主検査の年間スケジュールの立て方で扱っています。
特定自主検査にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
特定自主検査は、2025年の法改正で「基準に従う義務」が加わり、2026年1月から告示の基準で行う形に変わりました。制度側で確かめられた出来事を日付順に並べます。
| 日付 | 出来事 | 特定自主検査への影響 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月14日 | 改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)公布 | 特定自主検査は厚生労働大臣の定める基準に従って行う(法45条3項)。検査業者にも同じ義務(法54条の4第2項) | 厚生労働省 改正法の資料 |
| 2025年12月 | 特定自主検査基準を5本告示(高所作業車 第313号、車両系建設機械 第320号、フォークリフト 第321号、不整地運搬車 第322号、動力プレス 第323号) | 機械ごとの検査項目と判定基準が告示になった。特定自主検査の側の旧「定期自主検査指針」は廃止 | 厚生労働省 告示、福岡労働局 |
| 2025年12月26日 | 施行通達「特定自主検査基準等の制定等について」 | 告示の運用の留意事項が示された | 福岡労働局の掲載資料 |
| 2026年1月1日 | 基準の適用と、基準に従う義務の施行 | 年次の特定自主検査は告示の別表で行う | 厚生労働省 改正法の資料・告示 |
| 2026年4月1日 | 改正法の主な部分の施行 | 機械の貸与者などの措置の対象が、一人親方などの作業従事者に広がった | 厚生労働省 改正法の資料 |
| 2026年5月27日 | 令和7年(2025年)の労働災害の確定値を公表 | 全産業の死亡700人のうち、はさまれ・巻き込まれは117人。機械の検査の重みは変わらない | 厚生労働省 |
ポイントはここです。特定自主検査の「何を見るか」は告示で決まり、「誰が行うか」(法45条2項)と「何を残すか」(記録の6事項・3年保存)は従来のままです。事業者が見直すのは、受け取る記録が告示の項目に沿っているかどうかです。
出典:厚生労働省 改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)の資料/厚生労働省 車両系建設機械特定自主検査基準(告示)/福岡労働局 特定自主検査について/厚生労働省 令和7年の労働災害発生状況/e-Gov法令検索 労働安全衛生法
確認日は2026年10月3日です。自社の機械や検査の頼み方に迷う場合は、所轄の労働基準監督署か都道府県労働局に確認してください。
特定自主検査に出てくる用語
特定自主検査の条文や告示に出てくる言葉を、出どころと一緒に並べます。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 特定自主検査 | 定期自主検査のうち、資格を持つ者か検査業者に実施させなければならないもの | 安衛法45条2項、安衛令15条2項 |
| 特定自主検査基準 | 特定自主検査の項目・方法・判定基準を機械ごとに定めた告示。従う義務がある | 安衛法45条3項、令和7年厚生労働省告示第313号・第320号〜第323号 |
| 自主検査指針 | 特定自主検査を除く定期自主検査について、厚生労働大臣が公表する目安 | 安衛法45条4項 |
| 検査業者 | 登録を受け、他人の求めに応じて特定自主検査を行う者 | 安衛法45条2項・54条の3 |
| 検査業者名簿 | 厚生労働省または都道府県労働局に備える名簿。事業者などは閲覧を求めることができる | 安衛法54条の3第1項・第5項 |
| 事業内検査者 | 自社で特定自主検査を行う有資格者の通称。条文上は「厚生労働省令で定める資格を有する」労働者 | 法令上の定義はない(資格は安衛則151条の24第2項ほか) |
| 検査標章 | 特定自主検査を行った年月が分かるよう、事業者が機械の見やすい箇所に貼るもの | 安衛則151条の24第5項・169条の2第8項ほか |
| 機械等貸与者 | 政令で定める機械等を、事業を行う者に貸す者。貸与先での災害を防ぐ措置を講じる | 安衛法33条 |
| 特自検 | 特定自主検査の略称 | 法令上の定義はない |
特定自主検査と一緒に押さえておきたいこと
特定自主検査の制度を読むときに、上位の解説ではあまり触れられない点を3つ取り上げます。
基準に従う義務は、検査業者の側にもかかっている
特定自主検査を基準に従って行う義務は、事業者(法45条3項)だけでなく、他人の求めに応じて検査する検査業者にも定められています(法54条の4第2項)。検査業者がこれに違反していると認められると、厚生労働大臣または都道府県労働局長は業務の方法の改善を命じることができ(法54条の6)、登録の取消しや6か月以内の業務停止もありえます(法54条の7第2項)。業者を選ぶときは、記録表が告示の別表に沿った形になっているかを1枚見せてもらうと確かです。
事業者や役員が自ら実施する形もある
法45条2項は、実施できる人として、検査業者と資格を持つ労働者のほかに、資格を持つ事業者自身(法人なら代表者または役員)が自ら実施する形も書いています。小さな会社で社長が整備の経験を持っている場合などがこれにあたります。資格の要件は労働者の場合と同じなので、研修の修了を含めて確かめておきます。
罰則の条文と、基準違反の扱いは分けて読む
事業者に罰金を科す条文(法120条1号)が挙げているのは45条1項・2項で、3項(基準に従う義務)は挙がっていません。一方、検査業者が基準に従わないときは、改善命令や登録の取消し・業務停止の対象になります(法54条の6・54条の7)。どちらにしても、受け取った記録が告示の項目を満たしていなければ、基準に従った検査とは言えないので、記録表の中身まで確かめておくことが大切です。
よくある質問
- Q. 特定自主検査と定期自主検査は何が違いますか
- 特定自主検査は、定期自主検査のうち労働安全衛生法45条2項が「資格を有する者または検査業者に実施させろ」と指定したものです。別の検査ではなく、定期自主検査の一部にあたります。周期は年1回(不整地運搬車は2年に1回)で、月ごとの定期自主検査とは条文が分かれています。
- Q. 特定自主検査の「特定」とはどういう意味ですか
- 機械が特別という意味ではなく、実施できる人が特定されているという意味で読むと通ります。検査業者または省令で定める資格を持つ者しか実施できません。
- Q. 特定自主検査の対象になる機械を教えてください
- フォークリフト、令別表第七に掲げる建設機械(動力を用い、不特定の場所に自走できるもの)、不整地運搬車、作業床の高さが2メートル以上の高所作業車、動力により駆動されるプレス機械の5つです(労働安全衛生法施行令15条2項)。
- Q. シャーも特定自主検査の対象ですか
- 対象ではありません。令15条2項が引いているのは1項2号(プレス機械)だけで、シャーは1項3号です。年に1回の定期自主検査(安衛則135条・5項目)は必要ですが、資格の要件はありません。
- Q. 特定自主検査は自社でできますか
- できます。省令で定める資格要件を満たし、厚生労働大臣が定める研修を修了した「事業内検査者」がいれば自社で実施できます。ただし資格は機種の区分ごとに分かれていて、1つ取れば全機種を見られるわけではありません。
- Q. 特定自主検査の資格はどう分かれていますか
- 本体はフォークリフトの安衛則151条の24第2項で、他の機械はこれを準用します。車両系建設機械は令別表第七の区分で4つに割れていて、第一号・第二号・第六号(整地運搬積込/掘削/解体)が1つ、第三号(基礎工事用)、第四号(締固め用)、第五号(コンクリート打設用)がそれぞれ別です。
- Q. 検査業者かどうかはどう確かめますか
- 検査業者は厚生労働省または都道府県労働局の検査業者名簿に登録されています。労働安全衛生法54条の3第5項に「事業者その他の関係者は、検査業者名簿の閲覧を求めることができる」とあり、各労働局が一覧を公開しています。
- Q. 特定自主検査の記録は何年保存しますか
- 3年です。記録する事項は6つ(検査年月日/検査方法/検査箇所/検査の結果/検査を実施した者の氏名/補修等の措置を講じたときはその内容)で、機械が変わっても同じです。
- Q. 検査業者に頼んだ記録に検査した人の名前がありません
- 不足ではありません。検査業者に実施させた場合、記録の5号「検査を実施した者の氏名」は「検査業者の名称」に読み替えられます(安衛則169条の2第7項ほか)。
- Q. 1年以上使っていない機械も検査が必要ですか
- 使用しない期間については行わなくてよいことになっています。ただし使用を再び開始する際に検査が必要です(各条の第2項)。期限が延びるのではなく、使うときに受ける、という形です。
- Q. 車検を受けていれば特定自主検査は要りませんか
- 要ります。免除されるのは道路運送車両法48条1項の点検を行った部分だけです(安衛則169条の2第6項ほか)。作業装置は車検の対象外なので、別に見る必要があります。
- Q. 検査標章は誰が貼りますか
- 事業者です。条文は「事業者は…見やすい箇所に…はり付けなければならない」と書いています。実務では検査業者が貼っていきますが、貼られていない責任は事業者に残ります。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点の情報です。