建設機械・荷役車両

ホイールローダーの点検表|ショベルローダーとは条文が別です

公開 2026-08-15更新 2026-10-03 執筆 点検板 編集部
点検板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

ホイールローダーの点検表を作るとき、最初に確認すべきことがあります。その機械はトラクターショベルか、ショベルローダーかです。名前が似ていて現場では区別なく呼ばれますが、労働安全衛生規則ではまったく別の条文に置かれています。

周期の文言も、検査事項の数も、必要な資格も違います。取り違えたまま点検表を作ると、条文にない項目が並び、条文にある項目が抜けます。この記事では、まず見分け方を示したうえで、トラクターショベル(=車両系建設機械)としての点検表を整理します。

ホイールローダー点検表(Excel・無料)ホイールローダー(トラクター・シヨベル)の作業開始前点検・月例・年次を1ファイルで記録する様式。中折れ部・タイヤ・ベルクランク・クイックカプラまで検査箇所に落とし込み、名前の似たショベルローダー(車両系荷役運搬機械)との条文の違いも整理しています。
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この記事の内容(8項目)

トラクターショベルとショベルローダーは別物です

まず条文上の位置づけを並べます。ここが分かれ目です。

トラクターショベル
(一般にホイールローダー)
ショベルローダー
分類車両系建設機械
安衛令別表第七 第一号
車両系荷役運搬機械等
安衛則151条の2 第二号、安衛令13条3項30号
年次一年以内ごとに一回
9項目(167条)
一年を超えない期間ごとに一回
5項目(151条の31)
年次は特定自主検査か特定自主検査(169条の2)
検査業者か有資格者が行い、検査標章を貼る
特定自主検査ではない(安衛令15条2項に入っていない)
実施者の資格の定めも標章もない
月例一月以内ごとに一回
実質3項目(168条)
一月を超えない期間ごとに一回
3項目・ヘッドガードが入る(151条の32)
作業開始前ブレーキ及びクラッチの機能(170条)制動装置・操縦装置、荷役装置・油圧装置の機能、車輪の異常、前照灯・後照灯・方向指示器・警報装置の機能(151条の34)
運転の資格機体重量3t以上は車両系建設機械(整地等)技能講習
3t未満は特別教育(安衛則36条9号)
最大荷重1t以上はショベルローダー等運転技能講習
1t未満は特別教育(安衛則36条5号の2)
記録どちらも6項目を3年保存(169条/151条の33)
見分け方

トラクターショベル

履帯式か、タイヤ式で全輪(4輪)駆動のもの。建設現場で使う一般的なホイールローダーはこちら

ショベルローダー

車体前方のショベルをリフトアームで上下させて、ばら物の荷役をする原則2輪駆動の車両
厚生労働省の講習補助テキストの説明による。4輪駆動でも、交換できないフォークを備えたものはフォークローダーとして扱われる

迷ったときの確認方法

まず駆動方式を見ます。全輪駆動ならトラクター・ショベル、前2輪だけの駆動ならショベルローダーが原則です。カタログや取扱説明書に、運転に必要な資格の区分が書かれていることもあります。運転者が持っている技能講習修了証の名称からも逆算できます。判断がつかない場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。資格と検査の両方に影響するため、推測で決めない部分です。

トラクターショベルの年次9項目

以下は車両系建設機械としてのトラクターショベルの話です。安衛則167条の9項目を、ホイールローダーで見る箇所に対応させます。

号検査事項(条文のまま)見る箇所
一圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無エンジン
二クラッチ、トランスミッション、プロペラシャフト、デファレンシャルその他動力伝達装置トルコン、前後アクスル
三起動輪、遊動輪、上下転輪、履帯、タイヤ、ホイールベアリングその他走行装置タイヤの摩耗・空気圧、ハブ
四かじ取り車輪の左右の回転角度、ナックル、ロッド、アームその他操縦装置アーティキュレート(車体屈折)部、ステアリングシリンダー
五制動能力、ブレーキドラム、ブレーキシューその他ブレーキサービス/パーキングブレーキ
六ブレード、ブーム、リンク機構、バケット、ワイヤロープその他作業装置リフトアーム、ベルクランク、バケット刃先・ツース
七油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置リフト/チルトシリンダー、配管
八電圧、電流その他電気系統バッテリー、配線
九車体、操作装置、ヘッドガード、バックストッパー、昇降装置、ロック装置、警報装置、方向指示器、灯火装置及び計器ROPS/FOPS、車体屈折ロック、後進警報

アーティキュレート部は第四号で見ます

ホイールローダーの多くは車体中央で屈折します。この部分の遊びやピンの摩耗は第四号の操縦装置に含めて記録するのが自然です。整備時に車体屈折ロックを掛けるかどうかは、第九号の「ロック装置」に対応します。

月例と作業開始前、記録

月例(168条)は第四号が特定解体用機械限定なので、実質3項目です。

号検査事項ホイールローダー
一ブレーキ、クラッチ、操作装置及び作業装置の異常の有無対象
二ワイヤロープ及びチェーンの損傷の有無対象(該当部があれば)
三バケット、ジッパー等の損傷の有無対象(刃先・ツース・エッジ)
四特定解体用機械にあっては、逆止め弁、警報装置等対象外

作業開始前点検(170条)は「ブレーキ及びクラッチの機能」の2つです。実務では、タイヤの空気圧と傷、バケット刃先の欠け、油脂類の漏れ、後進警報、車体屈折部の異音などを社内基準として加えます。

9項目年次(167条)
3項目月例(168条)
2項目作業開始前(170条)
3年年次・月例の記録保存

記録すべき6項目

検査年月日/検査方法/検査箇所/検査の結果/検査を実施した者の氏名/補修等の措置を講じたときはその内容の6つです(安衛則169条)。結果が「否」なのに措置欄が空というのが最も多い不備です。

運用で気をつける3点

1. 資格の区分と点検表の区分を揃える

運転者がショベルローダー等運転技能講習の修了者なのに、点検表が車両系建設機械の様式になっている、という食い違いが起こります。資格・点検表・持込機械等使用届の3つで区分を揃えてください。使用届の書き方は持込機械等使用届の書き方で扱っています。

2. タイヤの記録を残す

ホイール式は下部走行体の代わりにタイヤが費用の大きな要素になります。第三号に「タイヤ」が明記されているので、残り溝やカット傷を数値で残すと、そのまま交換計画の材料になります。

3. 除雪や構内作業で使うときも同じ扱い

冬季の除雪や工場構内での積込みに使う場合でも、機械の分類は変わりません。使う場所ではなく機械の種類で条文が決まります。建設現場に出していない期間も、使用している限り周期は進みます。

関連:車両系建設機械の定期自主検査、フォークリフト点検表の作り方、ブルドーザの点検表。条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生規則)で確認できます。

ホイールローダー点検表(Excel・無料)ホイールローダー(トラクター・シヨベル)の作業開始前点検・月例・年次を1ファイルで記録する様式。中折れ部・タイヤ・ベルクランク・クイックカプラまで検査箇所に落とし込み、名前の似たショベルローダー(車両系荷役運搬機械)との条文の違いも整理しています。
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ホイールローダーの点検表にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

ホイールローダーの点検表にかかわるルールは、2025年から2026年にかけて、年次の検査の土台と、現場の立入禁止の書き方が変わりました。日付順に並べます。

時期出来事ホイールローダーの点検表への影響
2025年4月1日車両系建設機械の接触防止(安衛則158条)が改正され、立入りの禁止を、禁止する旨の表示その他の方法で行う形になった点検表とは別に、作業場の立入禁止の表示を作業開始前に確かめる
2025年12月24日車両系建設機械特定自主検査基準(令和7年厚生労働省告示第320号)を告示トラクター・ショベルの年次検査は、この告示の項目と判定基準に沿う
2025年12月26日厚生労働省が通知(基発1226第2号)。エレメント類は製造者の定める方法で定期交換されていることを確かめれば目視等の検査を省略できること、液量を見られない構造のバッテリーはインジケーターや電圧で確かめられることなどを示した年次の記録表の「検査方法」の書き方が変わることがある
2026年1月1日特定自主検査は基準に従って行う義務(安衛法45条3項)が施行され、基準を適用ショベルローダーは特定自主検査ではないため、この基準の対象外。定期自主検査のまま
2026年4月1日改正労働安全衛生法の主な部分が施行。注文者・元方事業者・機械の貸与者などの措置の対象が、一人親方などの作業従事者に広がった一人親方が運転するホイールローダーも、現場の受入れで点検の記録を確かめる
2026年5月27日令和7年の労働災害の確定値を公表。建設業の死亡は214人、全産業のはさまれ・巻き込まれによる死亡は117人後進時の接触や、屈折部でのはさまれを点検と作業計画の両方で防ぐ

ホイールローダーの点検表で見ておきたいポイントはここです。2026年1月からの「基準に従う義務」は、トラクター・ショベルとして扱う機械だけにかかります。同じ形の機械でもショベルローダーなら対象外になるため、最初の見分けがここでも効いてきます。

出典:高所作業車特定自主検査基準等の制定等について(厚生労働省、2025年12月26日 基発1226第2号)、改正労働安全衛生法の概要(厚生労働省、令和7年法律第33号)、令和7年の労働災害発生状況・確定値(厚生労働省、2026年5月27日公表)、ショベルローダー等運転技能講習 補助テキスト(厚生労働省)、労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)

確認日は2026年10月3日です。手元の機械がどちらに当たるか、資格や検査の扱いに迷うときは、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

ホイールローダーの点検表に出てくる用語

ホイールローダーの点検表には、メーカーの呼び名と法令の言葉が混ざります。並べて整理します。

用語意味出典
ホイールローダータイヤ式で前方にバケットを持つ機械の一般的な呼び名。法令ではトラクター・ショベルかショベルローダーのどちらかに当てはめる法令上の定義はない
トラクター・ショベル車両系建設機械のうち整地・運搬・積込み用機械の一つ。履帯式か、タイヤ式で全輪駆動のもの安衛令別表第七 第一号3(区分の説明は厚生労働省の講習補助テキスト)
ショベルローダー車体前方のショベルをリフトアームで上下させて、ばら物の荷役をする原則2輪駆動の車両。車両系荷役運搬機械等の一つ安衛則151条の2第2号、安衛令13条3項30号(定義の説明は厚生労働省の講習補助テキスト)
フォークローダー車体前方のフォークをリフトアームで上下させて材木などの荷役をする車両。4輪駆動でも、交換できないフォークを備えたものはこちら安衛則151条の2第3号(説明は同テキスト)
車両系建設機械安衛令別表第七の建設機械で、動力を用い、不特定の場所に自走できるもの安衛令13条3項9号、別表第七
特定自主検査年次の定期自主検査のうち、検査業者か有資格者に行わせるもの。トラクター・ショベルは対象、ショベルローダーは対象外安衛法45条2項、安衛令15条2項
転倒時保護構造転倒したときに運転者を守るための構造。一般にROPSと呼ばれる。路肩・傾斜地では、これとシートベルトを備えた機械を使うよう努める安衛則157条の2
アーティキュレート式(車体屈折式)車体の中央で前後が折れて曲がる方式。ホイールローダーに多い法令上の定義はない

ホイールローダーという言葉そのものは、法令には出てきません。点検表の表題に法令の区分(トラクター・ショベル/ショベルローダー)を書いておくと、どの条文の点検表かが一目で分かります。

ホイールローダーの点検表と一緒に押さえておきたいこと

ホイールローダーの点検表の解説は、点検項目の一覧で終わることが多くあります。点検表を現場で回すときに迷いやすいことを4つ挙げます。

ホイールローダーにフォークを付けて荷を運ぶとき

ホイールローダーのバケットをフォークに付け替えて、資材の荷役に使う現場があります。交換できないフォークを備えたものはフォークローダーとして扱われます(厚生労働省の講習補助テキスト)。付け替え式のトラクター・ショベルを荷役に使う場合は、車両系建設機械の主たる用途以外の使用の制限(安衛則164条)に当たらないかの確認が要ります。資格・点検表・使い方の3つが同じ区分になっているかを、所轄の労働基準監督署に確かめておくと安心です。考え方は主たる用途以外の使用、資格の整理は重機オペレーターの資格で扱っています。

公道を走るホイールローダーは、48条点検と重なる

道路運送車両法48条1項の定期点検を受けるトラクター・ショベルは、その点検を行った部分について年次の自主検査を行わなくてよいとされています(安衛則169条の2第6項)。重ならない作業装置などは特定自主検査で見ます。建設機械の車検と特定自主検査で範囲を整理しています。

路肩や傾斜地では、ROPSとシートベルトを点検表に入れる

路肩・傾斜地など転倒・転落のおそれがある場所では、転倒時保護構造とシートベルトを備えた機械を使い、運転者にシートベルトを使わせるよう努めることとされています(安衛則157条の2)。条文は努力義務ですが、シートベルトの損傷とバックルの作動を作業開始前の社内項目に足しておくと、使わせる前提がそろいます。

レンタルのホイールローダーは、貸す側にも点検の義務がある

機械を貸す側は、貸す前に点検し、異常があれば補修することとされています(安衛則666条)。借りた側は、受け取ったときに年次の記録と検査標章、月例の記録がそろっているかを確かめます。詳しくはレンタル建機の点検義務は誰が負うかにまとめています。

点検板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. ホイールローダーとショベルローダーは同じですか
違います。一般に建設現場で使う全輪駆動のホイールローダーはトラクターショベルで、安衛令別表第七第一号の車両系建設機械です。原則2輪駆動でばら物の荷役をするものがショベルローダーです。ショベルローダーは安衛則151条の2第二号の車両系荷役運搬機械等で、適用条文も周期も検査事項も資格も別になります。
Q. どちらか分からないときはどう確認しますか
まず駆動方式を見ます。全輪駆動ならトラクター・ショベル、2輪駆動ならショベルローダーが原則です。カタログや取扱説明書に資格の区分が書かれていることもあります。運転者の技能講習修了証の名称からも逆算できます。資格と検査の両方に影響するため、判断がつかない場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。
Q. トラクターショベルの年次検査は何項目ですか
9項目です(安衛則167条)。一年以内ごとに一回、検査業者または有資格者が実施します。一方ショベルローダー等は5項目で、周期の文言も「一年を超えない期間ごとに一回」と異なります(151条の31)。
Q. 車体屈折部の点検はどの号ですか
第四号の「かじ取り車輪の左右の回転角度、ナックル、ロッド、アームその他操縦装置の異常の有無」に含めて記録するのが自然です。整備時の車体屈折ロックは第九号の「ロック装置」に対応します。
Q. タイヤは検査事項に入りますか
入ります。第三号に「タイヤ、ホイールベアリング」が明記されています。ホイール式は下部走行体の代わりにタイヤが費用の大きな要素になるため、残り溝やカット傷を数値で残すと交換計画の材料になります。
Q. 月例の検査項目は何項目ですか
実質3項目です。安衛則168条の第四号は特定解体用機械に限られるため、ホイールローダーは対象外になります。第三号のバケットの損傷は、刃先・ツース・エッジの状態として記録します。
Q. 運転にはどんな資格が要りますか
トラクターショベルとして機体重量3トン以上であれば、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習が必要です。ショベルローダーの場合は最大荷重1トン以上でショベルローダー等運転技能講習となり、別の資格です。3トン未満のトラクターショベル、1トン未満のショベルローダーは、それぞれ特別教育が必要です(安衛則36条9号・5号の2)。
Q. ショベルローダーの年次検査も検査業者に頼む必要がありますか
法令上はその必要はありません。ショベルローダーの年次の定期自主検査(安衛則151条の31)は特定自主検査に入っていない(安衛令15条2項)ため、実施者の資格の定めも検査標章もありません。トラクターショベルとして扱う機械は特定自主検査で、検査業者か有資格者が行います。
Q. 除雪に使う場合も定期自主検査は必要ですか
必要です。使う場所や用途ではなく機械の種類で条文が決まります。建設現場に出していない期間でも、使用している限り周期は進みます。
Q. 作業開始前点検は何を見ますか
法定の点検事項は安衛則170条の「ブレーキ及びクラッチの機能」の2つです。実務ではタイヤの空気圧と傷、バケット刃先の欠け、油脂類の漏れ、後進警報、車体屈折部の異音などを社内基準として加えます。
Q. 記録に必要な項目は何ですか
検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、補修等の措置を講じたときはその内容の6つです(安衛則169条)。3年間保存します。結果が「否」なのに措置欄が空欄というのが最も多い不備です。
ホイールローダー点検表(Excel・無料)ホイールローダー(トラクター・シヨベル)の作業開始前点検・月例・年次を1ファイルで記録する様式。中折れ部・タイヤ・ベルクランク・クイックカプラまで検査箇所に落とし込み、名前の似たショベルローダー(車両系荷役運搬機械)との条文の違いも整理しています。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点の情報です。