安全宣言の例文|現場の朝礼・掲示・安全大会で使い分ける
安全宣言は、現場で働く人が「自分はこれをやる」と決めて、声に出したり紙に書いて貼ったりするものです。全国安全週間や安全大会の時期になると、現場ごとに一言ずつ出すよう求められることがあります。
ところが「安全宣言 例文」で出てくる文の多くは工場向けで、そのまま建設現場に持ってくると作業と合いません。安全宣言は、朝礼で読む一言・作業所に掲示する宣言・安全大会の宣誓文で、求められている長さも主語も違います。この記事では、その3つを分けたうえで、工種別に書き換える手順まで整理します。
この記事の内容(7項目)
- 安全宣言は3つの用途に分かれている
- 安全宣言は法令で義務づけられたものではありません
- 安全宣言の例文|朝礼で読む一言
- 工種別の例文
- この形にそろえると、書き換えが楽になります
- 安全宣言の例文|作業所に掲示する宣言
- 例文1:建築(新築工事)
- 例文2:土木(管路・造成)
- 例文3:改修・内装(テナント工事)
- 安全宣言の例文|安全大会・全国安全週間の宣誓文
- 例文:作業員代表の宣誓
- 例文:協力会社代表の宣誓
- 安全大会の進行資料とは分けて考えます
- 安全宣言が形だけになる理由と、書き換える手順
- 材料の埋め方(鉄筋工事の例)
- よくある直し方
- 安全宣言を書いたあとにやること
- 1. 掲示した場所と、見直す日を書き留める
- 2. 作業が変わったら書き換える
- 3. 週に1回、できたかどうかだけ振り返る
- よくある質問
安全宣言は3つの用途に分かれている
安全宣言を書こうとして手が止まるのは、例文を探す前にどの場面の宣言なのかが決まっていないためです。同じ「安全宣言」でも、次の3つは別のものです。
| 用途 | 誰が出すか | 長さの目安 | 行き先 |
|---|---|---|---|
| 朝礼で読む一言 | 作業者本人・その日の当番 | 1文(40〜60字) | 声に出して終わり。紙は残さないことも多い |
| 作業所に掲示する宣言 | 作業所長・現場代理人・職長 | 3項目(各30〜50字) | 詰所や仮囲いに掲示。期間が決まっている |
| 安全大会・安全週間の宣誓文 | 作業員代表・協力会社代表 | 3〜5行 | 読み上げたあと、控えを残すことがある |
ポイントはここです。朝礼の一言は「私は」で書き、掲示する宣言は「私たちは」で書きます。主語が合っていないと、読んだ人が自分のこととして受け取れません。
安全宣言は法令で義務づけられたものではありません
安全宣言そのものを定めた条文はありません。労働安全衛生法は、事業者に労働災害を防止する措置を求め、働く人にはその措置に応じて必要な事項を守り、取り組みに協力するよう努めることを求めています(26条・4条)が、宣言文の様式や掲示のしかたまでは定めていません。
いっぽうで、都道府県の労働局が「安全宣言運動」として、現場責任者が具体的な行動を宣言して掲示する取り組みを案内している例があります。その運動に参加する場合は、実施要領で示された様式と手順が先になります。元請から様式の指定があるときも同じで、指定された紙が優先されます。
掲示か大会か
私たちは
やる作業
安全宣言の例文|朝礼で読む一言
朝礼の安全宣言は、その日の自分の作業から1つ選んで1文にします。長さは40〜60字が目安です。聞いている人が同じ場面で何をするかを言えれば、その宣言は届いています。
工種別の例文
| 工種 | 安全宣言の例文(朝礼の一言) |
|---|---|
| 足場 | 私は、フックを掛け替えるたびに、上段の親綱へ確実に掛かっていることを指で確かめてから手を離します。 |
| 鉄筋 | 私は、梁の上に上がる前に毎回、手すりと床の隙間を自分の目で見てから乗ります。 |
| 型枠 | 私は、支保工の建込みが終わるまで、下の階を通らず迂回します。 |
| 土工・掘削 | 私は、溝に下りる前に毎回、壁面のひび割れと湧水を自分の目で見てから下ります。 |
| 解体 | 私は、2階に上がる前に床の状態を確認し、養生板を敷いてから乗ります。 |
| 電気 | 私は、盤に手を入れる前に毎回、検電器で電圧が無いことを確かめてから触ります。 |
| 設備・配管 | 私は、天井内に入る前に、脚立ではなく作業台を用意してから上がります。 |
| 塗装 | 私は、有機溶剤を使う日は、換気を入れてからマスクの密着を確かめて作業に入ります。 |
| 重機オペレーター | 私は、旋回する前に必ず後方を目視し、誘導の合図が見えないときは動かしません。 |
| 玉掛け・荷役 | 私は、吊り上げる前にワイヤの摩耗と外れ止めを見て、下に人がいないことを声で確かめます。 |
この形にそろえると、書き換えが楽になります
上の例文は、どれも「私は、いつ・何を確かめて・そのあと何をする」という同じ形で書いてあります。工種が変わっても、確かめるものを入れ替えるだけで済みます。
逆に「安全第一で作業します」「気をつけて作業します」は、翌日に同じ文が使えてしまいます。同じ文が翌日も使えるなら、それは今日の作業から出た宣言ではないという見分け方ができます。
安全宣言の例文|作業所に掲示する宣言
掲示する安全宣言は、作業所長や現場代理人が出すことが多く、その現場で全員が守ることを3つ程度にまとめます。朝礼の一言と違い、期間中ずっと同じ紙が貼られたままになるので、書きぶりが変わります。
例文1:建築(新築工事)
私たちは、○○ビル新築工事において、次の3つを実行します。
一、高さ2m以上の作業に入る前に、手すり・親綱・足元の3点を全員で確認してから始めます。
一、重機の旋回範囲はバリケードで囲い、中に人がいる間は動かしません。
一、暑さ指数が28を超えた日は、1時間ごとに全員で休憩を取ります。
例文2:土木(管路・造成)
私たちは、○○町下水道管渠布設工事において、次の3つを実行します。
一、土留めを設けるまで、掘削した溝の中に人を入れません。
一、掘削の天端から50cm以内には材料を置きません。
一、雨のあとは、点検が終わるまで溝の作業を始めません。
例文3:改修・内装(テナント工事)
私たちは、○○ビル3階改修工事において、次の3つを実行します。
一、火気を使う作業は、許可を受けて消火器を手元に置いてから始めます。
一、通路をふさぐ資材は、その日のうちに片付けてから帰ります。
一、在館者の動線に入るときは、必ず誘導を付けます。
3つの例文に共通しているのは、数字が入っていることです。「高所作業に注意する」ではなく「2m以上は3点を確認してから始める」と書くと、守れたかどうかを後から確かめられます。安全パトロールで見るときも、この形になっていれば指摘が具体的になります。安全パトロールの指摘・是正記録と並べて使えます。
安全宣言の例文|安全大会・全国安全週間の宣誓文
安全大会で読み上げる宣誓文は、朝礼の一言や掲示の宣言より少し長く、3〜5行にまとめます。代表者が全員の前で読むため、その場にいる人が「自分も含まれている」と分かる書き方にします。
例文:作業員代表の宣誓
宣誓。
私たち○○作業所の全員は、この1年、次のことを守ることを誓います。
一、決めた手順を、急いでいるときほど省かないこと。
一、危ないと思ったことは、その場で声に出して作業を止めること。
令和○年○月○日 ○○ビル新築工事 作業員代表 ○○ ○○
例文:協力会社代表の宣誓
宣誓。
私たち○○工事協力会は、この1年、次のことを守ることを誓います。
一、新しく現場に入る人には、作業に入る前に必ず危険な場所を歩いて教えること。
一、資格が要る作業は、修了証を確かめてから任せること。
令和○年○月○日 ○○工事協力会 会長 ○○ ○○
安全大会の進行資料とは分けて考えます
安全大会の準備では、開会の挨拶、来賓の紹介、講話、閉会の挨拶といった進行の資料も必要になります。ただし宣誓文と進行台本は別のものです。進行台本を探しているときに宣言の例文を渡されても使えませんし、その逆も同じです。この記事で扱うのは宣誓文のほうだけにしています。
安全宣言が形だけになる理由と、書き換える手順
安全宣言が形だけになるのは、文を探すところから始めているためです。例文を写すと、その現場の作業と関係のない文になります。先に3つの材料を埋めてから、最後に1文にすると、自分の言葉になります。
(1つに絞る)
起きやすいこと
いつ・何回見るか
1文にする
材料の埋め方(鉄筋工事の例)
| 材料 | 書くこと |
|---|---|
| 作業 | 梁筋の組立て(高さ2.5m) |
| 起きやすい災害 | 足場の隙間からの墜落 |
| 自分が行う確認 | 上に上がる前に毎回、手すりと床の隙間を目で見る |
| 宣言文 | 私は、梁の上に上がる前に毎回、手すりと床の隙間を自分の目で見てから乗ります。 |
よくある直し方
直す前
「安全帯を正しく着用します」いつ何をするかが無いので、着けているだけで達成になる
直したあと
「フックを掛け替えるたびに、上段の親綱へ掛かっていることを指で確かめます」回数と確かめ方が入り、見て分かる行動になった
この3つの材料は、朝のKY活動で出しているものとほとんど同じです。KY活動の書き方で「〜なので〜になる」の形を作っているなら、その4ラウンド目の行動目標が、そのまま安全宣言の材料になります。二度考える必要はありません。
安全宣言を書いたあとにやること
安全宣言は、読んで貼ったところで終わりにすると、翌週には誰も見なくなります。手間をかけずに続けるなら、次の3つだけ決めておけば足ります。
1. 掲示した場所と、見直す日を書き留める
どこに貼ったかを残しておかないと、工事が進んで掲示板の位置が変わったときに、宣言だけが古い場所に残ります。掲示した日と一緒に「見直す日」を書いておくと、貼りっぱなしを防げます。目安は1か月です。
2. 作業が変わったら書き換える
配筋から型枠に変わる、掘削から埋戻しに変わる。工種が変われば危険も変わるので、宣言も書き換えます。書き換えるタイミングを工程表の節目に合わせておくと、思い出す手間がなくなります。
3. 週に1回、できたかどうかだけ振り返る
振り返りは長くしません。できた/できなかったと、できなかったのはどんなときかの2つだけで十分です。「急いでいた日にできなかった」と分かれば、次は段取りのほうを直せます。宣言を守れなかった人を責める場にしないことが続けるコツです。
この記事で出した例文と、材料を埋めてから1文にする手順は、安全宣言シートにそのまま入れてあります。朝礼の一言・掲示する宣言・大会の宣誓文の欄が分かれていて、足場・土工・電気の記入例が付いています。掲示した場所と振り返りの欄も同じ1枚にあります。
関連:KY活動(危険予知)の書き方、リスクアセスメントの進め方。条文はe-Gov法令検索(労働安全衛生法)で確認できます。
よくある質問
- Q. 安全宣言に決まった様式はありますか
- 法令で定められた様式はありません。安全宣言そのものを義務づけた条文が無いためです。ただし都道府県の労働局が実施する安全宣言運動に参加する場合や、元請から様式の指定がある場合は、そちらが優先されます。
- Q. 朝礼の安全宣言は何文字くらいが目安ですか
- 1文で40〜60字が目安です。聞いた人が同じ場面で何をするかを言えれば十分な長さです。長くすると覚えられず、翌日には残りません。
- Q. 「安全第一で作業します」ではだめですか
- だめではありませんが、翌日も同じ文が使えてしまいます。同じ文が明日も使えるなら、今日の作業から出た宣言ではないという見分け方ができます。いつ・何を確かめるかまで足すと行動になります。
- Q. 掲示する安全宣言はいくつ書けばよいですか
- 3つまでが目安です。数を増やすと、どれも見られなくなります。その現場でいちばん多い災害から順に3つ選ぶ形が扱いやすくなります。
- Q. 安全宣言と安全スローガンは同じものですか
- 別のものとして扱うほうが実務では扱いやすくなります。スローガンは覚えやすさを優先した短い標語で、安全宣言は自分が行う行動を書くものです。宣言のほうは、守れたかどうかを後から確かめられる形にします。
- Q. 安全宣言はどのくらいの期間で書き換えますか
- 掲示するものは1か月を目安に見直し、工種が変わるタイミングでは必ず書き換えます。配筋から型枠に変われば危険も変わるためです。1年間同じ紙を貼ったままにしないのが基本です。
- Q. KY活動と安全宣言は別々に考えるのですか
- 材料はほとんど同じです。KY活動の4ラウンド目で決めた行動目標が、そのまま安全宣言の材料になります。二度考える必要はありません。書く場面と主語だけを合わせ直します。
- Q. 安全大会の進行台本も一緒に用意すべきですか
- 別のものとして分けて用意してください。宣誓文は読み上げる文で、進行台本は開会や閉会の挨拶を含む式次第です。求められているのがどちらかを先に確かめると、探す時間が短くなります。
- Q. 安全宣言を守れなかった人がいたらどうしますか
- 個人を責める場にしないことが続けるための条件です。できなかったのがどんなときかだけを聞き、段取りや置き場のほうを直すと再発が減ります。振り返りは週に1回、2項目で足ります。
- Q. 安全宣言の記録は保存する必要がありますか
- 法令上の保存義務はありません。掲示したあとに残すかどうかは自社で決められます。安全大会の宣誓文は控えを残す現場が多く、朝礼の一言は残さない運用も一般的です。
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