建設機械・荷役車両

建機の月例検査を複数台まとめて記録する|台帳型の管理

公開 2026-08-14更新 2026-10-03 執筆 点検板 編集部
点検板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

建機を5台、10台と保有すると、機体ごとの点検表がバラバラに存在する状態になります。台数が増えたときに困るのは、「今月、どの機体の検査が終わっていないか」が一目で分からなくなることです。

この記事では、月例の定期自主検査を1枚の台帳にまとめる方法と、機種ごとに違う検査項目への対応をまとめます。

重機管理台帳(保有機械一覧・検査期限つき)(Excel・無料)保有・リース・レンタルの重機を1枚に並べ、特定自主検査の次回期限を自動計算する台帳。残日数が30日を切ると赤くなります。
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この記事の内容(10項目)

1台1ファイルと台帳型の使い分け

1台1ファイル型

始業前・月例・年次を1機体分まとめる。
その機体の履歴が追いやすい。
台数が少ないときに向く。

台帳型(複数台)

月例検査だけを全機体分、1枚に。
今月の未実施が一目で分かる。
台数が多いときに向く。

おすすめは併用です。始業前点検は1台1ファイル(現場に置く)、月例検査は台帳型(事務所で管理)。役割が違うため、無理に統一する必要はありません。

1ヶ月以内月例検査の周期
3年記録の保存義務
168条月例検査の根拠
(安衛則)
日付固定期間超過を防ぐ
最も簡単な方法

機種ごとに検査項目が違う問題

台帳型で困るのが、機種によって法定の検査項目が違うことです。

機種根拠主な検査項目
車両系建設機械
(油圧ショベル等)
安衛則168条ブレーキ・クラッチ・操作装置・作業装置/ワイヤロープ・チェーン/バケット・ジッパー等(特定解体用機械は逆止め弁・警報装置等も)
高所作業車安衛則194条の24制動装置・クラッチ・操作装置/作業装置・油圧装置/安全装置
不整地運搬車安衛則151条の54制動装置・クラッチ・操縦装置/荷役装置・油圧装置
フォークリフト安衛則151条の22制動装置・クラッチ・操縦装置/荷役装置・油圧装置/ヘッドガード・バックレスト

解決策:共通項目+自由記入

台帳では次の構成にします。

  1. 共通の3列|「ブレーキ・クラッチ・操作装置・作業装置」「ワイヤロープ・チェーンの損傷」「バケット・ジッパー等の損傷」
  2. 該当しない機種は「対象外」|ドロップダウンで選べるようにする
  3. 「その他の検査項目・測定値」欄|機種固有の項目(高所作業車の安全装置、フォークリフトのヘッドガード・バックレストなど)をここに書く

これで大半の機種を1つの台帳で扱えます。機種を選ぶドロップダウンを用意しておくと、集計もしやすくなります。

次回期限を自動計算する

台帳型の最大の利点がこれです。検査年月日を入れると、次回期限(1ヶ月後)が自動で出るようにしておきます。

月末に見るのはこの列だけ
検査年月日2026/8/5
→
次回期限=EDATE(A2,1)
→ 2026/9/5
→
月末に確認期限が今月中の機体
=未実施
「1ヶ月以内ごと」の管理は、期限列を見るだけで済む

関数の使い方はExcelで次回期限を自動計算する方法で解説しています。EDATEとTODAYの2つだけです。

車両系建設機械 定期自主検査 記録表(Excel・無料)

機種をドロップダウンで選び、共通3項目+その他の測定値を記録できます。検査年月日から次回期限を自動計算。記録3年保存に対応した台帳型です。

定期自主検査 記録表を見る

年次(特定自主検査)は別管理

月例の台帳とは別に、年次の特定自主検査の期限管理が必要です。こちらは検査業者または有資格者しか実施できず、検査標章の貼付があります。

  • 検査標章の年月を台帳に転記する|機体に貼ってあるステッカーを見て記録
  • 期限の2ヶ月前に業者へ予約|繁忙期は取れないことがある
  • レンタル機は搬入時に標章を確認|期限切れの機体を使わない

月例と年次を1枚に混ぜると、実施者も周期も違うため混乱します。年次は点検期限管理表に載せるのが実務的です(期限管理表)。制度の全体像は特定自主検査と定期自主検査の違いをご覧ください。

監督署の臨検で見られること

建機を扱う事業場では、次が確認されます。台帳が整っていれば、すべて即答できます。

  1. 保有機体の一覧|何台あるか
  2. 月例検査の実施状況|直近3年分、抜けがないか
  3. 特定自主検査の実施状況|検査標章と記録
  4. 異常があった場合の処置|指摘して直したか
  5. 運転者の資格|技能講習修了証・特別教育の記録

5番目の資格の管理も忘れないでください。点検記録が完璧でも、無資格運転が見つかれば重大な違反です。資格証の写しと、誰がどの資格を持つかの一覧を用意しておきましょう(安全衛生教育の記録)。

重機管理台帳(保有機械一覧・検査期限つき)(Excel・無料)保有・リース・レンタルの重機を1枚に並べ、特定自主検査の次回期限を自動計算する台帳。残日数が30日を切ると赤くなります。
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建設機械の月例点検の義務と資格

建設機械の月例点検(法令上の名前は、1月以内ごとに1回の定期自主検査)は、車両系建設機械を使う事業者の義務とされています(労働安全衛生法第45条第1項、労働安全衛生規則第168条)。義務の中身と、誰が検査できるかを分けて整理します。

項目定め根拠
周期1月以内ごとに1回安衛則第168条第1項
検査する事項ブレーキ・クラッチ・操作装置・作業装置の異常の有無、ワイヤロープ・チェーンの損傷の有無、バケット・ジッパー等の損傷の有無(特定解体用機械は、逆止め弁・警報装置等の異常の有無が加わる)安衛則第168条第1項第1号〜第4号
使わない月1月を超えて使わない期間は不要。ただし使い始める前に同じ事項を検査する安衛則第168条第1項ただし書・第2項
記録検査年月日・検査方法・検査箇所・検査の結果・検査を実施した者の氏名・補修等の内容を記録し、3年間保存安衛則第169条
異常があったとき直ちに補修その他必要な措置を講じる安衛則第171条
罰則定期自主検査をしない、記録しない場合は50万円以下の罰金の対象労働安全衛生法第120条第1号(第45条第1項違反)

月例点検に法令上の資格の決まりはない

建設機械の月例点検について、検査する人の資格を定めた条文はありません。資格が要るのは、年次の特定自主検査です(労働安全衛生法第45条第2項)。ただし記録には検査を実施した者の氏名を書くので、機械の構造が分かる人を、機体ごとに決めておくと、検査の質がそろいます。

毎日の作業開始前点検とは別に行う

作業を始める前には、ブレーキとクラッチの機能を点検することとされています(安衛則第170条)。月例点検は、この毎日の点検とは別の義務です。毎日の点検表に月例の欄を混ぜず、月例は台帳で管理すると、どちらが抜けたかがすぐ分かります。

建設機械の月例点検にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

建設機械の月例点検の周期や検査する事項(安衛則第168条)は、2023年以降も変わっていません。変わったのは、年次の特定自主検査の基準、機械の周りの立入禁止の決まり、レンタルなどで機械を貸す側の措置の範囲です。一次情報で確かめられたものを日付順に並べます。

時期出来事建設機械の月例点検への影響
2025年4月1日車両系建設機械の立入禁止の規定(安衛則第158条)が改正され、労働者だけでなく、その場で作業に従事する者が立ち入ることを、表示その他の方法で禁止することになった月例点検とは別の決まり。点検中に機械の周りへ人を入れない手順も、作業に従事する者全体を対象に考える
2025年12月車両系建設機械・フォークリフト・高所作業車などの特定自主検査基準が告示され、旧来の年次の定期自主検査指針は廃止された(通達 基発1226第2号)対象は年次の検査(安衛則第167条)。月例点検の事項は変わらない
2026年1月1日特定自主検査は厚生労働大臣の定める基準に従って行うことになった(労働安全衛生法第45条第3項)年次の検査を外注するときは、基準に沿った検査の記録を受け取って台帳に転記する
2026年4月1日改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)の主な規定が施行され、注文者・元方事業者・機械の貸与者などの措置の対象が、一人親方などの「作業従事者」に広がったレンタル機や持込機を一人親方が使う現場でも、貸す側・元請側の措置の対象になる
2026年5月27日令和7年の労働災害の確定値が公表された。建設業の死亡者は214人、全産業のはさまれ・巻き込まれによる死亡は117人建設機械の点検と整備は、引き続き災害防止の基本の1つ

建設機械の月例点検で押さえるポイントは、年次の検査の基準が変わっても、月例の台帳の項目はそのままでよいことです。年次の検査の結果は、別の期限管理の表で追います。

出典:労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)、労働安全衛生法(e-Gov法令検索)、高所作業車特定自主検査基準等の制定等について(厚生労働省)、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の概要(厚生労働省)、令和7年の労働災害発生状況(厚生労働省)

確認日は2026年10月3日です。個別の機械の扱いは、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

建設機械の月例点検に出てくる用語

建設機械の月例点検では、「点検」と「検査」、「月例」と「月次」が混ざって使われます。法令の言葉と現場の言葉を並べます。

用語意味出典
車両系建設機械動力を用い、かつ不特定の場所に自走できる建設機械で、政令の別表に掲げるもの(整地・運搬・積込み用、掘削用、基礎工事用、締固め用、コンクリート打設用、解体用)安衛則第94条の2第2号の括弧書き、労働安全衛生法施行令 別表第7
定期自主検査事業者が一定の周期で自ら行う検査。車両系建設機械は年次(1年以内ごと)と月例(1月以内ごと)がある労働安全衛生法第45条第1項、安衛則第167条・第168条
月例点検・月次検査1月以内ごとの定期自主検査を指す現場の呼び方法令上の呼び方ではない
特定自主検査定期自主検査のうち、資格を持つ者か検査業者が行うもの。車両系建設機械では年次の検査労働安全衛生法第45条第2項、安衛則第169条の2
検査標章特定自主検査を行った年月が分かるように、機体の見やすい場所に貼るもの安衛則第169条の2
作業開始前点検その日の作業を始める前に、ブレーキとクラッチの機能を点検すること安衛則第170条
特定解体用機械ブームとアームの長さの合計が12メートル以上の解体用機械。月例点検に逆止め弁・警報装置等の項目が加わる安衛則第168条第1項第4号・第171条の4

建設機械の月例点検で取り違えやすいのは、月例点検と特定自主検査です。月例は事業者が自ら行い、資格の定めがありません。特定自主検査は年次で、資格を持つ者か検査業者が行います。

建設機械の月例点検と一緒に押さえておきたいこと

建設機械の月例点検を台帳でまとめると、機種の違い、使わない月、貸し借りの扱いで迷う場面が出てきます。上位の記事ではあまり触れられていない論点を3つ置きます。

フォークリフト・高所作業車・不整地運搬車は、月例の条文と項目が違う

建設現場で一緒に使うことが多いこれらの機械は、車両系建設機械とは別の条文で月例の検査が定められています。フォークリフトは安衛則第151条の22(制動装置・クラッチ・操縦装置、荷役装置・油圧装置、ヘッドガード・バックレスト)、不整地運搬車は第151条の54(制動装置・クラッチ・操縦装置、荷役装置・油圧装置)、高所作業車は第194条の24(制動装置・クラッチ・操作装置、作業装置・油圧装置、安全装置)です。台帳では機種の列で条文を分け、該当しない項目は「対象外」にすると、1枚で扱えます。記録の保存はどれも3年です。

使わない月は「休止」と書いて、再開の前に検査する

1月を超えて使わない期間は、月例点検をしなくてよいとされています(安衛則第168条第1項ただし書)。ただし、使い始める前に同じ事項を検査することになっています(同条第2項)。台帳の空欄は、検査漏れと休止の区別がつきません。休止の月は「休止」と書き、再開の日に検査した記録を1行残すと、あとから説明できます。

レンタル機の月例点検は、借りた側が行う

機械を貸す側には、貸す前に点検して異常があれば補修し、その結果などを書面で渡すことが定められています(安衛則第666条)。一方で、使っている間の月例点検は、機械を使う事業者の義務です(安衛則第168条)。搬入時に貸主の点検の書面と、直近の月例点検の日を確認し、台帳に転記すると、次の期限が分かります。

点検板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. 月例検査は同じ日にまとめて実施してよいですか?
問題ありません。むしろ実施日を固定(毎月第1営業日など)するほうが、期間超過を防げます。台数が多い場合は数日に分けても構いません。
Q. レンタル機も台帳に載せますか?
載せてください。月例検査は機械を使う事業者の義務とされています(安衛則168条)。貸す側には貸す前の点検と書面の交付が定められていますが(安衛則666条)、使っている間の月例検査は別です。搬入時に貸主の書面と直近の月例検査の日を確かめ、次の期限を台帳に入れておくと、短期の借用でも抜けません。
Q. 記録は電子データでもよいですか?
安衛則169条は記録と3年間の保存を求めていますが、紙に限るとは書かれておらず、電子データでの保存も認められると解されています。後から書き換えた跡が分かる形(月ごとにPDFにするなど)とバックアップを用意しておくと安心です。扱いに迷うときは所轄の労働基準監督署に確認してください。
Q. 検査を外注した場合の記録は?
業者の報告書を受け取り、台帳にも実施日と結果を転記してください。報告書だけだと一覧性がなく、未実施の機体を見つけられません。
重機管理台帳(保有機械一覧・検査期限つき)(Excel・無料)保有・リース・レンタルの重機を1枚に並べ、特定自主検査の次回期限を自動計算する台帳。残日数が30日を切ると赤くなります。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点の情報です。