建設機械・荷役車両

重機の整備記録の残し方|検査の記録とは別に積み上げる

公開 2026-09-20 執筆 点検板 編集部

「重機の整備記録」を探すと、出てくるのはほとんど自動車の点検整備記録簿です。道路運送車両法の様式なので、建設機械の整備をそのまま書き込む形にはなっていません。

重機の整備記録は、法令で様式が決まっているものではありません。だからこそ何を残すかを自分で決める必要があります。この記事では、定期自主検査の記録との違いを整理したうえで、後から役に立つ整備記録の残し方を示します。

重機 整備・修理記録簿(Excel・無料)重機の整備・修理・部品交換を機体ごとに積み上げる記録簿。アワーメータと費用を残して、更新の判断材料にします。
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この記事の内容(7項目)

重機整備の記録と、定期自主検査の記録は別物

最初にここを分けておかないと、どちらも中途半端になります。

定期自主検査の記録整備・修理の記録
根拠安衛則167条・168条、記録は169条法令の定めなし(社内の帳簿)
誰が年次は検査業者または事業内検査者社内の整備担当、または整備業者
周期年次1年以内(不整地運搬車は2年)/月例1ヶ月以内壊れたとき・交換時期が来たとき
保存3年間定めなし(手放すまでを推奨)

重機整備の記録は、検査の記録を置き換えるものではありません。検査で「否」が付いた箇所を直した記録として、検査記録と対になって初めて経過が読めます。検査記録だけを見ると、指摘が赤いまま残っているように見えてしまいます。

重機整備の記録に書く7つのこと

列を増やしすぎると続きません。7つに絞ると、1件あたり1分で書けます。

書くことあとで効く場面
整備日実施した日時系列で並べる
アワーメータそのときの稼働時間次の交換時期の判断
区分定期整備/故障修理/部品交換/検査の是正/その他故障が増えているかが分かる
内容何をしたか。1行で同じ箇所の繰り返しに気づく
交換部品部品名と数量在庫と次回手配
実施社内(担当者名)/業者名保証・再修理の相談
費用金額(税抜か税込にそろえる)更新(買い替え)の判断

ポイントはアワーメータと費用です。この2つが入っていない記録は、あとから読んでも判断に使えません。「いつ直したか」だけなら思い出せますが、「あと何時間で次の交換か」「今年いくら掛かったか」は記録がないと出せません。

同じ箇所を3回直したら、更新を考える合図

重機整備の記録を積む目的の1つは、直し続けるか、入れ替えるかを数字で決めることです。

記録から見える3つの兆し
① 同じ箇所が3回油圧ホース・シリンダーなど。周辺も傷んでいることが多い
② 年間費用が上がる去年の1.5倍を超えたら、内訳を見る
③ 稼働できない日が増える修理待ちで現場に出せない日数を備考に書く
①②③がそろったら、次の更新計画に載せる

一般には、機械の更新はアワーメータの数字で決めている会社が多くあります。ただし同じ機種でも使い方で傷み方が違うので、時間だけでは判断が粗くなります。整備記録が3年ぶん積み上がると、その機械固有の傾向が見えてきます。

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外注したときは、業者名と請求書の番号まで残す

整備を外に出したときは、次の3つを書いておくと後で困りません。

業者名・作業内容・請求書の番号。特に請求書の番号は、経理との突き合わせと、同じ箇所を再修理したときの交渉で効きます。「前回もお願いした箇所です」と言えるかどうかで、話が変わります。

検査を頼むことと、整備を頼むことは別

特定自主検査は登録検査業者または事業内検査者が行います。整備業者に修理を頼んだことは、検査を受けたことにはなりません。同じ会社に両方を頼むことは多いのですが、記録は分けて残してください。

検査を誰に頼むかは登録検査業者に特定自主検査を頼むに、社内で行う場合は事業内検査者になるにはにまとめています。

整備のために機械の下に入るときの注意

記録の話から少し離れますが、整備でいちばん起きている災害が機械の下敷きです。

安衛則166条(ブーム等の降下による危険の防止)
事業者は、車両系建設機械のブーム、アーム等を上げ、その下で修理、点検等の作業を行なうときは、ブーム、アーム等が不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に安全支柱、安全ブロック等を使用させなければならない。

さらに165条で、修理やアタッチメントの装着・取り外しの作業には作業を指揮する者を定めることになっています。整備の記録簿に、その日の作業指揮者の名前を書く欄を作っておくと、記録と義務が1か所でつながります。

様式は1機体1シートにすると読みやすい

配布している整備・修理記録簿は、1機体につき1シートで、上から日付順に積み上げる形です。複数台を1枚にまとめることもできますが、履歴を追うなら機体ごとに分けたほうが読めます。

台帳(どの機械を持っているか)と記録簿(その機械に何をしたか)は役割が違います。台帳のほうは重機管理台帳の作り方にまとめています。

よくある質問

Q. 重機の整備記録に法令上の保存義務はありますか
ありません。保存義務があるのは定期自主検査の記録(安衛則169条)で、3年間です。整備記録は社内の帳簿なので期間の定めはありませんが、その機械を手放すまでは残しておくことをおすすめします。
Q. アワーメータが壊れている機械はどうしますか
修理するのが前提ですが、それまでは日付と作業日数で代用してください。備考に「アワーメータ故障中(2026/8〜)」と書いておくと、あとで数字が飛んでいる理由が分かります。
Q. レンタル機の整備記録も残しますか
整備そのものは貸主が行うので、こちらで残すのは「異常を見つけて連絡した記録」です。日付・症状・連絡先・その後の対応を1行書いておくと、返却時の責任の話がはっきりします。
Q. 整備記録と点検表は1つにまとめられませんか
分けたほうが続きます。点検表は毎日つけるもの、整備記録は何かをしたときだけつけるものです。頻度の違うものを同じ表に入れると、どちらかが埋まらなくなります。
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本記事は一般的な情報の整理であり、法令への適合を保証するものではありません。個別の義務内容は所管行政庁または専門家にご確認ください。記事の内容は2026-09-20時点の情報です。